曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

エルバン・インクローラーボール

2013-10-12 22:36:00 | 文具
今売っているボールペンは、油性かゲルがほとんどである。油性は昔ながらの粘性の高いインクを使ったものと、ジェットストリーム(三菱)やビクーニャ(ぺんてる)など超なめらか系の2つに分かれる。ゲルインクボールペンは無数にあって、油性じゃなければゲルという状況だ。ゲルインクは水性インク並みになめらかで発色も良く、耐水性も高いし、キャップをしてなくても乾燥しにくい。いい事ばかりのボールペンである。

ゲルインクボールペンに駆逐された水性ボールペンは、今はユニボール・ビジョンエリートとユニボール・アイ(ともに三菱鉛筆)くらいしかない。その二つも、なかなか店で見かけなくなった。

三菱鉛筆ユニボール

水性ボールペンで書くとインクの濃淡が出るので、結構味わいのある字に見える。ビジョンエリートなどはインクフローが豊富で、書き味がなめらかだ(0.8mmだし)。なめらかさではジェットストリームに負けるが、ジェットストリームが人工的に無理やりなめらかな書き味にしているのとは違い、インクの自然ななめらかさがある。

…と書いていくと、分かる人にはわかると思う…というかマニアにとっては当然のことだと思いますが、水性ボールペンの特性は万年筆に近い。

万年筆のインクは水性である。紙にあたるところがペン先かボールかだけで、構造というか、考え方は同じである。

というわけで(かどうかは知らないが)、万年筆のカートリッジ(使い捨ての詰め替えインク)を使えるボールペンというものが開発された。エルバンのインクローラーボールである。エルバンはフランスの会社で、本来はインクのメーカーである。インクローラーボールは、エルバンのヨーロピアンな色合いのカートリッジを装着して、水性ボールペンのように使える代物である。

エルバン・インクローラーボール・スケルトン

ボールペンなので、先端はボールペンと同じである。違うのはその手前で、万年筆のペン芯のようなものがついている。ペン芯には万年筆のと同じように「フィン」がついていて、インクを溜めるのだと思われる。


>買った直後。まだカートリッジを装着する前。


>ロディアのブロックメモに書いたらこういう感じ。

万年筆の値段の半分以上がペン先なので、それがないインクローラーボールは安い。僕が持っているのはプラスチックの安いほうで、680円くらいで買った。軸が真鍮の高いほうは1800円くらいするが、真鍮なのは軸だけで、首軸はプラと同じなので安いほうにした。

万年筆ほど気を使わないし、最初から入ってるのはおフランス製のナイトブルーインク。これがパリの夜空か、なんて思いながら仕事でのメモ書きに活躍していたのだが、先日突然インクがフィンからあふれてボールの横の隙間から漏れてきた。



フィンは立派だけど、このプラっぽいパーツにペン芯のような機能があるのかねえ、と疑っていたのだが、やっぱりである。フィンはともかくインクをしみこませて蓄えておける素材じゃなさそうなんだよねえ。

ちなみに書き味は、意外に硬い。ジェットストリームでいえば0.5㎜くらいの太さだからだと思う。しかし、これ以上ボールを大きくすると、本当にインク漏れがすごいことになるんだろう。たぶん。

僕みたいな事故を起こした人はあまりいないようなので、製品の欠陥ではないと思うけど、せっかくのエルバンのナイトブルーが一気に減ってしまってがっかりである。なかなか買いに行ける環境にないので。

キャップの開閉を繰り返してると、嵌合部分が減ってきて甘くなりそうなのも怖い。真鍮版を選ばなかったのは、嵌合部分のある軸がプラと同じだったからである。そこが金属じゃないと意味がない。

激安高性能万年筆としてマニアにも愛されているプラチナのプレピーもプラスチックで、使いこんでいくと開閉のストレスに耐えられずにキャップにヒビが入ってしまう。だが、プレピーはヘビーユーザー向けに金属製のプレピーも出しており、そちらは嵌合部分が金属である。正確には嵌合部分はプラだけど、それを包むキャップが金属で安心感があるし、実際未だに僕のは不具合はない。

プラチナ・プレピー

安くて超高性能なのが日本製の文房具だが、僕は輸入もののエキゾチックさも好きなので、エルバンには頑張って改良していただきたい。

ちなみに写真はXPERIA Zで撮ってXnRetroで加工した。

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