今回は精子提供について考えたことがある方の多くが手に取るであろう本について触れてみたいと思います。
非配偶者間人工授精で生まれた人達が、それぞれ自分の出生の秘密を知ったいきさつ、事実を知る前と後、AIDについて思うことについて一人ひとりまとめられており、後半には同様の人達同士での座談会の内容が収録されています。
共通していたのは成年後かなり経ってから事実を知ることが多いこと、どの家庭もどこか父親(と思っていた存在)が素っ気なかったり夫婦仲があまり上手くいっていないように感じることでした。
事実を教えられないまま大人になった結果、親に騙された気持ちが強くなり、自分も夫も子どもも知らないまま家族を持ってしまったことに恐ろしさを感じることがある様です。
実の親からではあり得ない遺伝性の病気に苦しんでい人もいました。
事実を知らない方が幸せだという考えは間違っているのでしょうね。
生殖医療受けてまで親には自分を産んで欲しくなかった、自然に生まれてこない命を無理矢理生まれさせる罪深い行為だという当事者の主張に一部納得しつつも、人間の進化社会の変化で命の生まれ方は変わっていくものだと思うし、生まれ育ちは確かに特殊だとしても自身の不幸のほとんどをAIDのせいにし過ぎてはいないかなとも思えました。
同時に自分もまた精子提供という行為を正当化し過ぎるあまり、ネガティブな意見を目にしてしまった時に目を瞑ってはならないし、自身のAIDで生まれた子達の心が救われるような行動を絶えず考え続ければならないと痛感致しました。
しかしながら、こういう存在の人達が居たから出自を知る権利を大事にしようとしたり、子どもにとって理想的な告知とは何なのか考えを巡らせてテリングの絵本が作られるようになったのだと思います。
この技術で生まれてきた方達とは別に、AIDで子どもを持ちたいと思った親達の気持ちを綴った本も読んでみたいと思うようになりました。
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