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森羅万象 ~ 歩く印象派

韓国の軍隊

2006年01月02日 23時45分16秒 | 読んだ本・おすすめ本・映画・TV評
 著者尹 載善(ユン・ジェンソン)氏は本書のあとがきで
「統一韓国と日本と中国が手を結び、軍隊のないアジア平
和時代をつくるというのは夢にすぎないだろうか。」と私
たちに投げかける。

 氏は1954年生まれ。軍を退役して今は日本の大学で教鞭
をとっている。そしてこれからの日本と韓国の関係はどうあ
るべきかを自問自答している。その出発点は日韓両国の青年
達とりわけ日本の青年のほとんどが韓国青年たちの兵役経験
およびその影響についての無理解にある。

 本書のテーマはズバリ韓国の兵役だ。とりわけ今なお続く
徴兵制の実情が詳らかに語られている。入営から除隊までの
プロセスにしても随所に具体的な体験談が紹介されていて非
常に理解しやすい。ここでもやはり韓国戦争(朝鮮戦争)の
影響が色濃い。北朝鮮との「休戦」状態は50年以上も続き
今なお緊張関係にある。

 著者は言う。「日本人が韓国人を本当に理解するためには
韓国の軍隊とそれが生んだ文化、いわば軍事文化をどうして
も知る必要がある」と。そして「その痛みを日本のみなさん
に知っていただきたい。」のだと。


 戦前の日本でも徴兵制が敷かれていたが、そのことを本書
のように丁寧にまとめあげたものを私は知らない。