曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

映画「グリーンブック」の感想

2021-07-13 18:05:00 | テレビ・映画

アマゾンプライムで見た映画「グリーンブック」の感想。

著名で裕福な黒人ピアニストのドン・シャーリー(ドク)と、運転手兼ボディガードのトニー・リップがアメリカ南部をめぐるコンサートツアーの道中を描いたロードムービーである。それだけ書くと、非常に僕向きの映画で、実際これはうちの奥さんが、あんた好きでしょこういうの、と勧めてくれたものである。

白人と黒人の主人と運転手コンビといえば、「ドライビングMissデイジー」がすぐに思い浮かぶが、「グリーンブック」はポジションが逆で、黒人がインテリで富裕層、白人が粗野で社会的には下層の人である。その二人が人種差別が激しい時代のディープサウスを車で旅する。

この作品が面白いのは、ポジションが逆なだけではなく、二人が旅を通じてそれほど成長しないところにある。特にトニー。

こういう映画でステレオタイプの脚本なら、相互理解を深め、友情を育みつつ、インテリのほうが悪い遊びを覚えたり、やや卑猥なスラングを使うようになったりし、ワイルドなほうが読み書きができるようになったり、ビジネスのスキルが身についたりすると思う。

ところが、トニーは違う。粗野で無学な人物かと思いきや、素直で漢気があって機転も効く。割と早い段階で、この人元々ナイスガイだわと気付かされる。最初は黒人が使ったグラスを捨てたりしたが、ドクの演奏を一度聴いただけで感心し、世界一と本心から褒める。契約だからと言いながらも、ドクが差別を受ければ身体を張って守るし、得意のはったりで警官に賄賂を渡して切り抜けたりする。

ラストシーンでドクのことを「あのニガーはどうだった?」と訊かれたとき、トニーは「その言い方はよせ」と窘め、最初から黒人差別のない奥さんがほほ笑む。これがまあ成長というか、トニーの偏見がなくなっていることを表しているのだが、成長といえばそれくらい。あとは終始、差別云々より自分が納得いかないから差別するやつに対して怒るだけ。この、人種差別をテーマの一つにしておきながら、そこをあんまりガツガツ描かないのがよかった。

最終的には固い友情で結ばれるのだが、それもそれほどベタベタしてない。トニーの行動は熱いが、契約だから、ボスだから、と冷静。僕としてはちょうどよい友情度だった。

ドン・シャーリーという人は僕は知らなかったんだけど、コンサートシーンなどの彼の曲は結構いい。フリージャズに見せかけて、計算されたフレーズを幾何学的に配置してくるというか。ちょっと音楽制作の参考にしたくなった。

ロードムービーとしては、移動シーンはまずまず多めでよし。ストーリー的にいろんな街に立ち寄るので、そこは非常によし。ただ、移動シーンの風景は「オン・ザ・ロード」ほど変化に富んではいない。ディープサウスの空気感も、「エンゼルハート」の半分くらいでめちゃくちゃ旅行してる感はないのだが、脚本がよかったので概ねOK。アカデミー賞の作品賞を獲っただけある。

で、いい映画だったなあとWikipediaなどで調べたら、この映画、結構批判もされてるのね。特に白人が黒人を救う構図がだめらしい。

確かに、白人が見ればいい映画だと思うだろうし、黒人が見れば、うーん、となるかもしれない。差別する側が作った映画と言われれば、まあそうなんでしょう。共同脚本にトニーの息子が入ってるし。でも僕はそう単純には思えなかったんだよな。

ドクはいい服を着てて振る舞いも上流階級なので、行く先々で普通の貧しい黒人から憎しみの目で見られる。ドク自身も、自分ははぐれものの黒人と言っている。また、トニーもアメリカでは下のほうのイタリア系なので、時々アングロサクソン系に舐められる。イタリア系か、じゃあ半分ニガーだなと言われてぶちのめしたりする。ドクは3つも博士号を持っているインテリで、トニーに手紙の書き方を教えて感謝されたりもする。黒人が白人を救うシーンもあるのだ。

というわけで、この作品の差別感は、単純な白人と黒人のじゃないんだよね。最後NYに帰る途中で、パトカーに止められ、また嫌がらせかと思いきやパンクを注意してくれただけというシーンが象徴しているように、どっちかというと北部と南部の違いを描いているように僕には思える。

ああいい映画だったと無邪気に浸っているだけではただの馬鹿なので、あとで他人の評価を調べることは必要なのだが、なんつーか今回は水を差された気分である。みんなちょっと悪く考えすぎじゃない?


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中南米諸国の国名と首都を覚えるための歌

2021-07-10 22:13:17 | その他

またまた僕が機能性音楽と呼ぶ暗記用曲。今度は中南米諸国の国名と首都を覚えるための歌。
オケが長くて後半国が足りなくなり、イギリス海外領土まで歌い上げている。
しかも、キュラソー島がオランダ領だったことを思い出し、合いの手を入れてごまかしている。
キュラソー島は元ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティンの故郷でもある。

機材的には例によってKORG GADGETで、オケっぽい部分というかコード感があるところというか、リズム隊とベース以外の部分はLFOでアルペジオ的にいろいろ飛ばす手抜き工事である。
その割に自分では気に入っている曲である。
歌はほぼ初音ミクで、合いの手がVY1 Lite。

スマホのかたはListen in Browserを押すと、SoundCloudに飛ばされずに聴けます。

中南米諸国の国名と首都
作詞作曲:msknst

グアテマラ グアテマラ ベリーズ ペルモバン
エルサルバドル サンサルバドル ホンジュラス テグシガルパ
ニカラグア マナグア コスタリカ サンホセ
(パナマはパナマ)
キューバ ハバナ ジャマイカ キングストン

ハイチ ポルトーフランス ドミニカ共和国 サントドミンゴ
バハマ ナッソー プエルトリコ サンファン ドミニカ国 ロゾー
トリニダード・トバゴ ポートオブスペイン コロンビア ボゴダ
(メキシコ メキシコシティ)
ベネズエラ カラカス エクアドル キトー

ペルー リマ チリ サンチアゴ
アルゼンチン ブエノスアイレス
ボリビア ラパス パラグアイ アスンシオン ウルグアイ モンテビデオ
スリナム パラマリボ ガイアナ ジョージタウン
(ブラジル ブラジリア)
バルバドス ブリッジタウン グレナダ セントジョージズ

セントビンセントおよびグレナディーン諸島 キングストン
セントルシア カストリーズ
アンティグア・バーブーダ セントジョンズ
セントクリストファー・ネイビス パセテール
ここからはイギリス海外領土
ケイマン諸島 フォークランド諸島
(オランダ領 キュラソー島)
アンギラ モントセラト タークス・カイコス諸島
イギリス領ヴァージン諸島
(フランス領 ギアナ)


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小田原ドラゴン「今夜は車内でおやすみなさい。」の感想

2021-07-06 19:06:00 | 

小田原ドラゴンの「今夜は車内でおやすみなさい。」の第1話を無料試し読みで読んだら、いてもたってもいられなくなった。何件か本屋をめぐってようやく探し当て、1、2巻とも買った。



主人公は、作者と微妙にオーバーラップする売れない漫画家シャーク小笠原。月に1本、4コマ漫画の連載を持っているが、それだけでは食べて行けず、工場でバイトしている。50歳になるが未だ独身で、15年前に少し交際していた由美子さんに未練を持っている。

第1話でシャーク小笠原は「この先もう何のドラマもなく」「ただこのまま歳をとって死んでいく」「自分はもう終わった人間なのではないか」と考えて怖くなり、身体ががくがく震え出し、車に飛び乗ってやみくもに走り出す。

僕は何とか結婚して子供もいるが、30過ぎてもまだ独身だったころ、ときどきこうなった。もう何もないんじゃないか。もう誰とも出会わないんじゃないか。どこかで致命的に間違ったのではないか。

当時は車がなかったので、僕は震えて眠るだけだったが、シャーク小笠原はめちゃくちゃに運転して知らないところで車中泊。朝起きたら目の前に富士山があって、ちょっとすっきりして車中泊に目覚める。

僕はこのエピソードを読んで、全巻即購入を決意した。

目覚めてからのシャーク小笠原は、車中泊マンガの連載が決まり、そのためにホンダN-VANを購入。車中泊しながらいろんなことにチャレンジしては、大抵トホホな結果に終わる。道の駅でアヒージョを作ろうとしたけど車内で火を使うことに躊躇して、帰って家で作るとか、夜中にセキュリティアラームを鳴らしてしまって超焦るとか。

そして時々、心を抉ったり、胸が詰まるような述懐が挟まる。

「ボクはずっと若者だった。この世界に若者として生まれてきて、これからもずっとこの世界で若者として生きていくのだと思っていた。しかしボクはおっさんになっていた…」

そして、もう引き返すことのできない道を歩んできてしまったのかも、と背筋が寒くなり、ふと日本一周を思いつく。

2巻まででは、まだ日本一周に出発していない。おそらく秋に出る3巻からが本番。連載中のエピソードを見ると、四国まで行っている。作者の小田原ドラゴン先生も、N-VANで車中泊をしながら漫画を描き、毎週掲載している。実話と虚構が混ざったセミドキュメンタリーである。

若い人や、毎日が充実している人には全く刺さらないと思うが、僕自身は全く満ち足りておらず、特に仕事については氷河期時代もあって苦しいことのほうが多い人生だったので、この作品には共感しかない。いや、共感だけじゃなくギャグもあるし、結構笑える。毎週水曜日のヤンマガWebの最新話が楽しみである。3巻ももちろん買う。


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日本の総理大臣2

2021-07-04 09:43:00 | その他

また機能性音楽・暗記用ボーカロイド楽曲の話。

前回の総理大臣の歌は初代伊藤博文から戦後最初の幣原喜重郎までだった。今回はその続き。

制作当時はまだ安倍政権だったので、菅義偉は入っていない。今回は降板後に再登板した人が少ないので、それは入れてる。

なぜか寂しげな曲になってしまった。ボーカルは初音ミク。

歌詞を書きながら、片山哲の後の芦田均が抜けていることに気づいた。orz

 


日本の総理大臣2

作詞作曲:msknst


吉田茂 片山哲

吉田茂 鳩山一郎

石橋湛山 岸信介

池田勇人 佐藤栄作


田中角栄 三木武夫

福田赳夫 大平正芳

鈴木善幸 中曽根康弘

竹下登 宇野宗佑


海部俊樹 宮沢喜一

細川護煕 羽田孜

村山富市 橋本龍太郎

小渕恵三 森喜朗


小泉純一郎 安倍晋三1回目

福田康夫 麻生太郎

鳩山由紀夫 菅直人

野田佳彦 安倍晋三2回目


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