経済破局は来るのか?

経済破局がいつくるのかを、金貸し支配を読み解きながら、追及しています。

マネーと信用の根源(吉田繁治)-過剰な信用創造が世界をバブル化させる

2014年10月31日 22時23分03秒 | 日記
ビジネス知識源(吉田繁治氏) より転載。
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■10.支払い準備率と信用創造

【準備率の秘密】
ここで例えば5%の「支払い準備率」を言う必要があります。5兆円の預金を預かったとき、政府規制で、銀行はその5%(2500億円)を支払い準備として、中央銀行の当座に預けるか、手持ち現金(他の銀行への預金)に残さねばならない。

銀行システム全体の信用創造は、5兆円÷(1-0.95)=100兆円が最大になります。4%なら125兆円です。

5兆円+5兆円×0.95+5兆円×0.95の2乗+5兆円×0.95の3乗+5兆円×0.95の4乗・・・・・=5兆円÷(1-0.95)=100兆円

(注)連鎖の途中で、5%以上を残す銀行が出ます。上記計算は、5%の準備率での最大信用の創造額です。

銀行の連鎖のシステムで、最初のA銀行への預金5兆円が、総額で100兆円の信用を創造するのですから、すごい。

紙幣ではない。預金のデジタル数字です。そしてその預金は、企業や個人への融資と、国債を含む有価証券の購入になる。この銀行システムが、現代社会に、普通の仕組みとして組み込まれています。

【バブルとバブル崩壊が宿痾になった】
以上から、投機とバブル経済を生む過剰な信用創造は、不況期に金利をゼロに向かい下げるので、現代社会の宿痾(しゅくあ)といっていいのです。過剰になった信用で、過剰な投資と消費が行われる。

返せない負債の極点付近で、銀行信用、株信用、不動産のバブルが同時崩壊し、信用恐慌が起こる。

【日銀のゼロ金利と量的緩和が果たしたこと】
世界の銀行システムの連鎖による、無からの信用創造(=マネー創造)の構造を知れば、日銀がゼロ金利を発動した10年前から、ジャパンマネーが、1年で約40兆円主に米国に流出したことの、重い意味も了解できるはずです。

1年40兆円は、5%の支払い準備率ならその20倍、つまり800兆円の、世界の銀行システムでの信用創造、つまり預金を生む。

【3%のスプレッドで動く】
国内をゼロ金利にすれば、マネーは3%以上のスプレッド(利幅)の利を求め、当然、より金利の高い海外に、資本逃避(キャピタルフライト)する。90年代以後の米国は、かつて日本より、ほぼいつも3%は金利が高かった。(注)今FRBはゼロ金利策。米ドルが売られることを意味します。

金利は、貸し付け、証券、株の投資の、利回り率も決めます。

【世界の資産バブル崩壊の遠因は、日銀だった】
2006年4月、日銀はゼロ金利と量的緩和を停止します。31兆円もあった日銀当座預金(金融機関の預託マネー:06年3月20日)を、3ヶ月の超短期で10兆円にまで、20兆円絞ったことが、世界の金融連鎖の中で20兆円×20倍=最大400兆円相当のマネーを抜くことにもつながった。

このため米国の不動産は、06年夏から下落地域が出た。

この策が、翌2007年になると、ファンドのキャリー・トレードの解消(返済)を手始めに、米国と世界の信用収縮を生み、世界の不動産バブルを崩壊させた原因と見ています。

残念ですが、日銀の頭脳には、そこまでの金融の想像力はなかった。(注)キャリートレード:金利の低い通貨で借り、金利の高い通貨の証券を買うこと。

日本の、800兆円の預金を中心にした個人金融資産は、世界の鯨のように、巨額です。それが、規制が緩くなった、世界の金融連鎖のチェーンで更に膨らんだ。

2000年はほぼゼロで、年々大きくなり、$62兆になった保険商品CDS(債務保証保険:07年末)も、金融機関が貸したり、あるいは社債、住宅証券を買うリスク感を減らしていたのです。

普通なら売れない、回収に無理があるサブプライムローンの、信用度がジャンク(くず)でも、回収を保証するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を掛ければ、額面償還と利払いをAIG等が保証するAAA証券に変わるからです。

回収保険を売ったAIG等は、保証料をプレミアムとして受け取り、史上最高の利益を出していた。2008年半ばまで、世界の金融は、金融保険のCDSやCDOを使って、ノンリスク金融とされた。信用バブルは、そのため、一層、膨らんだ。

言い換えれば、金融(=貸し付けと証券購入)につきものの、リスクを回収保険で消したことが人々のリスク感を鈍らせ、ファイナンスが極点まで行ってしまった。これが今回の金融危機を、信用恐慌に至らせた原因です。

あらゆる保険は、リスク率が想定範囲のときだけ成り立つ。計算を誤れば、全体が破綻します。それが、2007年から起こった。

(注)風船(信用=マネー)が膨らみきれば、極点での爆発は大きく悲惨です。日本のゼロ金利での世界の信用膨張を、海を超えた遠因とする破裂、つまり突然の世界恐慌は、必然だったのですが、それが、若干弱いものになったとも言えます。

信用恐慌によるバブル崩壊は、突然、返せない負債の変曲点(=臨界点)を超えたとき襲う。信用恐慌の前週まで、経済は、抜ける青空の、絶頂です。ドバイには、地上1000メートルのビルも企画させた。今、工事停止状態。

2008年の恐慌は、以上のように、世界が初めて経験する21世紀の、デジタルマネーと保険料率を計算する金融工学が生んだ乗数金融型の信用恐慌です。姉歯事件の、耐震偽装に似ています。

前FRB議長のグリーンスパンが、本当は当事者責任の回避の目的で言った、「100年に一度」ではない。デジタルマネーやCDSは新しいからです。

90年代には、CDSはなかった。1929年にもなかった。新聞や論者は、枕詞に100年に1度と言う。これは、もうやめたほうがいい。対策を間違えるからです。






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08年年末なんで屋劇場「金融危機と意識潮流の変化」ノート2:性の衰弱と市場の縮小

2014年10月30日 20時19分37秒 | 日記
2. 商品市場の背後に性市場あり・・・従って、この経済恐慌の最基底部にあるものは性の衰弱であり、性の再生がない限り、物的市場は縮小を続けるしかない。

今回の市場縮小の引き金を引いたのが「物価上昇」だったとはいえ、その底流は、70年貧困の消滅に遡る時代の大きなパラダイム転換にある。そして、世界最終バブルが崩壊した以上、金融資本の取りうる方策は、国債頼みの国家抱きつき心中か、物価高騰しかないが、「国債頼み→国家紙幣へ」も「物価高騰→市場縮小加速」も金融資本家にとってはジョーカー=自爆装置にしかならないことはもはや明白である。

しかも、物的市場の最基底をなすのは性市場だが、性の衰弱は加速する一方であり、この傾向は日本のみならず欧米にも波及した現象となっている。(逃げる男、追いかける女という傾向は目下アメリカ最大のヒットドラマといわれるセックスアンドシティに顕著な傾向である。)男性は恋愛を避け、二次元へ逃避するか、能力収束を強めている。更には「婚姻制は男にとって不利だ」と婚姻をも避け始めている。そのような男性の性捨象を受けて、女性の方は恋愛よりもなりふり構わぬ「婚活」に意識が向かっているようだ。そこにはもはやかつて、性市場→物市場のモーターであった、性幻想や性的商品価値の存在理由はない。今も恋愛や結婚における「勝ち組・負け組」という観念は残存するものの、むしろそのような観念を振り払って考えてみれば、もはや性は市場のモーターとなりえなくなった。

性の再生可能性は「自我の性から本源の性への転換」しかないが、今現在は「自我の性のリセット中」という段階であり、しかも、私婚制度が残存する以上、この転換は容易ではない。従って、この経済恐慌は、決して一過性のものではなく、性意識の転換という最基底のパラダイム転換が起こるまで、物的市場は縮小を続けるしかない。




山澤貴志
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2008年、世界金融危機は何を意味するのか?

2014年10月29日 21時07分25秒 | 日記
■2008年、世界金融危機は何を意味するのか?
・振り返れば、1970年に先進国で貧困が消滅してからのここ30数年は、世界中の市場がバブル化(→バクチ経済化、借金経済化)してゆく過程であった。

・そのバブルの最終形ともいうべき(世界中の市場に組み込まれた)「証券化金融」が大崩壊したのが、現在進行中の世界金融危機である。

・これは、「信用膨張型or信用捏造型金融システム」の破綻と言ってもよい。

・歴史的に見れば、こうした「ダマシの構造」は、金貸し組合というべき中央銀行システムと、中央銀行紙幣システム(金貸しが大々的に国家に金を貸す=国債システム)の誕生に端を発する。

・その意味で、2008年の金融破綻は単なるバブル崩壊という次元ではなく、「近代300年の金貸しによる支配システムの終焉」と捉えることが出来る。

・現在は、追い詰められた「金貸し」たちによる生き残りを賭けた最終戦争、激烈なつぶし合いが行われていると見るべきだろう。

→米金融業界は仁義無き戦い状態へ突入か 


■今後どうなるか?
・米国覇権の終焉は世界共通の認識として拡がりつつあり、世界は多極化に向かう。この流れは変えようがない。したがって、ドル基軸通貨体制の崩壊は不可避。

・また現在、各国政府・中銀では、金融破綻に歯止めをかけるべく、あらゆる手段を講じているが、決定的な有効打はなく、さらなる世界暴落は不可避と思われる。

・その意味で、世界の株価、為替(ドル)、米国債の値動きには目が離せない状況が続く。

・一方で、「ダマシの延命策?」ともいうべき不穏な動きがある。新ドル発行、FRB債発行etc こうした画策には注意して状況を見ていく必要がある。
(日本の政局、マスコミの動きも要注意)

・しかし大きく見れば、破局回避のためには、無秩序な金融は規制して国家のコントロールを強め、(国家そのものが破綻しない限りは)秩序化の方向に向かうと考えられる。同時に、金融の実質国有化→管理市場化が進む可能性が高い。

・そもそも先進国では物的飽和であり(それゆえにバブル化→金融資本主義化した)、金融危機を機に消費意識も一変する。

・したがって、大不況→あらゆる産業がふるいにかけられていゆくことになる。


■世界の大転換のはじまり
この金融破綻は、単なるバブル崩壊に止まらず、「近代の金融-経済システム」の崩壊→新しい統合原理への大転換期とみるべきだろう。
(※より本質的には、私権時代5000年から共認原理への大転換!)

その観点から、以下の3つの視点が重要と考えられる。

●金貸しの没落
・近代を支配してきた究極の自己中(戦争の最大原因でもある)=金貸しに対する共認闘争、反金貸し共認が拡がる。

・彼ら(金貸しとそれに従う政治家、マスコミetc)が世を差配してきたからこんなにとんでもないことになった、というまぎれもない事実が共認されていくのは必定。

・米国覇権の終焉はその象徴となる。

●実体経済への大転換
・あらゆる産業が「儲かるか否か」というモノサシではなく、「必要か否か」という土俵の元で評価されてゆく。

・それは、一面では厳しい生き残り競争となる。

・だが、社会のみんなに本当に必要とされる=期待される仕事が評価されるという意味で、やりがいのある評価競争社会(創造競争社会)、新たな活力源の創出に繋がる可能性が見いだせる。

・なかでも、農業の必要性は大きく注目されつつある。

→農業は医療や教育と同じく人類(集団)にとって不可欠の事業であり、脱市場原理の最先端可能性といえるのでは? 
→【メルマガるい318】 農業に可能性あり

●政府紙幣による新経済システムへ
・「社会共認」のもとに金融をコントロールし、社会のみんなにとって必要な活動にお金を使っていく、これが社会を再生する新経済システムとなる可能性が高い。
(これが実現すれば、金貸しは完全に無用の存在となる)


 





岩井裕介
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おカネのウソ~その構造分析②~

2014年10月28日 21時59分03秒 | 日記
『JanJanニュース』~「お金の世界的崩壊」を構造分析してみた~青木秀和氏の講演を参考に~

~つづきより~

 この構造は、サブプライムローンの構造とちょっと似ている。比較的貧しい人たちが住宅購入時に組む住宅ローンが、サブプライムローンである。サブプライムローン問題では、次のような構造で証券を売っていた。

 サブプライムローンは他の優良債権などと組み合わせて証券化し、買い求めやすい小口の商品にするなどして、売りまくった。100億円のサブプライムローンが、他の債権と組み合わせた上で、1万円の証券になって買い求めやすくなったことで、金融商品として普及したわけである。この構造は、「数兆円規模の国債を1万円の日本銀行券に小口にして発行する」のと似ている。ドル札や1万円札は、それぞれの国の巨大な借金を少額に小口化し、取り扱いやすくしたものだと見なすことができる。

 ……「おカネは国債を小口化したもの」だとすると、奇妙なことに、「国の借金を全部返してしまうと、日本銀行はおカネを発行することができない」ということになる。実に奇怪ではあるが、ドルや円などの現在のおカネがそのような構造をもっている以上、論理的にはそうした帰結となる。おカネの価値の裏付けは、「借金」でしかないからだ。現在のおカネは、基本的に3つの方法で「借金」から生み出されている。国の借金、銀行の借金、レバレッジである。

 国の借金からおカネが生まれる様子は、すでに書いた通りである。「銀行の借金」というのは、信用創造のことだ。信用創造を少し説明しよう。

 ある人が、1,000万円のおカネを銀行に預けたとしよう。すると銀行は、100万円程度を手元に残して、900万円をおカネが足りなくて困っている人に貸す。その人はその900万円を支払いに使うだろう。すると、そのおカネをもらった人はたいてい、そのおカネを再び銀行に預ける。すると銀行は、90万円だけ手元に残して、残り810万円を別の人に貸す。

 この結果、もともと1,000万円しかなかったはずの現金で、900万円+810万円=1,710万円のおカネの流れが生まれたことになる。これが信用創造だ。この信用創造を繰り返すと、1,000万円のおカネから1億円のおカネの流れを作り出すことができる。

 だが、この「信用創造」というカラクリが成立するには、銀行が貸したおカネが無事に返されることが大前提となっている。信用創造で膨れあがったおカネの流れは、実はたくさんの人が借金することで生まれている。つまり、信用創造で生まれたおカネは、借金から生まれていることが分かる。

 3つ目のおカネの作り方、レバレッジは「テコの原理」と言われている。「近い将来、大もうけできる話があるからおカネを貸して」というものだ。この方法だと、手元に100万円しかなくても、「あの企業を買収したら10億円の収益が上がるから、10億円貸して」ということができる(レバレッジド・バイアウト)。この方法なら、手元に資金がほとんどない人でも巨大企業を買収できることになる。

 だが、そもそも、まだ自分のものではない他人のものを、まるですでに自分のものになったかのような前提でお金を借りることができるこの方法は、実に奇妙きてれつだといえる。ともかく、この方法でも、「儲かったら返すから」という借金の約束から、おカネが新たに生まれている。

 国債、信用創造、レバレッジ。この3つの「借金」によって、現在のおカネは生まれている。つまり、おカネは「借金」でできている。このことは、おカネの値打ちは「借金は必ず返す」という信用で支えられていることを意味する。借金が返されないならば、おカネのメカニズムは崩壊する。

 問題は、「借りたつもりのない人がいつの間にか借りたことになっている」ことだ。10年満期の国債は、「10年経ったら借金を返します」というものだ。ということは、10年後の国民が税金から返すことになるわけだ。実際には、「借金で借金を返す」という国債の借り換えを繰り返しているので、実質「60年経ったら借金を返します」という状態になっている。このことは、「60年後に子孫が借金を返すと思います」ということになる。まだ生まれてもいない子どもが借金を背負わされているのである。

 こんなおカネのでたらめさが、いよいよ崩壊しつつある。それも、世界的な規模で。青木秀和氏の「『お金』崩壊」が、今、現実となり始めているのである。

~引用おわり~

 




宮谷和枝
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おカネのウソ~その構造分析①~

2014年10月27日 20時45分59秒 | 日記
お金の裏付けは、金⇒金と国の借金(国債)⇒国の借金(国債)と変化してきた。
現在はお金の値打ちを国の借金で裏打ちする構造となっているようです。
そのお金の構造を分かり易く紹介している記事があったので紹介します。

以下『JanJanニュース』~「お金の世界的崩壊」を構造分析してみた~青木秀和氏の講演を参考に~より引用します。

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 かつて、おカネは「金兌換紙幣」だった。金塊(ゴールド)と交換できたのである。おカネの価値が金(ゴールド)で裏打ちされていたから、誰もが紙切れにすぎないおカネをおカネとして信じることができた。

 だが、今の紙幣は、金塊との交換を保障してくれていない。ただの紙切れである。したがって、「これはおカネだと信じなさい」という以上の根拠を見つけることができない。印刷した紙切れにすぎないものを、私たちはなぜおカネとして信じることができるのだろうか?それを理解するために、まずはおカネの歴史をたどってみることにしよう。

 ……銀行は昔、お金持ちから金塊(ゴールド)を預かる仕事をしていた。泥棒に入られて金塊が盗まれてはたまらないから、監視がしっかりしている銀行に預けようとしたわけだ。銀行は金をあずかると、預かり証を発行した。この預かり証を銀行にもっていけば、いつでも金塊を返してもらえるわけである。そのうち、預かり証そのものが金(ゴールド)と同じ値打ちがあるものと見なされて、おカネとして流通するようになった。

 さて、名誉革命の頃、イギリス政府は戦争しなければならない状況となった。ところが王様を追い出したりしたのでどの国からも援助してもらえない。戦争するにはカネがかかる。どうすればよいか。そこでイギリス政府は、国債(国の借金の証文)をイギリス銀行に渡すことで、金塊(ゴールド)の預かり証(イギリス銀行券)を大量に譲ってもらった。この預かり証をおカネとして使用することで、戦費を調達したのである。

 このとき、奇妙なことが起きているのにお気づきだろうか。実際にイギリス銀行が預かっている金塊の量以上に、預かり証が発行されているのである。イギリス政府は金塊(ゴールド)をイギリス銀行に預けているわけではない。国債をイギリス銀行に渡したが、金塊の預かり証をもらうというのは、いかにも奇妙だ。

 たとえば、お金持ちが銀行に預けた金塊が100kgだとしよう。お金持ちは、銀行から「確かに100kgの金塊を預かりました」という預かり証をもっている。ところが、国債を銀行に渡したイギリス政府も金塊100kg分の預かり証をもらっているのだ。銀行にある金塊は100kgしかないのに、預かり証は200kg分発行されているというわけである。これでも成り立つのは、本来の金塊の持ち主であるお金持ちが、預かり証をもってきて金塊を返してくれ、ということがほとんどないからだ。せいぜい、たまに1、2kg分の金塊を実際に取りに来る「変わり者」がいるくらいである。

 だから、金塊の預かり証であるイギリス銀行券を、実際に預かっている金塊の量(金準備)よりも大量に発行しても大丈夫だと「タカをくくっていた」というわけである。

 この結果、イギリス政府が国債を銀行に預けることで、金塊と同じ値打ちのイギリス銀行券を手に入れることができた。このことは、おカネの値打ちを裏打ちするものは、イギリス銀行が預かっている金塊(ゴールド)と国債の両方になったことを意味する。おカネは国の借金(国債)で値打ちを裏打ちされている、というメカニズムが、このときから発生したわけである。

 金塊と国の借金(国債)の両方でおカネの値打ちを裏打ちする制度は、1971年まで基本的に続いてきた。だが、1971年8月15日に、当時のアメリカ大統領が大変なことを宣言した。「今日からおカネと金の交換をやめます」。金兌換の停止である。これは、ニクソンショックといわれる。このときから、おカネは換紙幣から不換紙幣(他の何にも交換することを保障されない紙幣)となった。このときから、金塊はおカネの値打ちを裏打ちするものではなくなった。

 おカネの値打ちを裏打ちするものとして唯一残ったのが、国の借金(国債)のみになったわけである。従って、現在のおカネは「不換紙幣」というより、構造的には「国債兌換紙幣」、「国の借金との兌換紙幣」となったといえる。この「国債兌換紙幣」のメカニズムは、世界に広がった。世界の基軸通貨だったドルに合わせて、日本の円も事実上の「国債兌換紙幣」に変わった。世界の主要な通貨が「国債兌換紙幣」、つまり、おカネの値打ちを国の借金で裏打ちする構造となったのである。

~つづく~






宮谷和枝
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