沖縄県精子提供 命どぅ宝

沖縄県南部で精子ドナーとして活動

『AIDで生まれるということ』を読みました。

2023-12-15 11:54:15 | 日記

今回は精子提供について考えたことがある方の多くが手に取るであろう本について触れてみたいと思います。


非配偶者間人工授精で生まれた人達が、それぞれ自分の出生の秘密を知ったいきさつ、事実を知る前と後、AIDについて思うことについて一人ひとりまとめられており、後半には同様の人達同士での座談会の内容が収録されています。

 

共通していたのは成年後かなり経ってから事実を知ることが多いこと、どの家庭もどこか父親(と思っていた存在)が素っ気なかったり夫婦仲があまり上手くいっていないように感じることでした。

 

事実を教えられないまま大人になった結果、親に騙された気持ちが強くなり、自分も夫も子どもも知らないまま家族を持ってしまったことに恐ろしさを感じることがある様です。

実の親からではあり得ない遺伝性の病気に苦しんでい人もいました。

事実を知らない方が幸せだという考えは間違っているのでしょうね。

 

 

生殖医療受けてまで親には自分を産んで欲しくなかった、自然に生まれてこない命を無理矢理生まれさせる罪深い行為だという当事者の主張に一部納得しつつも、人間の進化社会の変化で命の生まれ方は変わっていくものだと思うし、生まれ育ちは確かに特殊だとしても自身の不幸のほとんどをAIDのせいにし過ぎてはいないかなとも思えました。

 

同時に自分もまた精子提供という行為を正当化し過ぎるあまり、ネガティブな意見を目にしてしまった時に目を瞑ってはならないし、自身のAIDで生まれた子達の心が救われるような行動を絶えず考え続ければならないと痛感致しました。

 

しかしながら、こういう存在の人達が居たから出自を知る権利を大事にしようとしたり、子どもにとって理想的な告知とは何なのか考えを巡らせてテリングの絵本が作られるようになったのだと思います。

 

この技術で生まれてきた方達とは別に、AIDで子どもを持ちたいと思った親達の気持ちを綴った本も読んでみたいと思うようになりました。


川上未映子さんの『夏物語』を読みました。

2023-06-19 12:06:42 | 日記

以前から気になっていた作品で、やっと手に取ることができました。

 

セックスに感じた不安や苦痛がきっかけになりうっすら男性不信になった夏子。結婚しないままアラフォーになった彼女が精子提供を知ったのをきっかけに、AIDで生まれた逢沢と善という2人に出会います。

 

逢沢は無精子症の父親のために母親が人工授精を受け産まれました。父の死後に祖母から血の繋がっていないことを罵倒するように明かされ、また結婚を考えた女性から「自分の半分が何処からきたのか分からない人の子どもを産みたくない」と拒絶され、失意によって自殺未遂をした過去を持つ逢沢。AID当事者の彼との出会いを皮切りに、様々な境遇の女性が登場し、精子提供で子どもをつくって良いのか?更にそれとも本当に命というものは親の都合で生み出してもかまわないのか?夏子に、そして読み手に考えさせる作品です。

 

夏子同様に、私も精子提供の事実が生まれた子どもを悲しませるのではなく、両親に嘘をつかれたこと隠されたことを悲しむのではないかということは、私も非配偶者間人工授精に関する書籍について全く同じことを思いましたし、AIDに否定的だった逢沢と善も同様の境遇で描かれていましたね。

 

テレビの精子提供番組は内容流れがクローズアップ現代ほとんどそのままですね。そしてヴィルコメンはクリオスさんがモデルでしょう。

 

 

で、夏子がWebやメールの上ではしっかりしていると思えた個人精子提供者の恩田。このドナーもやはりモデルがいると思います。元彼の成瀬とダブらせるような、相手のことを考えずに、早口で提供のことをまくし立てる描写は、読んでいる私さえも次は読み飛ばすと思えるような生々しさでしたね。連絡があったドナーがもし恩田のような人物であれば、子どもを産むという夢を諦めてしまう人が出てもおかしくない、非常に罪深い存在です。

 

 

しかし恩田のように自分の思いを一方的に伝えようとする方ばかりでなく、もっと提供希望者が望むような対話の仕方や資料の用意をする方もおられますので、このブログをお読みになった方は、失望し過ぎないようにして欲しいのと同時に、ひょっとしたら取材で大変な思いをされたかもしれない著者には本当に頭が下がります。

 

私だったら恩田の立場でどのような面談をするか?そしたら夏子はどんな反応をするのか?少し想像させられました。

 

 

 

「自分の子どもが絶対に苦しまずに済む唯一の方法は存在させないことなんじゃないのか?」

「人生は良いことも苦しいこともあるって言いながら、本当はみんな幸せの方が多いって思ってる。自分がその賭けに負けるなんて、生まれてきたことを後悔するかもしれないなんて思っちゃいない。だから子どもの人生を賭けられてしまう。」

 

善百合子は夏子にあまりに重く悲観的な、でも絶対に反論しきれない主張をします。

 

善が物語の都合上、AIDに限らず命をつくる行為を否定するため、壮絶な過去を背負わされた存在であることを差し引いても、

 

生まれてこれるだけで幸せなんて現実逃避をゆるさない存在である彼女を否定しきれないのは本当につらいです。

 

 

しかし今、AID当事者にとって状況は変わり始めています。

作中にも家族が幸福な状態でのテリングが望ましくあり、これから子どもは親たちにたっぷり時間をかけて考えてもらいながら告知を受けることができます。必要とされれば精子提供者と親がそろっていつどの様にして権利を使わせてあげられるか考えることもできます。

 

ネットやSNSに限ってもこれだけ個人の精子提供が行われ、同時に出自を知る権利の重要性が注目されているのですから、きっとこれからどんどん生まれた子ども達が自我に目覚めて、こういう方法で事実を知ることができて良かったというような後から子どもが生まれた親にとって模範となるケースを私たちは知ることができます。

 

 

自分のみの事に限っても、ドナーと提供した複数のご家族の繋がりがあることで、すでに2歳から絵本を使ったテリングを行うご家族がおられることですとか、こういう工夫があるよと言う様なちょっとしたことも各ご家族と共有させて頂きます。

 

 

本作の最後で夏子は子どもを産むことを選び、逢沢に精子提供者となってもらい選択的シングルマザーになります。提供者となった逢沢は奇しくも自身と同じ方法で子どもをつくることになりましたが、夏子が将来子どもが望んだときに彼に会わせることが物語の救いになっていますね。

 

 

自分は夏子のような、いわゆる選択的シングルマザーへの提供経験はほとんどありません。かつてご提供させて頂いた無精子症やトランス男性のご夫婦レズビアンのカップルは、もちろん精子提供について随分お悩みになってお話し合いされた後のご依頼であったことと思いますが、皆さん誰かから愛されていて生きてきて良かったんだなと思われるから、子どもを作ることを選んだ方達でした。

 

 

愛することを疎かにすれば善や逢沢のような存在を作ってしまうことから目を背けずに、私は望まれる方々のためにドナーとしての責任を全うさせて頂きます。

 


沖縄の精子バンク

2023-05-20 12:23:53 | 日記

 

 

沖縄にはストークラボオキナワという精子提供当事者の方が運営されている精子バンクがあります。実際にAIDで実際に精子提供で生まれたお子さんを持った方がここまで行動した例を国内で私は知らなかったですし、海外のような先進的な活動ですね。

 

 

子どもたちにとって本当に大切な出自を知る権利も保証してくれていますし、本土にもこういうしっかりした団体があれば、精子提供を安心して受けられる方も増えるのに…とすら思えるくらい、羨ましく思います。

 

 

ではなぜ命どぅ宝のような個人が提供活動をしようとしているのか?その理由がいくつかございます。

 

 

 

1つ目が近親婚を防止するためです。元々本土で活動していたのを終了したのは、同県内でご依頼を頂くことが増えたためです。

 

 

 

精子提供者から見れば、どこでどなたにご提供したか分かった上で活動すれば近親婚への不安は薄いです。しかし提供を希望されて子どもが生まれた家庭はそうではありません。

 

 

非配偶者間精子提供で生まれたお子さんはドナーでうまれた告知がされる故に、どのタイミングで血の繋がった遺伝子上の兄弟姉妹に出会うか分からない不安と幼少期から向き合わなければいけません。この不安は行動範囲が狭いほど、同一ドナーで生まれたお子さんが多いほど大きくなってしまいます。

 

 

近親婚を完璧に阻止しようとすると、親と子ども両方にとって息苦しい状態になりがちです。それは精子ドナーにとっても同様です。だからこそご提供先に居ない、そして血の繋がりが未だ無い土地、沖縄で活動することは必ずお困りの方の助けになると思えました。

 

 

 

もう一つはご依頼の日にちにあわせて精子提供をするという活動の主たる部分で、精子提供をしているとぶつかりがちな2名以上のご希望日が重なった場合、個人で活動した方が調整しやすいからです。

 

 

 

ドナー経験のある男性ならばお分かりになるかもしれませんが、同日提供となった場合、採精するのに1回目と2回目では量が明らかに違うと思いますので、このような不公平も是正したいというねらいがございます。

 

 

 

自分の場合多くても2枠ご依頼があり次第、ブログやSNSで枠がいっぱいになったことを宣言させて頂きます。

 

 

 

 

最後になりますが、自身は提供活動に全く妥協をするつもりはございません。しかしながら依然として妊孕には解明に至っていない謎も多く、妊娠に至らない場合もあるかもしれません。ある男性の精子でまったく妊娠しなかったが、別の男性の精子で自然妊娠→出産に至ることも充分に有り得るのです。

 

 

 

私はもし運悪くそういう場面に遭遇した方達のために選択肢を多く与えてあげたいと思っています。人工授精よりも安く回数をこなせるシリンジ法をまずお試し頂くことで、他の精子バンクや高度生殖医療を利用をする余地を残したいのです。

 

 

 

シリンジ法だけでは難しくて体外受精を試して頂いたり、私からストークラボさんにドナーを交代して頂いたり、あるいは逆のケースに対応したりしながら、子どもを望む方の願いをかなえさせてもらえれば幸いです。どうぞよろしくお願いします。

 


山口真由さんの卵子凍結からの妊娠

2023-05-03 18:59:54 | 日記

山口真由さん、『卵巣年齢50才』と言われ、「卵子凍結」という選択をして見えたもの

https://news.yahoo.co.jp/articles/f2829ac79684007b4ddb4575b6da7ce9e70a4bd2

弁護士・山口真由氏が妊娠 休養へ

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6462039

卵子凍結については数年前に同じくネットの記事と動画を視聴しましたが、現在は30歳ぐらいの女性であれば凍結後に10個に1個が胚盤胞になる位技術が向上しているようですね。以前は数%以下だったと思います。

 

テレビでよく知られている方が、こうして妊娠に結び付けられたのは、凍結を検討している女性達に大きな勇気を与えてくれたのではないでしょうか!


恐らくですが着床してから安定期をお迎えになるまで発表を伏せられていたのでしょう。山口さんはいつ頃かにご結婚されたという風にはお話しされておりませんので、精子バンクや精子提供をご利用になった可能性と、いつかそのお話について山口さんが語ってくれるのではないかと希望を抱きつつ、赤ちゃんが何事もなくお生まれになるのを祈りたいですね。

 


精子提供者と子どもを結ぶ法人が設立

2023-04-22 12:12:28 | 日記

https://nordot.app/1018457207548461056?c=39550187727945729

 

大学病院や不妊治療クリニックでドナーが分かるようになるということでしょうか。これでご両親や子どもたちの将来の不安が軽減されるのは間違いないので、素晴らしいと思います。

 

 

SNSや個人の精子提供では、精子提供者に雲隠れされてしまうと出自を知る権利も近親婚不安も放り投げられてしまうので、永遠の課題ですね。

 

 

沖縄精子提供 命どぅ宝 は、親と子どものアイデンティティーを守ることをお約束しております。