徒然日誌

映画、演劇の感想はおそらく例外なくネタばれ注意!です。

22-アビエイター

2005-04-23 | 映画2005
私は不完全な潔癖症である。常時というわけではないが、一ヶ月のうちに何日かだけいろんなものが触れなくなる。あるいは他の人と食事を分け合えなかったり、友人の飲んだペットボトルに口がつけられなかったりする。指紋のついたコップなんて絶対無理。いつも悩まされるのは、指紋のべたべたついたエレベーターのボタン。あれは体温に反応するので、ハンカチ越しには反応してくれないのだ。触らないとエレベーターに乗ることができない。
……ちと、最初っから話がずれていて申し訳ない。
この映画ですごいと思ったのは、ハワードのあの狂気なまでの潔癖症(苦笑)。気になりだしたら止まらないので、あの狂ったように手を洗う姿に思わず共感した(苦笑)。いや、ほんと。それを真に迫って演じているディカプリオさんはすごいっ。

というわけで、「アビエイター」を見てきた。事前に見た友人談では、長いから体調を整えて見よとのことだったのだけど、ちなみに映画の梯子をして本日2本目(苦笑)。
この話はアメリカの実業家にして映画製作者、飛行機製作者であり、政治にも積極的に関わった大富豪ハワード・ヒューズ氏のいわば伝記のようなものである。
ハワード・ヒューズ氏というのは、油田の掘削機で大富豪となった父親のもとに生まれた生まれながらの大富豪。両親を若くして亡くし、父親の会社は他人に任せたまま、20歳で昔からの夢である映画を製作するためにハリウッドへ。見事な航空映画「地獄の天使」を製作する。87機もの現物の戦闘機を購入して、本物のフライトを撮影するが、3人のスタント・パイロットが死亡したり、雲を待つために時間を費やし、さらには無声だったものをトーキー映画に変えたりしたため、莫大な費用がかかった。映画としては大ヒットし成功したが、制作費は回収できなかった。そのうち飛行機の魅力にとりつかれ、ヒューズ航空機制作会社を設立。自ら設計した飛行機で最速記録を更新したり、大きな飛行機を製作したりする。幼少の体験のせいか潔癖症で。途中精神的にかなり追い詰められていく。
とまあ、こんなとこかな、ちと中途半端な説明で申し訳ない。

私は別にディカプリオさんのファンではないのだけど、3時間というこの映画の長さは実は全然感じなかった。途中眠くなることもなく、結構集中してた。もっとも遠くで誰かが携帯を開いた光には閉口したけど。自分ではきっと隠してるつもりなのかもしれないけど、映画館って結構段になってるので後ろから前の人の携帯等の光は絶対気になる。すごくマナー違反だと思うので勘弁してほしい。

ハワードは非常にストイックな性格で、一つのことをとことん突き詰める性格のようで。ああいうのを天才肌っていうんだろう。潔癖症もかなりすごかった。それさえも完璧主義の象徴のような気がしてしまう。小さい頃から母親に溺愛されて大切に育てられてきたせいか、人との付き合い方はうまいとはいえないように思う。同年代の友達がいない孤独な幼少時代のツケが大人になってからの態度に表れている。愛し方を知らない。人とコミュニケーションがとれない。母親に守られた無菌室に入れられていたので、他人と共用することが我慢できない。女性に対して変に疑い深いのもそのせいか。
幼少時代の体験というのは実に人間の性格作りに影響を及ぼすのだなと(笑)。

「地獄の天使」はすごかった。カメラを探し続ける信念にも完璧主義が表れている。潔癖症からくる精神的な崩壊は完璧主義の成れの果てなのか。ハワードは細菌を恐れてホテルでは一日を裸で過ごしたそうだが、裸の方がより菌に触れそうな気がしてしまうのは私だけか。あのホテルの部屋、匂いもひどかっただろうに。尿を牛乳瓶に入れて並べるところは思わず勘弁してくれ!と声を出しそうになった。
どう考えてもかなり狂気に満ちていたと思うのに、公聴会であれだけ天才的に反論できているのがすごい、まるで人が違ったようだと思った。あれがハワードが天才たる所以なのか。

どう考えてもこんなやついねぇーよっ!と思えるこの物語が実話っていうのが怖い。実際に最後まで実業家的にはいろんな会社の売買をして遺産も90億円ほどあったとか。あれだけ徹底的に使ってるのにさすがは大富豪、なくならないのね…。ていうか、無くさない術を身につけてるのね…。

決して感情移入はできなかったし、彼の気持ちがすべて理解できたとは思わない。でも、彼の深い孤独感は非常に感じたし、彼の奇行はすべてそれが根底にあるのだろうと思う。彼の孤独を理解し、彼を包むことができる誰かがいたら、あるいは彼の運命は違ってたかもしれないね…と考えると、ハワードもやはり哀しいのかな…。

さて、どこかのサイトで潔癖症と完璧主義の関連性について書いていた方がいた。
とすれば、さしずめ私は不完全な完璧主義といったところか………うん、当たってる(爆)。



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私もちょっとわかります (chishi)
2005-04-30 12:23:06
電車のつり革とか、触れない。

お金も妙に汚く感じて一生懸命手を洗っちゃいます。

でも急に平気になったりもするんですよねー。



sachiさんの記事読んで、今ふと思い出しました(笑)
わかりますか(笑) (sachi@管理人)
2005-05-01 00:42:31
電車のつり革、うーん。一時期あれに手を通して上の紐の部分を持っていた頃がありましたね(苦笑)。つり革よりも握り棒はさらにいや。指紋がべたべた付いているから。

それでも、神経質になってるときじゃなきゃ触れるんですが(苦笑)。



なんてね。共感していただけて嬉しいです(笑)。





ありがとうございます (まつさん)
2005-05-01 08:49:19
ご丁寧なコメントありがとうございました。

sachiさんの記事は、潔癖症という事項を元に書かれていたので興味深かったです。だからこの映画に対する感想も奥深く書かれているのだと思いました。
わざわざどうもです。 (sachi@管理人)
2005-05-02 22:18:01
ご感想いただけて嬉しいです!

思い込みとか思い入れで書くので結構偏った書き方になっちゃうんですけどね(苦笑)。

コメントありがとうございました。

コメントを投稿