中国・ロシア政府が莫大な金の購入を継続していることで金価格が上昇しており、いよいよドル覇権が危うくなってきましたようです。
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〇無視できない金(ゴールド)価格の上昇
ここのところドルベースでの金価格が上昇しているのはご存知の通りですが、民間の投資家から資金が金に流れこんでいるのもさることながら、中国・ロシア政府が莫大な金の購入を継続していることも価格上昇の引き金になっているようです。要は既存の外貨準備高の構成の中で金の保有を猛烈に増やしている状況にあるということで、あきらかに政策を変更しつつあることが窺えるわけです。
〇中国とロシア、「金保有を増やす」政策へ
中国政府は5月に16トン、6月に10.3トン購入しており、この半年ではなんと74トンも増やすほど急ピッチで金に資金をシフトしています。一方、ロシアも保有高は着々と増やしており、中国のように一気に増加させているわけではありませんが、その保有量は完全に中国を超えたレベルに達しています。世界の金保有でいいますと、ロシアが6位、中国が7位を占めています。非常に興味深いのは中国は金の生産国であるということで、ほぼ年間400トンほどの金を生産していますが、鉱山から得られた自国生産の金はすべて国庫に納められていると見られていますので、実際の保有量はもっと多い可能性もありそうです。
〇一方、米ドル保有比率は低下中
それとは逆に、世界の主要中央銀行の米ドルの保有比率は徐々に低下しつつあります。これらのことから、世界の金融市場における基軸通貨としての米ドルのプレゼンスはどんどん下落しようとしていることがわかります。
〇中露の金購入は米国との対立激化に対する準備か
こうした中国とロシアの米債売り・金購入という動きは、今後米国との対立が激化したときに、様々な制裁から逃れるためにも米ドルや米債などを保有せずに、安全資産でいつでも処分が可能な金にシフトし始めていることが窺われます。この動きは収まる気配がなく、米中、米ロの対立が加速すればするほど、両国の金購入は進むことが予想されます。
〇米ドル・米債はどこへ行く・・・
こうなると気になるのは、米ドルおよび米債の行方ということになります。とくに中国とロシアが積極的に米債を売って金の買いを入れることになると、米債価格は大きく下落することが考えられますし、この先さらに借金をして何とかしなくてはならない米国がつらい状況に陥るリスクも高くなりそうです。さすがに日本だけでは新規の発行債を買い支えることはできませんから、債券市場もどうなるのかが非常に注目される状況となってきています。
〇誰も買わなくなる米債・米ドルの時代
日本円にして2,200兆円超という莫大な政府の負債をかかえる米国では、たしかにトランプが言う通り金利など上げている場合ではないでしょうし、真面目に債務を返済するつもりなど全くない米国政府がドル安で帳消しにしてやろうと画策するのも非常によくわかる状況です。しかし基軸通貨として機能してきたドルがこうした主要国の通貨争いの中で敬遠されていくようになると、ドル安ははからずも実現するかもしれませんが、米債も買われなくなる時代が到来するのは時間の問題のようにもみえます。
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蔵端敏博
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〇無視できない金(ゴールド)価格の上昇
ここのところドルベースでの金価格が上昇しているのはご存知の通りですが、民間の投資家から資金が金に流れこんでいるのもさることながら、中国・ロシア政府が莫大な金の購入を継続していることも価格上昇の引き金になっているようです。要は既存の外貨準備高の構成の中で金の保有を猛烈に増やしている状況にあるということで、あきらかに政策を変更しつつあることが窺えるわけです。
〇中国とロシア、「金保有を増やす」政策へ
中国政府は5月に16トン、6月に10.3トン購入しており、この半年ではなんと74トンも増やすほど急ピッチで金に資金をシフトしています。一方、ロシアも保有高は着々と増やしており、中国のように一気に増加させているわけではありませんが、その保有量は完全に中国を超えたレベルに達しています。世界の金保有でいいますと、ロシアが6位、中国が7位を占めています。非常に興味深いのは中国は金の生産国であるということで、ほぼ年間400トンほどの金を生産していますが、鉱山から得られた自国生産の金はすべて国庫に納められていると見られていますので、実際の保有量はもっと多い可能性もありそうです。
〇一方、米ドル保有比率は低下中
それとは逆に、世界の主要中央銀行の米ドルの保有比率は徐々に低下しつつあります。これらのことから、世界の金融市場における基軸通貨としての米ドルのプレゼンスはどんどん下落しようとしていることがわかります。
〇中露の金購入は米国との対立激化に対する準備か
こうした中国とロシアの米債売り・金購入という動きは、今後米国との対立が激化したときに、様々な制裁から逃れるためにも米ドルや米債などを保有せずに、安全資産でいつでも処分が可能な金にシフトし始めていることが窺われます。この動きは収まる気配がなく、米中、米ロの対立が加速すればするほど、両国の金購入は進むことが予想されます。
〇米ドル・米債はどこへ行く・・・
こうなると気になるのは、米ドルおよび米債の行方ということになります。とくに中国とロシアが積極的に米債を売って金の買いを入れることになると、米債価格は大きく下落することが考えられますし、この先さらに借金をして何とかしなくてはならない米国がつらい状況に陥るリスクも高くなりそうです。さすがに日本だけでは新規の発行債を買い支えることはできませんから、債券市場もどうなるのかが非常に注目される状況となってきています。
〇誰も買わなくなる米債・米ドルの時代
日本円にして2,200兆円超という莫大な政府の負債をかかえる米国では、たしかにトランプが言う通り金利など上げている場合ではないでしょうし、真面目に債務を返済するつもりなど全くない米国政府がドル安で帳消しにしてやろうと画策するのも非常によくわかる状況です。しかし基軸通貨として機能してきたドルがこうした主要国の通貨争いの中で敬遠されていくようになると、ドル安ははからずも実現するかもしれませんが、米債も買われなくなる時代が到来するのは時間の問題のようにもみえます。
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蔵端敏博