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新種キノコ、命がけの「発見」 飼い犬が庭で吐き出す

2009年08月21日 23時32分43秒 | 館林ロストと愉快な仲間たち
2009年8月21日21時38分朝日COM
写真:宮崎市で見つかった新種のキノコ。「カブラアセタケモドキ」と名付けられた=黒木秀一さん提供宮崎市で見つかった新種のキノコ。「カブラアセタケモドキ」と名付けられた=黒木秀一さん提供

 飼い犬が庭に生えていたキノコを食べて中毒症状を起こした――。そう言って06年10月に宮崎県総合博物館(宮崎市)に持ち込まれたキノコが新種だったことが分かった。

 当時、同館の植物・菌類担当の学芸員だった黒木秀一さん(43)=現・県埋蔵文化財センター職員=によると、キノコが生えていたのは、宮崎市内の女性の庭に植え込まれていたアラカシの下。飼い犬が食べて約1時間後に嘔吐(おうと)したため、女性が動物病院に連れていった。症状は治まったが、獣医師は「原因は嘔吐物に含まれていたキノコでは」と考え、黒木さんの元に持ち込んだという。

 黒木さんが図鑑などで調べると、林や人家の庭でよく目にする毒キノコ、カブラアセタケにカサや柄の色合いがそっくり。しかし、その一番の特徴とされる柄の根元の球根状の膨らみがなく、胞子の形も異なっていた。黒木さんは別種と判断。北海道大総合博物館の専門家に鑑定を依頼したところ、新種と確認され、今年5月に日本菌学会の専門誌で紹介された。

 和名は、カブラアセタケに似ていることから「カブラアセタケモドキ」(フウセンタケ科アセタケ属)と名付けられた。毒成分の分析はしていないが、「アセタケ属は毒キノコが多いため有毒の可能性は高い」と黒木さんは言う。(阿部彰芳)