考えてみれば、冒頭の商売の鉄則を最も熟知しているのは、かれら金貸し達(金貸し達が長年の経験で得た知恵だとも言える)であり、サブプライムローンがいずれ破綻することは織り込み済みであったことは間違いない。
【ロイター:サブプライム問題は「起きるべくして起きた」=前FRB議長: リンク 】
この記事によると、グリーンスパン前FRB議長は「新築住宅の在庫がほぼ一掃され、住宅価格下落に歯止めがかかった場合にのみ、クレジット市場は回復する」と述べたいう。
「新築住宅の在庫がほぼ一掃され」というが、住宅という商品は、腐るか誰かが口にするしかない小麦やマグロとはわけが違う。アメリカの住宅は十分すぎるほど供給されており、猛烈な移民受け入れ政策と住宅バラマキ政策でも採らない限り、今後10年以上は供給過多の状態が継続するだろう。
しかも、アメリカは日本と比べものにならないくらい住宅の中古市場が発達しているので、詰まるところ、投機筋が手を引いた今、需給関係が価格に正確に反映される=住宅価格が暴落する、ということを意味している。
しかし、とりわけ問題なのは、ダメージを被るのが問題を引き起こした張本人のアメリカ国民のみならず、何の因果か日本に請求書が回ってきていることだ。
焦げ付いたCDOの引取先として、米財務省から東京三菱UFJFGを始め、日本の大手三行に支援金拠出の命が下ったという。
【ロイター:三菱UFJなど3メガバンクに米サブプライム対策基金で協力要請=関係筋: リンク 】
日本のバブル崩壊によって金融危機が叫ばれたとき、アメリカは何をしてくれたか。「不良債権問題は日本の構造問題であって、処理不能に陥った場合日本経済はIMFの管理下に置かれることになる」と言ったのである。
当然のことながら、日本は、日本人自身の血を流してこのツケをきっちり支払う羽目になった。
そればかりか、外資が大挙して押し寄せ、金の回らなくなった日本の資産を買いあさっていった。
7兆9千億円もの日本の血税がつぎ込まれ、結局は破綻した長銀は、リップルウッドにたったの10億円で買い叩かれた。あげく、瑕疵担保条項を忍ばせた売買契約によってライフ、そごう、第一ホテル等の長銀をメインバンクにしていた企業までもを破綻に追い込まれた。
【日本長期信用銀行 - Wikipedia リンク 】
こうして新生銀行と名を変えた長銀の不良債権処理は成功した。その後、新生銀行は上場を果たし、リップルウッドは2200億円の利益を得たが、この利益に対して日本は課税をすることが出来なかった。
東京相和銀行を手に入れたローンスターは、つい先日これをアドバンテッジに売り払い、900億円の利益を得るつもりらしい。
【ロイター:アドバンテッジが東京スター銀買収、1株30万円台後半で1月にTOB: リンク 】
バブル崩壊後の日本は、国際金融資本やヘッジファンドらの草刈り場になったのである。
これらのやり口をみると、「危機」とか「破綻」というものが、金貸し達にとっては巨大な儲け口になっているということがわかる。
まず甘い汁を吸わせ、意図的にバブル状態を創りだし、頃合いを見計らって爆弾を炸裂させる。焼け野原で呆然としているところへやってくるのが、潤沢な資金を持った資本家達である。
市場の危機は、過剰な流動性を産む。そして、破綻は、国家による資金注入を余儀なくさせる。
前世紀の市場の危機は、国内の超インフレと大量の失業者をもたらした。それを解消したのは言うまでもなく領土侵略という名の市場拡大であった。
現在熱心に行われているのは、流動性を吸収するマネー市場とそれを下支えする実体経済の市場を拡大すること。それが原油先物であり、中国大陸である。
金貸し達が望んでいるは、戦争でも内乱でもテロでも原油の枯渇でも株の暴落でもバブルの崩壊でもなんであれ、国家と国民を混乱に陥れることであり、その混乱に乗じてあぶく銭を吸い上げる仕組みを作り上げることこそが、彼らが最も熱心に行ってきた戦略なのである。
渡辺卓郎
【ロイター:サブプライム問題は「起きるべくして起きた」=前FRB議長: リンク 】
この記事によると、グリーンスパン前FRB議長は「新築住宅の在庫がほぼ一掃され、住宅価格下落に歯止めがかかった場合にのみ、クレジット市場は回復する」と述べたいう。
「新築住宅の在庫がほぼ一掃され」というが、住宅という商品は、腐るか誰かが口にするしかない小麦やマグロとはわけが違う。アメリカの住宅は十分すぎるほど供給されており、猛烈な移民受け入れ政策と住宅バラマキ政策でも採らない限り、今後10年以上は供給過多の状態が継続するだろう。
しかも、アメリカは日本と比べものにならないくらい住宅の中古市場が発達しているので、詰まるところ、投機筋が手を引いた今、需給関係が価格に正確に反映される=住宅価格が暴落する、ということを意味している。
しかし、とりわけ問題なのは、ダメージを被るのが問題を引き起こした張本人のアメリカ国民のみならず、何の因果か日本に請求書が回ってきていることだ。
焦げ付いたCDOの引取先として、米財務省から東京三菱UFJFGを始め、日本の大手三行に支援金拠出の命が下ったという。
【ロイター:三菱UFJなど3メガバンクに米サブプライム対策基金で協力要請=関係筋: リンク 】
日本のバブル崩壊によって金融危機が叫ばれたとき、アメリカは何をしてくれたか。「不良債権問題は日本の構造問題であって、処理不能に陥った場合日本経済はIMFの管理下に置かれることになる」と言ったのである。
当然のことながら、日本は、日本人自身の血を流してこのツケをきっちり支払う羽目になった。
そればかりか、外資が大挙して押し寄せ、金の回らなくなった日本の資産を買いあさっていった。
7兆9千億円もの日本の血税がつぎ込まれ、結局は破綻した長銀は、リップルウッドにたったの10億円で買い叩かれた。あげく、瑕疵担保条項を忍ばせた売買契約によってライフ、そごう、第一ホテル等の長銀をメインバンクにしていた企業までもを破綻に追い込まれた。
【日本長期信用銀行 - Wikipedia リンク 】
こうして新生銀行と名を変えた長銀の不良債権処理は成功した。その後、新生銀行は上場を果たし、リップルウッドは2200億円の利益を得たが、この利益に対して日本は課税をすることが出来なかった。
東京相和銀行を手に入れたローンスターは、つい先日これをアドバンテッジに売り払い、900億円の利益を得るつもりらしい。
【ロイター:アドバンテッジが東京スター銀買収、1株30万円台後半で1月にTOB: リンク 】
バブル崩壊後の日本は、国際金融資本やヘッジファンドらの草刈り場になったのである。
これらのやり口をみると、「危機」とか「破綻」というものが、金貸し達にとっては巨大な儲け口になっているということがわかる。
まず甘い汁を吸わせ、意図的にバブル状態を創りだし、頃合いを見計らって爆弾を炸裂させる。焼け野原で呆然としているところへやってくるのが、潤沢な資金を持った資本家達である。
市場の危機は、過剰な流動性を産む。そして、破綻は、国家による資金注入を余儀なくさせる。
前世紀の市場の危機は、国内の超インフレと大量の失業者をもたらした。それを解消したのは言うまでもなく領土侵略という名の市場拡大であった。
現在熱心に行われているのは、流動性を吸収するマネー市場とそれを下支えする実体経済の市場を拡大すること。それが原油先物であり、中国大陸である。
金貸し達が望んでいるは、戦争でも内乱でもテロでも原油の枯渇でも株の暴落でもバブルの崩壊でもなんであれ、国家と国民を混乱に陥れることであり、その混乱に乗じてあぶく銭を吸い上げる仕組みを作り上げることこそが、彼らが最も熱心に行ってきた戦略なのである。
渡辺卓郎