ジェームズ・リカーズ氏の『通貨戦争~崩壊への最悪シナリオが動き出した!~』の第9章は、「経済学の誤用」である。そこで、リカーズ氏は、ケインズの有効需要論もミルトン・フリードマンのマネタリズムも間違いであると展開している。
「1940年代の終わりに、経済学は政治学、哲学、法学といったかっての同類と別れて、応用数学や物理学等の自然科学と連携しようとした。物理学者たち自身が不確定性や複雑性を受け入れつつあったまさにその時期に、経済学は因果律を基本原理とする古典物理学と手を結んだのは皮肉なことだ。」
「新しい科学的経済学は、よりよい世界を約束した。財政・金融政策の微調整、交易条件のリバランス、デリバティブによるリスク分散によって、市場の変動は緩和され、(経済は)拡大されると、経済学者たちは断言した。」
「さらに、金本位制を捨て去ることで、成長を持続させるために必要なマネーを供給でき、デリバティブの導入によってリスクはそれを引き受ける能力の最も高い人々の手に移されると断言した。」
「しかし、2008年のパニックは経済の王様たちが裸であることを暴露した。政府の大規模な介入だけが、資本市場を経済の全面崩壊を防いだのだ。」
以下は、フリードマンのマネタリズムの間違いについての部分。貨幣の流通速度は、心理によって縮小し、通貨供給量を増やしても、名目GDPは思う通りには増大しない。
「通貨戦争」 崩壊への最悪シナリオ(1)
リンク
以下引用・・・・
貨幣の流通速度
貨幣数量説に基づくと、名目GDP=マネーサプライ×流通速度となります。
だが、貨幣の流通速度は心理的なもので、個人が自分の経済的見通しについてどう思っているかに完全に左右されます。これは誰もコントロールできない不確定要素なのです。
その貨幣の流通速度は2008年の金融パニックで7%も低下しています。そのためFRBは、名目GDPを維持するために猛烈な勢いで貨幣(ベースマネー)を増発しています。しかし、マネーサプライの大部分は銀行貸出で創造されるので、ベースマネーを増発しても思い通りにはなりません。実際、2008年からの3年間に、ベースマネーは242%増えましたが、広義のマネーサプライは34%しか増えていません。
富の効果とインフレ懸念
FRBがコントロールできるベースマネーなどの因子は、経済を回復させ、失業率を低下させるほど迅速な効果を生んでいません。
貨幣の流通速度を上げるためには、FRBは国民に、①富効果(資産効果)による陶酔感か、②インフレ懸念、のどちらかを吹き込まなければなりません。富効果を生み出すためにFRBが押し上げようとする資産は、株式と住宅です。
株価の反発も、期待された富効果を生み出すことはできなかった。
確かに一部の投資家は利益をあげましたが、それをはるかに上回る数の投資家が、2008年の経験で市場に対する信頼を失い、株式市場に戻ってこなかったからです。
・・・・引用終わり
レオンロザ
「1940年代の終わりに、経済学は政治学、哲学、法学といったかっての同類と別れて、応用数学や物理学等の自然科学と連携しようとした。物理学者たち自身が不確定性や複雑性を受け入れつつあったまさにその時期に、経済学は因果律を基本原理とする古典物理学と手を結んだのは皮肉なことだ。」
「新しい科学的経済学は、よりよい世界を約束した。財政・金融政策の微調整、交易条件のリバランス、デリバティブによるリスク分散によって、市場の変動は緩和され、(経済は)拡大されると、経済学者たちは断言した。」
「さらに、金本位制を捨て去ることで、成長を持続させるために必要なマネーを供給でき、デリバティブの導入によってリスクはそれを引き受ける能力の最も高い人々の手に移されると断言した。」
「しかし、2008年のパニックは経済の王様たちが裸であることを暴露した。政府の大規模な介入だけが、資本市場を経済の全面崩壊を防いだのだ。」
以下は、フリードマンのマネタリズムの間違いについての部分。貨幣の流通速度は、心理によって縮小し、通貨供給量を増やしても、名目GDPは思う通りには増大しない。
「通貨戦争」 崩壊への最悪シナリオ(1)
リンク
以下引用・・・・
貨幣の流通速度
貨幣数量説に基づくと、名目GDP=マネーサプライ×流通速度となります。
だが、貨幣の流通速度は心理的なもので、個人が自分の経済的見通しについてどう思っているかに完全に左右されます。これは誰もコントロールできない不確定要素なのです。
その貨幣の流通速度は2008年の金融パニックで7%も低下しています。そのためFRBは、名目GDPを維持するために猛烈な勢いで貨幣(ベースマネー)を増発しています。しかし、マネーサプライの大部分は銀行貸出で創造されるので、ベースマネーを増発しても思い通りにはなりません。実際、2008年からの3年間に、ベースマネーは242%増えましたが、広義のマネーサプライは34%しか増えていません。
富の効果とインフレ懸念
FRBがコントロールできるベースマネーなどの因子は、経済を回復させ、失業率を低下させるほど迅速な効果を生んでいません。
貨幣の流通速度を上げるためには、FRBは国民に、①富効果(資産効果)による陶酔感か、②インフレ懸念、のどちらかを吹き込まなければなりません。富効果を生み出すためにFRBが押し上げようとする資産は、株式と住宅です。
株価の反発も、期待された富効果を生み出すことはできなかった。
確かに一部の投資家は利益をあげましたが、それをはるかに上回る数の投資家が、2008年の経験で市場に対する信頼を失い、株式市場に戻ってこなかったからです。
・・・・引用終わり
レオンロザ