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日系3世監督 映画「ヒロシマナガサキ」 異例、米国でテレビ放送

2007年07月23日 14時32分07秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
7月23日8時0分配信 産経新聞

 ■原爆被害の「真実」

 広島、長崎の被爆者らの声を集めたドキュメンタリー映画「ヒロシマナガサキ」が、広島に原爆が投下された8月6日に米国のケーブルテレビ、HBOで放送される。米国で原爆被害の実態に迫った作品のテレビ放送は異例という。

 日系3世のスティーヴン・オカザキ監督(55)は「米国で語られてきた原爆は、開発や投下などに対する議論であり、人の命はあまり語られてこなかった」と意義を強調する。日本でも今月下旬から全国で順次公開される。久間章生前防衛相の発言などで関心が高まるなか、大きな反響を呼びそうだ。

 映画は14人の被爆者と、原爆投下などに関与した4人の米国人の証言に記録映像などを加え、原爆の悲劇を描く。

 「(周囲は)黒こげの魚。言葉にするならそんな風にしか言えません…」「看護婦が病室にくると、大人も子供も『殺せ』と嘆願する。痛いから、治療が…」「患者があっちでもこっちでも死に始める。何の病気か分かんないんですよ…」

 政治的、学術的な解釈を排除し、被爆者らの証言や記録映像が淡々と続く。だが、訴えかけてくるものは力強い。

 「被爆者の話す言葉にこそ、真実がある」とオカザキ監督。

 監督自身も「昔は、被爆者や生存者がいるという考えはなかった」と明かす。だが、約25年前に、サンフランシスコで被爆者の会合に参加。漫画「はだしのゲン」も読んで衝撃を受けて以来、500人以上の被爆者から取材を重ねてきた。

 オカザキ監督は1995年、米スミソニアン協会の原爆展に伴う映画の製作を、周囲の反発で展示とともに中止にされたこともある。

 「当時は、戦後50年という歴史的意味が大きかったが、『9・11』やイラン、北朝鮮の核の恐れなど世界情勢が不安定な今、原爆被害を語ることそのものに意味がある」

 HBOは、4000万人以上の加入者を抱える米国大手の有料ケーブルテレビ。6日の初放送後も約1カ月間リピート放送する。

 オカザキ監督は「米国の劇場や学校での上映も期待したい。また、米国人だけでなく、日本人が見ることも大切。われわれがどういう方向に進むのか考える機会になるだろう」と話している。(福本剛)



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