星くず日記

お気に入りの音楽のことや日々チョットしたことをまったーりと綴っていきます

12月といえば「歓喜の~」

2008-12-14 17:44:52 | Weblog
12月といえば「歓喜の歌」なんだけど、私は町の博物館で
「歓喜する岡本太郎」を見てきました。


数年前のテレビのドキュメンタリーを見て衝撃を受けた「明日の神話」の壁画が見れるとあっちゃ、行かないわけがない

 本物の「明日の神話」は縦5.5m、横30mの巨大な壁画です。
数奇な運命を潜り抜けてきたこの壁画は、ことし東京・渋谷駅前に設置されたのでにされた方もいらっしゃるのでは


私が今日、見たのはモチロン本物ではありません。4枚ある壁画原画の内の一つで川崎岡本太郎美術館所蔵のもので、なかなかの大きさがありました


この壁画はメキシコオリンピックの為に建設中のホテルの壁画として描かれたものです。
1969年、壁画は完成したのですがホテルは建設中止となって、壁画はその後行方不明になっていました

そして、行方不明だった壁画が発見されたのは35年後、21世紀になってからです。

壁画のモチーフは「原爆」

メキシコ、オリンピック、原爆、なかなか繋がりませんよね


太郎さんは考えました。
 オリンピックめがけて世界中からたくさんの人が集まるだろうと。 その人達に日本だけが体験した原爆による生命破壊の重大さを感じ取ってもらおうと

太郎さんの凄いところは、原爆の悲惨さを訴えるのではなく、平和の祈りだけでなく、人間が仕出かした不幸を乗り越えて、運命を切り開く「明日の希望」を描いたところ


まがまがしい悪意を思わせる暗い色、人骨を焼き尽くす紅蓮の炎、そのどの色よりも強烈なのは命=血を思わせる赤い色。


絶望と希望。戦争と平和、死と生。 相反する二つのものは実は背中合わせ。二つで一つ。そんなメッセージを勝手に受け取った私です


  背中に刃物を隠し持った少女が恐ろしい森と対峙しています。

 森の掟  森の生き物達を恐れさせている化け物の背中にはチャックがついています。チャックを開けると何が出てくる

この絵のスケッチを見るとまるで子どものラクガキのよう いい年をしたオジサンが子どもの絵のようなものを描けるなんて、太郎さんはやっぱり天才や




最後に太郎さんの言葉から私が気に入ったものを

 「あなたは絵描きさんでありながら、さかんに文章も書くし、いったいどっちが本職ですか?」

 『本職?そんなものありませんよ。バカバカしい。もしどうしても本職というのなら、“人間”ですね』


太郎さん、私はあなたはずっと、命の尊さ、生きる素晴らしさを追求した思想家であり、愛すべきオッチャンだったと思います。

超ネガティブ思考の私は、あなたの強烈なポジティブ思考に触れて、少し元気が出てきたような気がします

明日に希望が持てない時は、絶望が足りないんだ、もっと絶望を味わえば希望を持てるというのは、飛躍しすぎですかね


でもそれぐらい発想の転換、頭をガツンとやられました 暗いニュースのこの頃、アナタもガツンと一発やられに見に行ってみませんか