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群馬・太田→栃木・足利 越境通学 打ち切り紛糾

2013年09月25日 20時46分10秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

東京新聞 2013年9月25日 夕刊

 半世紀にわたって「特例」として続いている群馬県太田市から隣接する栃木県足利市の小中学校への「越境通学」について、太田市が今月、二〇一四年 度からの中止の方針を示し、保護者が猛反発している。二十四日夜の説明会は三時間近く紛糾、「なぜ今変えるのか」「子どもの気持ちを考えて」と反対意見が 相次いだ。太田市教育委員会は在校生の転校に一定の猶予期間を設ける検討を始め、十月中にも最終判断する。 (美細津仁志)

 「太田の子どもは太田で育て、教育すべきだ」。今月三日の太田市議会一般質問で、清水聖義(まさよし)市長は今後、教育事務委託料に予算付けしな い考えを明らかにした。越境通学は長年、市議会で議論されてきたが、地元ではデリケートな問題として、多くは語られてこなかった。だが「ズルズル行っても 仕方がない」と、清水市長が大なたを振るった格好だ。

 太田市高瀬町の児童生徒百十六人のうち四十八人が約二キロ先の足利市立山辺小中学校に通う。地元の毛里田(もりた)小中学校までは約四キロと遠いためだ。最寄りの駅と郵便局など、生活圏は足利市にある。

 委託料は一九六四年に太田市が足利市と結んだ規約を元に足利市に支払い、山辺小中学校への越境通学を担保している。二〇一三年度は五百八十七万円。

 越境通学が廃止となれば在校生の転校は不可避で、太田市教委は九日付で関係する四十世帯に、新年度の方針を通知した。

 それによると、山辺中に通う生徒には部活動や受験などを考慮し、卒業までの通学を保証。一方、山辺小に通う児童には、一四年度から太田市側の毛里田小か駒形小に転校してもらう。小中学校の新一年生にも太田市側への入学を求めている。

 説明会は二十四日夜、地元公民館で非公開で行われ、父母三十八人に市教委が方針を伝えた。父母側は「猶予期間は設けないのか」「納得できない」な どと述べ冒頭から紛糾。「山辺小中学校に通えるから、引っ越してきた」「子どもの人権はどうなる。大人の事情ではないか」と迫る場面もあった。説明会は午 後七時半から約三時間に及んだ。

 渋沢啓史(ひろし)教育長は、小学一~五年の在校生について、「既に足利市から出ている入学許可証をほごにはできない」と理解を示した。終了後、清水市長に新年度以降も委託料を継続してもらう考えを明らかにした。

 受け入れ側の足利市教委の担当者は「太田市からの委託がなければ受託しようがない」と話している。

◆越境通学特例の経緯

 太田と足利の両市が委託料に基づく越境通学の規約を結んだのは1964年。太田市高瀬町から約4キロ離れた毛里田小中学校が遠いため、約2キロ先の山辺小中に通えるようにした。

 85年には山辺小とほぼ等距離の太田市側に駒形小、87年にはその先に城東中がそれぞれ開校し、同町から通学できるようになっている。

 近年は、毛里田小と駒形小でスクールバスが運行され、太田市側に通学する割合が増えている。本年度は町内の児童、生徒計116人のうち、48人が山辺小中へ通う。足利市に支払う委託料は約587万円。



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