メルマガ主の日米同盟派の立場には賛同しかねますが、中国の近未来を歴史から読む目線は参考になります。
『中国から逃げる企業 ~ この国の栄華はいつまでつづく?』(ロシア政治経済ジャーナル)リンクより転載します。
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~前略~
ナイキは2005年頃から、生産拠点を中国からベトナムにシフトさせてきたのですね。ナイキが拠点を移している理由は【人件費】です。この会社は今までも人件費の安い国を転々としてきました。
~中略~
そして、専門家は「外資系企業が中国から逃げる傾向はますます強まっていくだろう」と警告します。↓
<「長年以来、人件費の安さが中国の特徴だった。しかし、最近は、人民元の切り上げ、インフレの拡大により、人件費が上昇し、中国はその優位性を失うこととなった。現在、多くの企業が工場を人件費のより安い国に移すようになっている。」南京大学商学院の宋頌興教授はインタビューでこう答えた。宋教授によると、今後この流れはさらに顕著になっていくという。>(同上)
ところで、企業が逃げる中国と、ベトナムってどの程度差があるのでしょうか?IMFのデータによると2010年、中国の一人当たりGDPは、4382ドル=約35万円。月収にすると3万円弱ですか。もちろん都市部はずっと高いでしょうが、国全体で見ると。
一方、ベトナム。1174ドル。1174ドル=約94000円。月収にすると7800円(!)。
ざっくり計算すると、中国比で3.7分の1です。
どうですか、皆さん?同じレベルの労働者が二人いる。一人は月37万円を要求している。もう一人は「月10万円でいいですよ」という。どっちが採用されるか、決まってますね。
何がいいたいかというと、企業が中国から逃げるのは当然であり、これからもドンドン逃げていくだろうということです。
ちなみにナイキだけでは、例が少なすぎですか。有名どころでは、ユニクロが生産拠点を中国から他国に移しているのは、よく知られています。
先日は、こんな情報も入ってきました。↓
<インタビュー:中国以外でデジカメ海外生産を拡大へ= 富士フイルム
ロイター 7月4日(月)20時13分配信
~中略~
こんな話しを聞くと、「いよいよ中国もダメか!」と思いがちですが、いったいこの国の栄華はいつまでつづくのでしょうか?
▼中国の栄華はいつまでつづく?
日本でいつの時代もニーズがあるのは「中国崩壊論」です。数年前も「北京オリンピックで建設バブルがはじけ、中国は崩壊する!」という説が流行していました。しかし、私は05年1月の「ボロボロになった覇権国家」から一貫して、「バブルは崩壊するが立ち直りは速い」と主張してきました。
実際、08年にバブルは崩壊しましたが、立ち直りは世界一はやかった。「なんでわかったのですか?」と聞かれると、私は「国家ライフサイクルでわかる」と答えます。
中国のライフサイクルについて、07年発売の「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」から引用してみましょう。
【引用ここから▼】
<1、中国は日本より30年遅れている
清は1912年に滅びました。その後、中華人民共和国が成立したのは1949年。しかし、毛沢東の政策は、「大躍進」とか「文化大革命」とか、誇大妄想的。彼は移行期の政治家といえるでしょう。中国が成長期に入ったのは、1976年に毛沢東が亡くなり、トウ小平が実権を握った1978年。トウ小平が開放政策を宣言したのは78年12月ですから、実質的には79年からといえるでしょう。日本は第2次大戦に敗れ、1950年の朝鮮戦争で復活のきっかけをつかみました。日本と中国が成長期に入った時期は29年、約30年ズレがある。日本は1960年代、特に後半に急成長しています。それから30年後の90年代。中国は急成長をつづけ、90年代後半に世界から注目を集めるようになりました。70年代、日本は「世界の工場」の地位を確立。30年後の2000年代、中国は相変わらず急成長をつづけ、「世界の工場」になりました。日本の全盛期は80年代後半、90年代の初めにバブルが崩壊し成熟期に入った。ということは、中国の成長期は2020年までつづき、その後成熟期に入るということになります。>
【引用ここまで▲】
つまり、中国は、日本でいえば80年代に入ったところ。日本では80年代、円高で人件費があがり、企業は生産拠点を徐々に外国へシフトさせていきました。中国でも同じ動きが起こってきます。
そして、起こるであろう危機。中国政府は熱心に日本の失敗を研究しています。それで時期は多少ずれるかもしれない。しかし、だいたい2018年~2020年くらいに中国経済は本格的危機にみまわれることでしょう。ひょっとしたらその時、「体制崩壊」まで行くかもしれません。
日本はどうすればいいの?
▼日本は、ここ10年がもっとも危ない
上記のように、中国は、まったくとはいいませんが、おおむね日本の後を追っています。危機の種は既にまかれているのです。
しかし、80年代の日本を思い出してください。日本製品は世界を席巻し、「ジャパン・アズ・NO1」と呼ばれた時代。つまり、見た目中国のパワーはどんどん強まっていくのです。
そして、アメリカはますます衰えていきます。
問題は、中国は日本と違って、領土と資源を奪うのに遠慮がないということ。10年に尖閣で問題を起こした中国。今では、南シナ海の領土と資源をめぐり、ベトナム・フィリピンと対立しています。これは要するに「アメリカが弱くなったから、南シナ海の資源を独占したれ!」ということなのです。
これから10年、中国は繁栄し、アメリカは衰えていく。日本にとっては、「もっとも危ない10年」ということができるでしょう。
~後略~
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猛獣王S
『中国から逃げる企業 ~ この国の栄華はいつまでつづく?』(ロシア政治経済ジャーナル)リンクより転載します。
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~前略~
ナイキは2005年頃から、生産拠点を中国からベトナムにシフトさせてきたのですね。ナイキが拠点を移している理由は【人件費】です。この会社は今までも人件費の安い国を転々としてきました。
~中略~
そして、専門家は「外資系企業が中国から逃げる傾向はますます強まっていくだろう」と警告します。↓
<「長年以来、人件費の安さが中国の特徴だった。しかし、最近は、人民元の切り上げ、インフレの拡大により、人件費が上昇し、中国はその優位性を失うこととなった。現在、多くの企業が工場を人件費のより安い国に移すようになっている。」南京大学商学院の宋頌興教授はインタビューでこう答えた。宋教授によると、今後この流れはさらに顕著になっていくという。>(同上)
ところで、企業が逃げる中国と、ベトナムってどの程度差があるのでしょうか?IMFのデータによると2010年、中国の一人当たりGDPは、4382ドル=約35万円。月収にすると3万円弱ですか。もちろん都市部はずっと高いでしょうが、国全体で見ると。
一方、ベトナム。1174ドル。1174ドル=約94000円。月収にすると7800円(!)。
ざっくり計算すると、中国比で3.7分の1です。
どうですか、皆さん?同じレベルの労働者が二人いる。一人は月37万円を要求している。もう一人は「月10万円でいいですよ」という。どっちが採用されるか、決まってますね。
何がいいたいかというと、企業が中国から逃げるのは当然であり、これからもドンドン逃げていくだろうということです。
ちなみにナイキだけでは、例が少なすぎですか。有名どころでは、ユニクロが生産拠点を中国から他国に移しているのは、よく知られています。
先日は、こんな情報も入ってきました。↓
<インタビュー:中国以外でデジカメ海外生産を拡大へ= 富士フイルム
ロイター 7月4日(月)20時13分配信
~中略~
こんな話しを聞くと、「いよいよ中国もダメか!」と思いがちですが、いったいこの国の栄華はいつまでつづくのでしょうか?
▼中国の栄華はいつまでつづく?
日本でいつの時代もニーズがあるのは「中国崩壊論」です。数年前も「北京オリンピックで建設バブルがはじけ、中国は崩壊する!」という説が流行していました。しかし、私は05年1月の「ボロボロになった覇権国家」から一貫して、「バブルは崩壊するが立ち直りは速い」と主張してきました。
実際、08年にバブルは崩壊しましたが、立ち直りは世界一はやかった。「なんでわかったのですか?」と聞かれると、私は「国家ライフサイクルでわかる」と答えます。
中国のライフサイクルについて、07年発売の「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」から引用してみましょう。
【引用ここから▼】
<1、中国は日本より30年遅れている
清は1912年に滅びました。その後、中華人民共和国が成立したのは1949年。しかし、毛沢東の政策は、「大躍進」とか「文化大革命」とか、誇大妄想的。彼は移行期の政治家といえるでしょう。中国が成長期に入ったのは、1976年に毛沢東が亡くなり、トウ小平が実権を握った1978年。トウ小平が開放政策を宣言したのは78年12月ですから、実質的には79年からといえるでしょう。日本は第2次大戦に敗れ、1950年の朝鮮戦争で復活のきっかけをつかみました。日本と中国が成長期に入った時期は29年、約30年ズレがある。日本は1960年代、特に後半に急成長しています。それから30年後の90年代。中国は急成長をつづけ、90年代後半に世界から注目を集めるようになりました。70年代、日本は「世界の工場」の地位を確立。30年後の2000年代、中国は相変わらず急成長をつづけ、「世界の工場」になりました。日本の全盛期は80年代後半、90年代の初めにバブルが崩壊し成熟期に入った。ということは、中国の成長期は2020年までつづき、その後成熟期に入るということになります。>
【引用ここまで▲】
つまり、中国は、日本でいえば80年代に入ったところ。日本では80年代、円高で人件費があがり、企業は生産拠点を徐々に外国へシフトさせていきました。中国でも同じ動きが起こってきます。
そして、起こるであろう危機。中国政府は熱心に日本の失敗を研究しています。それで時期は多少ずれるかもしれない。しかし、だいたい2018年~2020年くらいに中国経済は本格的危機にみまわれることでしょう。ひょっとしたらその時、「体制崩壊」まで行くかもしれません。
日本はどうすればいいの?
▼日本は、ここ10年がもっとも危ない
上記のように、中国は、まったくとはいいませんが、おおむね日本の後を追っています。危機の種は既にまかれているのです。
しかし、80年代の日本を思い出してください。日本製品は世界を席巻し、「ジャパン・アズ・NO1」と呼ばれた時代。つまり、見た目中国のパワーはどんどん強まっていくのです。
そして、アメリカはますます衰えていきます。
問題は、中国は日本と違って、領土と資源を奪うのに遠慮がないということ。10年に尖閣で問題を起こした中国。今では、南シナ海の領土と資源をめぐり、ベトナム・フィリピンと対立しています。これは要するに「アメリカが弱くなったから、南シナ海の資源を独占したれ!」ということなのです。
これから10年、中国は繁栄し、アメリカは衰えていく。日本にとっては、「もっとも危ない10年」ということができるでしょう。
~後略~
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