経済破局は来るのか?

経済破局がいつくるのかを、金貸し支配を読み解きながら、追及しています。

ロシアで米国債売却と金保有の動き。一方で日本は?

2018年08月29日 12時28分36秒 | 日記
ロシアのしたたかかつ、現実的な資産戦略。
一方で、従米日本の脆弱な資産状況が見えてきます。

以下、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」(平成30年7月26日)
「ロシアは保有してきた米国債券の殆どを売却していた そして金保有を高めていた。1944トンと日本の二倍半」(全文)です。
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 プーチンはやはりしたたかだった。
 ウォール街ではロシアが保有してきた米国債券の大量売却が話題となった。昨年末に920億ドルを保有していた米国債が、現時点(7月25日)に、149億ドルに減っていた。替わりにロシアは金保有を急増させ、7月だけでも106トンを追加購入していた。合計してのロシアの金保有は1944トン。時価に換算して4600億ドルになる。いまや世界六位の金保有国である。

第一にプーチンは米国を揺さぶるために、通貨の崩壊に備えているという政治的なジェスチャーを示す必要がある。
全世界の負債総額247兆ドル(世界すべてのGDPの318%)という異常なマネー市場をながめれば、ドル、ユーロなどで資産を保有するより、ゴールドに替えておいたほうが良いとする「戦争に備える」貯蓄の原則も手伝う。

第二はロシアの場合、新興財閥が持ち去ってしまった資産がドル建て、あるいはユーロ建て(一部は英国ポンド建て)のまま海外に置かれていて、しかも欧米の経済制裁を受けて、殆どが凍結された事態への対応だ。銀行の記録の残らない実物の金で保有するのは、昔から世界中の金持ちの常識でもあった。

第三はドルの崩壊に備えるというより、人民元の崩壊への備えだろう。
ロシアは中国への輸出代金をドルで受け取ってきたが、一部決済を人民元建てとしている。原油、ガスの相当量をロシアはパイプラインと、鉄道輸送で中国に輸出しており、このうえに武器輸出が加わっている。一部は金での支払いも行われている。

通貨とは所詮、紙切れである。
1971年のニクソンの金兌換停止以来、紙切れが市場に乱舞しているが、裏打ちされてきた金との兌換という保証がなければ、大変動がきた時に「紙くず」となってしまう。
こういう認識は安定した民主主義国家では考える人が少ないが、ロシア人は本能的に自国通貨の危機を知っている。同様に怪しげな人民元の脆弱性も知っている。

こうした事情をうけて、ゴールド市場は急騰する筈なのに、原油高騰に反比例して、むしろ金価格は下落している。

 ▲日本の危機意識の鈍さはゴールドの国家備蓄の少なさが象徴する

日本の場合、ドル建ての金価格ゆえにドル高状況下では、顕著な下げは見られず、また消費税を回避する密輸がさかんに行われてきたため、ブラックマーケットが形成されている。

消費税が金売買の取引のたびに課税されるのだから往復で16%であり、金価格がそれなら16&以上上げる日がくるのか、と投資に二の足を踏む人が多い。
個人的な備蓄を好むのは中国人、インド人、そしてアラブの人々であるが、國際市場では中央銀行がそれなりに金備蓄をしている。

ところが、国家としての金保有も先進国のなかで、日本が一番少ない。
以下は列強の金保有の一覧である。

米国    8733トン
ドイツ   3373(米国から預託分1700トンを取り返した)
IMF   2814(SDRの保証システムとも言える)
イタリア  2451
フランス  2450
ロシア   1944(2017年は536トンだったから急増している)
中国    1054(ほかに金企業と民間とで合計3000トン強と推定)
スイス   1040
日本     764(全量をアメリカに預託している)
オランダ   612
以下、トルコ、ECB,インドなどが続く。
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竹村誠一
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迫る世界規模の金融崩壊ーロン・ポールの予言が成就する①

2018年08月26日 18時03分26秒 | 日記
1999年以来、世界の債務は80兆ドルから240兆ドルと約3倍にも膨れ上がっている

kareidoスコープより以下引用です
リンク

金融崩壊は、深夜、みんなが寝静まった頃に忍び足で近づいてくる・・・

・悲しいかな実現間近!ロン・ポールの予言

「世界は、金融メルトダウンに向かって突っ走っている」・・・
元連邦議会議員ロン・ポールは、公式の場で、たびたび、このような警告を発してきました。

ロン・ポールのもっとも衝撃的な警告は、2002年4月24日、ある委員会で行ったスピーチの中の一節でした。
以来、人々は、彼の一連の警告を「ロン・ポールの予言」と呼ぶようになったのです。

・・・ロン・ポール以外にも警告を発し続けている政治家たち・・・たとえば、ポール・ライアン下院議長もその一人です。

彼は、2012年の時点から米政府の国家債務に関する警告を発し続けており、数少ないトランプ派のCNBCなどは、彼のアーカイブまで設けているほどです。

トランプの登場によって、確かに米国は分断され金利上昇の兆しが鮮明になっています。
(※2013年8月13日配信のメルマガ「米国崩壊!ロン・ポールの予言と金融メルトダウン前夜の恐怖」にて詳述)

・「すべてが手遅れ、株価は現在の半分以下になる」

<前半省略>

・・・「すでに、2008年から2009年に起こった世界金融危機のときよりも事態は悪くなっている。(おそくとも)2018年中、もしくは、今後1年半以内に、想像以上の深刻な事態を招くことになるだろう」・・・

・・・ロンポールは言います。
「トランプの代わりに責められるべきは連邦準備制度(Fed)である」と。

・・・つい数日前も、CNBCのフューチャーズ・ナウに「株式市場は人類史上最大のバブル。崩壊は不可避!」と語気を荒くして警告しています。

<以下省略>

世界のGDPの総額の3倍が負債

<前半省略>

・・・ところが、市場のインサイダーたちは、すでに凶兆を察知しているのか、2008年以来見ていない速いペースで市場から資金を引き上げているのです。
“審判の日”は、そう遠くないうちにやってくるでしょう。

もちろん、借金に溺れているのは米国だけではありません。
国際金融研究所(the Institute of International Finance)によると、世界の債務総額は247兆ドルと、とうとう過去最高を更新したとのこと。

国際金融研究所は、四半期ごとに世界の総債務残高の数字を発表していますが、そのレポートを書いているアナリストたちにとって、決して欠かすことのできない見出しの文言は、「今回も記録を更新して過去最高!」です。

国際金融研究所がモニタリングしたてきたところによれば、世界の総債務の額は、この2年のうちで第1四半期に最大となりました。

国際金融研究所が無料で提供している世界債務モニター(Global Debt Monitor)によれば、世界の総債務残高は、2016年の暮れから30兆ドル増えて2017年12月現在では237兆ドルと過去最高を更新。その後、さらに9兆ドル以上増えて、現在では247兆ドルと過去最高をマークしたということです。

<以下省略>

・「花はどこへ行った」は、60年経って「花は消えた」に

<前半省略>

・・・国連主導のアジェンダ21(もしくは、2030アジェンダ)による「持続可能な開発目標」とは、国際通貨基金(IMF)専務理事、クリスティーヌ・ラガルドが繰り返し唱えている「国際通貨のリセット」と「GDP成長の足を引っ張る人々の淘汰」を前提としていることを忘れてはならないのです。

世界が、なぜ日本に注目しているのかと言うと、日本が世界に先駆けて少子高齢化対策とデフレ脱却に取り組んできた成果について各国政府が深い関心を寄せるようになったからです。

麻生太郎副総理が、社会保障制度改革国民会議で「さっさと死ねる社会」と思わず本音を吐露したのは、こうした世界各国の関心に応えるためのリップサービスだったわけです。

<後半省略>


続く




惻隠之心 
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迫る世界規模の金融崩壊ーロン・ポールの予言が成就する②~ 量的金融緩和は、GDPの成長には効果がないことが証明された

2018年08月26日 18時02分32秒 | 日記
量的金融緩和は、GDPの成長には効果がないことが証明された

kareidoスコープより以下続き引用です
リンク
<前半省略>

・・・中央銀行総裁からすれば、金融の量的緩和(QE)と量的引き締め(QT)を交互に繰り返しながら、彼らが言う「危機的状況」をコントロールしてきた、と言いたいのです。

もちろん、それはまったく欺瞞と傲慢のなせる業です。

しかし、ここにきて、中央銀行の虚構が、ようやく暴かれてきたのです。

QEは、いくらやっても機能しません。
大規模なQEとマイナス金利を組み合わせても、実質GDPは成長しないということが証明されてしまったのです。

QEがもたらす結果とは、脆弱な金融システムをさらに脆弱にし、最終的には怒った虎フグのように、金融システム自体の体をパンパンに膨らませることだけであるということが一般庶民にも、ようやく理解され始めてきました。

<中間省略>

・・・あれから5年経った今、クーの警告は、まったく生かされておらず、日本は潜在的に始まっているスタグフレーションから、いよいよハイパーインフレーションの段階に入ろうとしており、リチャード・クーの分析が正しかったことが証明されつつあるのは皮肉なことです。・米国主導の“金融パンデミック”が世界規模のバブル崩壊を引き起こす

<前半省略>

・・・しかし、借金爆弾を抱え込んで常にデフォルトに恐怖に苛まれ続けているのは米国だけではありません。
これは、中央銀行システムを導入した大部分の国に広がっている米国主導の“金融パンデミック”です。

前述したように、下のグラフを見てみると、1999年以来、世界の債務80兆ドルから240兆ドルと約3倍にも膨れ上がっていることが分かります。
リンク
(ソース:Institute of International Finance)
これについては、ブルームバーグ(4月11日付)も取り上げており、「GDPに対する家計負債の割合は、ベルギー、カナダ、フランス、ルクセンブルグ、ノルウェー、スウェーデン、スイスで過去最高を記録した。これは、紛れもなく世界的に金利が上昇し始めている兆候である」と報じています。

<省略>

・・・さて、頭の痛くなるような経済指標の話は別にしても、これからは「バブル崩壊後は、どんな世の中になるのか」に焦点を合わせてください。

そうすれば、日銀と政府による量的緩和によって、なんとなく好景気ムードが演出されているからといって、家計における借金を、これ以上増やすことは自殺行為であることが分かるでしょう。

「無価値の時代」の始まり

<前半省略>

・・・当然のことながら、今後、細心の注意をもって警戒すべきは、企業業績を悪化させる短期金利の上昇です。
それは、株式市場のバブル崩壊につながっていくからです。

・・・バブル崩壊が進行していくにつれて、調達した資金の返済に当てるために、土地の投げ売りが加速する可能性が高くなります。
そうなれば、三つの市場が同時にスパイラルを描いて奈落の底に落ちていくという、「無価値の時代」の始まりです。

具体的に言うと、去年、瞬間的にGMの時価総額を上回ったイーロン・マスクのテスラ社のケースが、まさに、それです。

テスラ社のように、日本の土地神話のときと同じように、「テクノロジー神話」を創り上げ、目いっぱいレバレッジを利かせて株価の吊り上げが行われているシリコンバレーの覇者などは、バブル崩壊前に多くの資金が引き上げられ、その時価総額は数十分の1になると予想されます。

ビジネス・インサイダーを始めとして、ブルームバーグなどは「テスラの投資家たちは、ドットコム・バブルのときのような催眠術にかけられている」と酷評しており、株式バブル崩壊の最初の犠牲者としてリストアップされています。

残されている唯一の疑問は、株式市場、債券市場、不動産市場やその他の市場が9割も下落した場合、どんな世界が訪れるのだろう、ということです。

世界最大の株式市場の時価総額が、10分の1になるなど、いったい誰が想像できるのでしょう。
しかし、現実に、それは起こったのです。

<以下省略>

金融恐慌は夜に忍び寄る

・・・このペーパーゴールドの市場規模は、少なくとも金(ゴールド)の現物市場の100倍はあります。

金ETFなどのペーパーゴールド市場が、なぜ、ここまで膨れ上がったのかというと、中央銀行、国際決済銀行(BIS)、およびブリオン・バンク(地金銀行)による貴金属の価格操作に由来していることは今までに何度か説明してきました。

金(ゴールド)の現物は、世界支配層が唯一「正貨」と認めている本物の通貨です。

ペーパーゴールド市場がはじけたとき、金(ゴールド)の現物はコピーしたり紙幣のように印刷したりして増やすことができないので、ペーパーゴールドを金(ゴールド)の現物に交換しようとしても、いちはやく危険を察知した、ごくわずかの投資家しか交換できないのです。

したがって、金ETFなどのペーパーゴールド市場も株式市場と同じように縮小し、ペーパーゴールド自体ももほとんど無価値になってしまう可能性があるということだけは肝に銘じておいてください。

<中間省略>

・・・今度こそは、各国の中央銀行と政府は金融システムを救うことはできないでしょう。

・・・利上げは世界的な債券市場の崩壊を引き起こし、それが、さらに次の利上げを呼ぶでしょう。
これは、債券と株式がともに大部分の資産とともに崩壊することを意味します。

引用終わり




惻隠之心
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アベノミクスに重大な疑惑 名目GDPを調整し失敗を隠したか①

2018年08月11日 11時29分40秒 | 日記
・アベノミクスは史上空前の大失敗に終わったと筆者は主張している
・新基準によって、GDPが20兆円以上は「かさ上げ」されていると指摘
・全く関係ない「その他」という項目で大幅に調整していると説明した

Livedoorニュースより以下引用です
リンク

・アベノミクスに重大な疑惑、GDPを改ざんか
 アベノミクスは「究極の現実逃避」「史上空前の大失敗」だ。──『アベノミクスによろしく』(集英社)の著者である弁護士の明石順平氏はこう看破する。アベノミクスに対して世の中では、疑問を呈する声もあるが、おおむね結果を出していると評価する声が一般的だ。ところが明石氏が政府や国際機関による公式発表データを精査したところ、とんでもない現実が見えてきたという。ほとんどの人が気づいていないアベノミクスの真の姿とは?(JBpress)

・アベノミクスとは何か?
 アベノミクスは、(1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」からなる経済政策と言われています。しかし、事実上は(1)の大胆な金融政策に尽きると言っていいでしょう。
 大胆な金融政策というのは、日銀が民間銀行等から大量に国債を購入し、お金を大量供給することです。「異次元の金融緩和」と言われています。ピーク時において、年80兆円のペースでマネタリーベースが増加するよう、買入をしていました。今は少しペースが落ちています。

・マネタリーベースというのは日銀が直接供給するお金です。現金通貨(紙幣と貨幣)と日銀当座預金(民間銀行が日銀に預けているお金)からなります。ざっくり言って「お金の素」と考えればいいでしょう。このマネタリーベースの対名目GDP比の推移をアメリカと比較したのが下のグラフです。アメリカとは比較にならない超異次元の規模であることがよく分かるでしょう。
リンク
日米マネタリーベース対GDP比率
(『アベノミクスによろしく』図1-3と同じデータを使用)

・これほど日銀が民間銀行にお金を大量供給すると、普通は、通貨の価値が下がって、その反面、物価が上がると予想されます。このように、「物価が上がる」とみんなが予想することにより、下記の2つの現象が起きると言われていました。
(1)実質金利がマイナスになるので、お金を借りやすくなり、世の中にお金が大量に行きわたる。そうすると、インフレになり、景気が良くなる。
(2)物の値段が上がる前にみんな買おうとするので、消費も活性化する。
 実質金利というのは「名目金利-予想物価上昇率」で算出される金利のことです。名目金利は見たままの金利のことです。名目金利はほぼゼロでそれ以上下げられない状況でしたが、予想物価上昇率を上げることにより、実質金利はマイナスにできると言われたのです。例えば、名目金利はゼロ、予想物価上昇率が2%なら、実質金利はマイナス2%です。借りたお金が返す時には実質的に減っているということです。こういう状況になればお金を借りる人が増えて、マネーストックが増えると考えられました。
 マネーストックというのは、実際に世の中に出回っているお金のことです。会社や個人が持っている現金預金をすべて合わせたものです。マネタリーベースが増えても、それが貸し出しに回って、みんなの持っているお金(マネーストック)が増えなければ、無意味なのです。

・たいして増えなかったマネーストック
 では、マネーストックは増えたのでしょうか。推移を見てみましょう。下のグラフをご覧ください。
リンク
MB、M3、銀行および信金貸出残高指数(2012年=100)
(『アベノミクスによろしく』図2-2と同じデータを使用)

・マネタリーベース(MB)は急激に上昇しています。しかし、それに比べるとマネーストック(M3)の増加ペースは変化していません。銀行および信金の貸出残高も同じような状況です。結局、「お金を借りたい」という需要が少なかったということです。日本は急速に人口が減少していく運命にありますから、これは当然と言えるでしょう。日銀が「前年比2%の物価上昇率達成」という目標を達成できないのも、マネーストックが思うように増えていかないのが大きな要因だと思います。

・ただ、「円が下がる」と予想した投資家達が円売りに走ったことにより、円安による物価上昇は起きました。1ドル80円程度だったものがピーク時で120円を超えたのだから当然です。そこに2014年度の消費税増税が加わりましたので、アベノミクス開始後3年間で、物価は約5%程度上昇しています。勘違いしてはいけないのは、日銀の目標は「前年比」2%の物価上昇であり、「アベノミクス開始後」2%の物価上昇ではありません。しかもそれは増税による影響を除いています。日銀の試算によると、消費税増税による物価上昇は2%です。したがって、アベノミクス開始後3年の間に、増税で2%、円安で3%物価が上昇したと考えられます。みんなの持っているお金(マネーストック)はたいして増えなかったが、お金の価値だけが下がってしまった、ということです。

・実質賃金が下がり、消費が歴史的落ち込み
 異次元の金融緩和で消費も伸びると言われていましたが、結果は真逆でした。実質民間最終消費支出の推移を見てみましょう(下のグラフ)。

 見てのとおり、2014年度~2015年度にかけて「2年度連続で下がる」という戦後初の現象が起きました。また、2014年度の前年度比下落率(約2.9%)は、あのリーマンショック時の下落率(約2%。2008年度)を上回りました。さらに、2014年度、2015年度共に、アベノミクス開始前(2012年度)を下回ってしまいました。実質民間最終消費支出は実質GDPの約6割を占めていますので、実質GDPの方も悲惨な結果となりました。

続く




惻隠之心
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アベノミクスに重大な疑惑 名目GDPを調整し失敗を隠したか②

2018年08月11日 11時28分41秒 | 日記

GDPが“かさ上げ”されていた?

Livedoorニュースより以下続き引用です
リンク

ご覧のとおり、2015年度の実質GDPは、2013年度を下回ってしまいました。3年分の成長が1年分の成長を下回ったということです。この間の成長率は約1.9%であり、3年もかけて2%の成長率にも届かないという惨憺たる結果となりました。
 これほど低迷した原因ですが、実質賃金(物価を考慮した賃金)が下がったことが最も大きいでしょう。名目賃金、実質賃金、消費者物価指数の推移を見てください(下のグラフ)。
リンク

実質民間最終消費支出(兆円)
(『アベノミクスによろしく』図3-1と同じデータを使用)

リンク
名目賃金、実質賃金、消費者物価指数(2010年=100)
(『アベノミクスによろしく』図3-11と同じデータを使用)

 要するに(1)賃金がほとんど伸びないのに(黄)(2)物価が増税と円安で急上昇したので(赤)(3)実質賃金が急激に落ちた(緑)ということです。実質賃金指数の計算式は名目賃金指数÷消費者物価指数×100です。つまり、名目賃金が伸びないのに物価だけ上がると実質賃金が落ちます。
 増税も円安も「物価が上がる」という面では全く効果は同じです。それが同時に来た一方で賃金がほとんど上がらなかったのですから、消費が歴史的落ち込みを記録したのは当然です。結局、国民はアベノミクスによって単に実質賃金を下げられただけだった、ということです。なお、「実質賃金が下がったのは、非正規雇用が増えて賃金の平均値が下がったから」というもっともらしい説が流布されていますが、ウソです。平均値の問題なら名目賃金も下がるはずですが、グラフを見れば分かるとおり、下がっていません。
 アベノミクスは「資金需要はあるはず」「物価が上がれば勝手に賃金も上がるはず」という2つの仮定を前提にしていました。しかし、それは間違いだったのです。前提が間違っているので、うまくいかないのは当然です。アベノミクスがもたらしたのは、円安による為替差益と株価の上昇だけであり、ごく一部の国民しか恩恵を受けていません。
 なお、株価の上昇は、金融緩和、年金資金の投入、日銀のETF購入によって吊り上げられたものであり、経済の実態を反映していません。特に最近は日銀による株価の下支えがひどくなっています。
 雇用改善についても、生産年齢人口の減少、高齢化による医療・福祉分野の需要増大、雇用構造の変化(非正規雇用の増大)が重なってもたらされたものであり、アベノミクスとは無関係です(詳細は拙著『アベノミクスによろしく』をお読みください)。

・GDPが“かさ上げ”されていた?
 以上のようにアベノミクスは、史上空前の大失敗に終わりました。ところが、2016年12月8日のGDP改訂により、その失敗は覆い隠されてしまいました。このGDP改訂は、表向きは「2008SNA」というGDP算出の国際基準への対応のため、という点が強調されました。この新基準では研究開発費等が上乗せされるため、GDPがだいたい20兆円以上はかさ上げされます。しかし、その「2008SNA対応」を隠れ蓑にして、それとは全く関係ない「その他」という項目で大幅な調整がされているのです。
 まずは改訂前の名目GDPの推移を見てみましょう(下のグラフ)。単位は兆円です。
リンク

名目GDPの推移(平成17年基準)
(『アベノミクスによろしく』図4-1と同じデータを使用)
 ご覧のとおり、名目GDP史上最高額だった1997年度と比較すると、2015年は20兆円以上差が開いています。ところが、改定後の名目GDPの推移を見てください。
ご覧のとおり、20兆円以上あった差がほとんどなくなり、2015年度が1997年度にほぼ並んでいます。なぜこんなことが起きるのか、改訂によるかさ上げ額を見てみましょう(下のグラフ)。
リンク

名目GDPの推移(平成23年基準)
(『アベノミクスによろしく』図4-1と同じデータを使用)

続く




惻隠之心
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