曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」をもう一度見た

2013-10-10 22:55:57 | テレビ・映画
以前、「後半はつまらなかった」と書いたロードムービー「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見ました。前回の鑑賞はホノルル→東京の機内で、旅の疲れで途中で寝てしまったんですが、今回はバッチリ目を開けてましたよ。風邪の名残で咳こみながらの鑑賞で、喘息持ちの主人公と謎の連帯感を覚えたりして。






一応説明しますと、キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラが若いころに友達と二人でやった南米縦断バイク旅行の話です。実話です。タイトルの通り、ゲバラの日記がベースになってます。

監督のウォルター・サレスは、この作品を撮ったことでフランシス・コッポラに目を付けられ、「オン・ザ・ロード」のメガホンを取ることになります。

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ではいつも通りの曖昧な感想。

旅に出る理由の説明がありません。映画が始まったら、もう出発しそうな状態です。でも、旅立ち前のワクワク感が半端ないです。お父さんが「俺も若かったら行くのに」と羨ましそう。僕も羨ましいです。

ただ、この後もずっと僕は「なんで1台で行くんだろう。2台の方が楽なのに」と思い続けました。10年落ちのバイクは名前こそ「怪力号」ですが、ふたりの成人男性を乗せ(しかも片方は太め体型)、二人の半年分?位の大荷物を満載して、もう完全にオーバーロード状態。タイヤ潰れそう。未舗装路が多いので、いつもフラフラしていて、何度も何度もコケる。

主人公は「フーセル(激しい男)」ことエルネスト・ラファエル・ゲバラと、6歳年上のアルベルト・グラナード(デブ)。

フーセル役の人は、ちょっと垂れ目で甘いマスク。咳き込む演技が上手。僕はチェ・ゲバラに似てると思いました。

アルベルト役の人は、アメリカ映画に出てくる食いしん坊な脇役みたい。後のハバナ大学医学部教授には見えない。

アルゼンチンの草原や、大雪のアンデスの峠など、大自然の中をフラフラしながら走り抜けるシーンが前半は多い。が、僕は自然にはそんなに興味ない。人間が自然と戦う映画を見たければ「植村直巳物語」でも見ます。

僕がいいなあと思ったのは、チリに入ってからの街のシーン。突然湿度の高い空気が充満してきて、違う気候帯に入ったのがはっきりわかる。そこで妙に旅を感じた。

短かったけど、バルパライソもよかった。久しぶりの都会の喧騒・雑然とした雰囲気がよく伝わってきて、僕もそこにいるみたいな錯覚に陥る。だけど、ここで受け取った手紙がよくわからない。フーセルがすごく落ち込んで、何もしゃべらなくなってしまった。何もしゃべらないまま、次のアタカマ砂漠へ。

手紙の内容は、未だにわからない。本屋で原作をざっと立ち読みしたけど、分からなかった。

実はこのちょっと前で、すでに「怪力号」は力尽きている。物語の後半6割はバイクじゃなくて、徒歩とヒッチハイク。全然「モーターサイクル」じゃないのだ。

後半は、チリの鉱山労働者やアンデスの原住民族との出逢いなど、何か考えざるを得ない状況が続く。だが、サレス監督は各シーンをさっさと切り上げて次へ進む。

場所が変わるたびに、右下に地名とスタートしてからの距離が出るのだが、徒歩なのに200kmとか普通に進んでて、端折ってるなあ、と思った。

最後に、ペルーのアマゾン側の町、サンパブロのハンセン病療養所に辿り着いて、ダラダラと滞在する。前回の鑑賞では、ここで完全に爆睡していたのだが、今見ると、このダラダラ感がなかなかいい。旅の途中の足踏みって感じで。

と思ってたら、ここがクライマックスだったらしい。イカダをもらって、旅を再開。さあ、今度はアマゾン川の冒険だ!とワクワクしたら、次のシーンが空港。ベネズエラに残るアルベルトとの別れのシーン。

いくらなんでもあっさり次に行き過ぎじゃね?

「オン・ザ・ロード」もそうだったけど、サレス監督はオチがついてないのに次のシーンに行っちゃうことが多すぎるよ。「オン・ザ・ロード」は原作もそうなので問題ないけどさあ。

まあ、映画としてみれば、ちょっとどうなのよってところもあるんだけど、好きな作品かどうかと言えば、僕は大好きです。「美しい風景の中を移動→次の町に到着・イベント発生」を繰り返していくのがロードムービーなら、これはまさしく理想のロードムービーでした。

最後に、年老いたアルベルト本人がちょこっと出てくるんですが、いつも女のことばかり考えているキャラクターとして描かれてしまったのは、本人的にはどうなんだろうと思いました。

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いくつか「モーターサイクル・ダイアリーズ」の他の人の感想・レビューを見た中で、これが一番しっくりきたかな。読みごたえもあります。

無性に旅に出たかったあの頃を思い出す

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「オン・ザ・ロード」の感想記事で「第3部はまるごと省略」と書きましたが、ちゃんと描かれてました。同性愛おじさんの車に乗るところとかですね。
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