今夜は雪が降るかも、と言う予報ですが、何とか積もらないで欲しいですね。
昨日の午後、新国立劇場でワーグナーのオペラ「タンホイザー」を観てきました。タンホイザーは中世の騎士、吟遊詩人でもあります。官能的な愛と精神的な愛との間で葛藤するタンホイザーが純真な領主の姪エリーザベトの自己犠牲によって救済される物語です。
1834年初演でワーグナー(1813~1883)中期の人気作です。3幕で2回の休憩を挟んで4時間超、ワーグナーのオペラの中では短い方だと思いますが、ワーグナーは体もそうですが頭も相当疲れます。でもやっぱりワーグナーのオペラは素晴らしい。聴いた後は自分もちょっと高尚な人間になった気分( ◠‿◠ ) ワグネリアン(ワーグナーの崇拝者たち)の人達がイタリアオペラを一段下に見るのも分かる気がしないでもありません( ◠‿◠ )
ワーグナー自身が台本も作っているのですが、題材となっているのが中世の「タンホイザー伝説」と歌合戦を行ったと言う「ヴァルトブルグ伝説」。
タンホイザーが迷い込み、ヴェーヌスと愛欲の日々を過ごした異界の地ヴェーヌスベルク、ヴェーヌスとは、ローマ神話の愛と美の女神ヴィーナスのこと。ローマ帝国がキリスト教化してからは居所をドイツに移し、そこに洞窟を作って隠れ住み騎士たちを誘惑、歓楽の園にしたとされ、この地はヴェーヌスブルク(ヴィーナスの山)と呼ばれ、ここはキリスト教徒にとっては禁断の地となっているんだそうです。ヴィーナスの末路がそんなことだったなんて、知りませんよね( ◠‿◠ )
タンホイザーを歌ったのはドイツのテノール、トルステン・ケール。親友の騎士ヴォルフラムは同じくドイツのバリトン、ローマン・トレーケル。領主の姪エリーザベトはラトビア生まれのソプラノ、リエネ・キンチア。ヴェーヌスはドイツのメゾソプラノ、アレクサンドラ・ペーターザマー。領主役で妻屋秀和さんも出ていました。みなさんとても素晴らしい声でしたね。オーケストラは東京交響楽団。指揮はイスラエル出身で巨匠バレンボエムに師事したアッシャー・ワイッシュ さんでした。
序曲、歌合戦が始まる前の雄大壮麗な大行進曲、巡礼の合唱に多くの素晴らしいアリア、堪能しました。時にはワーグナーも聴かないと、と思いながら帰って来ました。