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森羅万象 ~ 歩く印象派

元気なのは「東宝」だけ 中小は「エヴァンゲリオン」1本、倒産も多発

2010年05月18日 22時00分14秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)
5月18日12時15分配信 産経新聞

 映画業界がジレンマに苦しんでいる。大不況下にありながら昨年の総興行収入は前年比5.7%増の2060億円を記録。特に邦画は同1.3%増の1173億円で過去最高記録を2年連続で更新した。ただ、好調なのは大手のみで、昨春から中小の映画配給会社の倒産が続出。関係者は「不況の長期化で中小配給会社の安定経営がますます困難になっている」と危機感をあらわにしている。

 一昨年のリーマン・ショック以降、出資者の激減で制作費集めにも苦労している本場、米ハリウッドは日本映画界の好調ぶりをシニカルな目で見ている。

 当地の業界紙デイリー・バラエティ(電子版)は7日付で「Big players flourish in Japan(日本では大手が元気)」との見出しで現状を紹介した。

 ただ、その内容は「(業界トップの)東宝とそのメディア・パートナーは元気だが、多くの中小の映画配給会社は苦しんでいる」と前向きの評価ではない。さらにDVDの総売上高が対前年比で9.7%も落ちていることも中小の経営を揺るがしていると説明する。

 日本映画製作者連盟によると、総興行収入は一昨年、対前年比1.8%と微減だったが、昨年は人気作が増え、増加傾向に。総入場者数も同5.5%増の1億6929万人だった。

 邦画の比率は56・9%と洋画を2年連続で上回った。興行収入は邦画が同1.3%増、洋画は一昨年に過去最低を記録した反動もあり同12.3%増と大きく伸びたものの、公開本数は同19.1%も減った。

 ただ邦画も、昨年の興収1位の「ROOKIES-卒業-」(85億5000万円)をはじめ、興収10億円以上を記録した作品全34本のうち、東宝、東映など大手以外が手がけた作品はクロックワークスの「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の一本だけ。大手の活況とは裏腹に、小粒ながら優れた作品を手がけてきた中小の独立系の配給会社が昨春以降、続々倒産している。

 昨年4月には「ブロークバック・マウンテン」などを配給したワイズポリシー、同年8月には「ミリオンダラー・ベイビー」や「クラッシュ」などオスカー絡みの作品に強かったムービーアイ・エンタテインメントが倒産。今年1月には「パッチギ!」や「フラガール」で名をあげたシネカノン、4月には「ヅラ刑事」など個性的な作品で知られるトルネード・フィルムが店じまいした。

 こうした二極化の状況について愛宕(おたぎ)威志・同連盟事務局次長は「シネコンのスクリーンを今も300-400規模で押さえる資金力があるのは大手だけ。中小は海外映画の買い付けにも苦労しており、結果として大手による寡占化が進む」と話す。

 映画評論家の品田雄吉・多摩美大名誉教授(80)は「昔から映画配給の仕事はリスクが大きく不安定で、特に中小の経営を安定・継続させるのは難しい。不況の長期化でその傾向が顕著になった」と説明。「状況改善には、ミニシアター同士が横の連絡を取り合い、連携を強める必要がある。良質の小作品を効率的に上映し続ける地道な努力で市場の裾野が広がれば」としている。(岡田敏一)

昭和の「オートレストラン」を探せ 収集家、京滋など探訪

2010年05月18日 19時17分54秒 | 歩く印象派
めん類の自販機が健在のオートレストラン。30秒でプラスチックの器に入った熱々のうどんが出てきた(栗東市)

5月17日14時59分配信 京都新聞

 コンビニエンスストアが少なかった時代、「オートレストラン」や「オートスナック」と呼ばれる24時間営業の自販機コーナーが多くあった。めん類やハンバーガーなどの自動販売機が深夜族の空腹を満たしてきたが、急速に姿を消しつつある。京滋など関西でどれだけ現役か。絶滅寸前の「昭和の情景」を探し求める男性がいる。
 滋賀県栗東市の国道8号沿いにあるオートレストランウーホー栗東店には「手作りの味」と書かれためん類の自販機がある。200円を入れると30秒で熱々のうどんが出てきた。薄いかまぼことワカメも付く。店長(44)は「生麺(めん)を入れて冷蔵しており、多い日で7~8杯出る。湯が沸かないなど故障が多いけど、年代ものの機械を自力で直して持たせている」
 京都府舞鶴市の国道178号沿いのドライブインダルマでもラーメンなどの自販機が並ぶ。約35年前の開業時からあり、2004年の台風23号では1メートル近く水没したが、不死身だった。店員(59)は「珍しがって買ってくれる人はいるけど、だいぶ利用は減りましたね」。
 こうした自販機は1970年代に生まれ、各地の幹線道沿いにコーナーが続々とできた。内蔵の電子レンジで1分ほど加熱して出てくるハンバーガー、銀紙で包んだ食パンをヒーターで温めるトースト自販機もあった。しかし、90年代にコンビニが増えると廃業したり、自販機の多くが製造中止となった。故障すれば部品がなく、やむなく撤去されるケースも増えた。
 ジャズギタリスト魚谷祐介さん(37)=東京都=は「昭和の貴重な民俗資料」として、全国の自販機コーナーを写真や映像に記録してホームページで公開している。既に北海道~甲信越の100カ所を巡った。今夏は関西を巡る予定で「懐かしい自販機の情報を地元の人から頂ければ」と呼び掛ける。ホームページ名は、80年代に人気だった自販機のハンバーガーにちなんで「グーテンバーガー~味わいの自販機コーナー」とした。
 自販機巡りの魅力を「昔にタイムスリップした感覚に浸れる。味はともかく、高度成長を求めた昭和の人々の営み、時の流れを、人けのない古びたコーナーでしみじみと味わえる」と勧めている。