曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の感想(ネタバレなしver.)

2020-09-22 08:55:13 | テレビ・映画
「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見た。今回は舞台挨拶付きではないノーマル上映。でもまたショーショート外伝を貰えた。

とりあえずこの記事はネタバレしないように書きますが、気になる人は映画館で見てきてから、改めていらして下さい。



「劇場版」というタイトルはどうなのよ、と思っていた。「永遠と自動手記人形」だって劇場公開用作品だったし。しかし、見終わってみたら、これは確かに「劇場版」かもと思った。ヴァイオレットの全てを描き切った「ザ・ヴィオレット・エヴァーガーデン」とでもいうべき内容だったので。英語のタイトルも「Violet Evergarden the Movie」で、そんな感じだ。

この作品でやらなければならないことを、全て詰め込んでやり切った感がある。総決算というか集大成的な作りだった。ヴァイオレットの人と歴史を振り返り、今までの名シーンが適宜挿入された。テレビ各話の依頼人たちも一部再登場し、ヴァイオレットに救われた後の人生を、より良く生きていることが間接的に描かれる。

テレビシリーズ各話はもちろん、4.5話や「永遠と〜」は、全体の流れとしてはヴァイオレットの成長を描きながら、各エピソードは依頼人の物語であって、ヴァイオレットのそれではなかった。だが今作は、依頼の仕事と依頼人の人生も語りつつ、ストーリーの縦軸は完全にヴァイオレットの物語だった。彼女の届かぬ思いは?彼女の人生はこれからどうなっていくのか?の回答がきちんと出される。

特に決着のシーンは、必要充分以上の時間をとってじっくり描かれる。上映時間は多分2時間。最近のアニメ映画としては長い。長さだけでも、今作だけは絶対に妥協しないという京アニの意気込みを感じる。

冒頭、暗い夜道を誰かが歩くイメージ映像が流れる。最後に、それは歩くヴァイオレットの視点だったと分かる。数々の辛い事故、困難を乗り越えて京都アニメーションは歩き続けるのだ、という決意表明のように思えた。

最終的な着地点は同じだが、原作とは全く違う流れだった。最後の会話に一部原作のセリフが混じってる程度。原作ではヴァイオレットは30代になっても現役のドールを続けているのだが…。

依頼の仕事も映画オリジナル。原作の最終話「エバー・アフター」の「夢追い人と自動手記人形」がベースになると思っていたのだが、全然違った。本作に何か問題があるとしたら、原作ガン無視ということだろうか。暁佳奈さんが納得してるならいいのだが。

ほとんど違う展開だが、原作の下巻最終話で、ヴァイオレットの思いに決着が付く話のタイトルは「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」である。タイトルは原作に倣ったと言えるかも。

加藤貴昭という人が世界設定というポジションに就いている。パンフレットのインタビューによると、テルシス文字の翻訳もしたらしい。以前、ヴァイオレットの最後の一行を考察した記事で、手紙の文章を全てテルシス文字に置き換えているという前提で、と書いたが、ちゃんと置き換えていたらしい。さすが京都アニメーション。素晴らしい。

ちゃんと終わってるので続編や次のシリーズはないだろう。キャラソンとかドラマCDとかの展開もなく、京アニに丁寧に、特別扱いされている感じの作品なので、これで綺麗に終わったのだろう。寂しいけど仕方がない。また次の素晴らしい作品を待つことにしよう。







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