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森羅万象 ~ 歩く印象派

「ハーバード白熱教室」が密かな人気

2010年06月18日 21時55分42秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
6月16日 18時00分

NHK教育テレビ『ハーバード白熱教室』(日曜18時~)という番組に、これは番宣コピー?と思わせるようなコメントがブログ上で飛び交っている。

・久しぶりにテレビで興奮しました!
・普段はテレビを見ないのに、これだけは欠かさず見ています
・久々に NHK、Good Job!といったところです


『ハーバード白熱教室』は、創立から400年近い米ハーバード大学の歴史の中で、最も多くの履修学生数を記録したというマイケル・サンデル教授の講義「Justice(正義)」をメディア公開したもの。
毎回参加者が1000人を超える講義とあって、4月の放送開始からネットでも話題は途切れることがない。

講義のスタイルは、様々なテーマについて、教授から学生に「君ならどうするか?何が正しいのか?その理由は?」と投げかけ、教授×学生、学生×学生で議論を深めていくというもの。
テーマは、臓器移植、兵役、政治倫理など興味深いものから難しそうなものまで多岐に渡る。例えば、第1回の放送(4/4)では、19世紀に起きた“遭難した船乗りたちが生き残るために、最も弱い少年一人を殺し、その人肉を食べて生存した”という事件(ミニョネット号の遭難事件)に対し、「道徳的に許されるか」との投げかけを発端に、論議は哲学者ジェレミー・ベンサムの功利主義「最大多数の最大幸福」にまで深まっていく・・・という具合。ブロガーたちは、

・自分だったらどう考えるかと問題定義しながら見てます
・自分自身で正義はどこに有るのかを考えるには非常に優れた講義
・知的刺激がほとばしって、ずっと眉間にしわを寄せていました


など、画面の中のサンデル教授に導かれながら、自分なりの知識と思考力をフル回転させて1時間を過ごしている模様。また、視聴者をグイグイ引き込んでいるのはテーマや教授のテクニックだけではなく、

・しかも、学生のレベルが高い!
・生徒もすごい。この大勢の中でよく質問する。また的を射ている
・思いもよらないような考えが飛び交って、毎回驚かされています


と、人種も社会的背景も異なる学生たちの思考力、ディベート力など、そのレベルの高さにも唸らされる。先生が一方的に話し、生徒はノートを執るというスタイルに馴染みある日本人にとっては、

・こんな授業だったら毎日学校行きたい
・今、受けてる授業はこのような形式ではないので新鮮でした
・意見をバシっと言うのが苦手。こういう場所で練習したい


と、活力あふれる講義スタイルが刺激的かつ魅力的に映るようだ。もちろんテレビ番組としても◎評価で、

・聞き漏らすとついて行けないのでスゴイ集中して見てます
・かじりつくようにTVを見るなんていつ以来だろう?
・ハーバードの学生になった気分!


と、能動的なテレビの見方に充実感や満足感を持っている姿が垣間見られる。文部科学省が学習指導要領で言うところの、知識・技能の習得だけでなく「思考力」「判断力」「表現力」を向上させることは、子どもに限らず、今、大人たちも求めていることなのかもしれない。
放送は6/20で最後を迎えてしまうが、再放送や書籍『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』(早川書房)も発売されている。これまで見逃した人もハーバードの学生気分になって思考を刺激させてみてはいかがだろう。

(高宮真琴)