経済破局は来るのか?

経済破局がいつくるのかを、金貸し支配を読み解きながら、追及しています。

世界金融危機は、どう決着するか(ビジネス知識源)-6 1000兆円もの米国債を買える国は存在しない

2016年11月27日 15時06分48秒 | 日記
■4.中国、日本、アラブは、巨額米国債を増加買いできるのか?

▼中国が、ドル債を増加買いできるのは1年20兆円

中国は、約20年の、貿易黒字がたまった外貨準備を200兆円分持っています。しかしこのうち60%はもともとドル債(国債・社債・住宅証券)です。中国がもつドル債を売って、ドル債を買っても意味はない。

そしてほぼ30%がユーロ債です。これを売って、ドル債を増加買いすることもできない。ユーロ債を売りドル債を買えば、米国に匹敵する中国の輸出先であるユーロが暴落します。これもできない。

【中国のドル買い余力】
中国の貿易黒字は、08年10月で、3.5兆円です。輸出が12.8兆円、輸入が9.3兆円だった。これを1年に延長すれば42兆円になって、そのうち約60%(25兆円)が、ドル債の増加買いの余力になる。

しかし、米国の急激な景気後退(=店舗売上の増加の停止、及び減少)から、11月以降の中国の対米輸出は、急減します。中国にとって、2009年は「外需の増加は期待できない。むしろ減る。」これは確定でしょう。中国製品を多く並べる店舗の売上(1年400兆円:100万店舗)の一部を、実地に見れば分かる。

ファッション衣料、家電、住関連耐久財は、ひどい。売れていのは、ほぼ米国産の、必需の安い食品です。欧州も似ています。

物価インフレを引いた実質GDPがマイナスに向かうとは、店舗売上の急減です。商品価格インフレが5%なら実質GDPの2%マイナスであっても、店舗売上は平均で7%(0%からマイナス14%に分布)になります。1年14%のマイナスが続けば、企業は倒産するでしょう。今の米欧では、金融機関からの融資が出ないのですから。

【結論】2009年での、中国のドル債の増加購入は、中国政府が米国に約束した20兆円程度が、上限です。貿易黒字が増えなければ、中国もドル債の増加購入はできません。

他の方法は、中国政府が持つ$1.2兆(120兆円)の、ドル債の、米国政府への貸与(貸付)です。

しかし、これを中国が行うとは思えません。逆に中国は、ドル債を持つことを対米への、政治的な圧力に使う。外需依存経済の中国は、失業を増やさないため元を安く維持したいからです。(注)中国の、輸出工場の3分の1は、今、操業停止に近い。

▼日本が、ドル債を増加買いできるか?

麻生政権は、米国が支配するIMFに、「新興国の金融危機、通貨危機を回避するための資金」として、10兆円分のドル債を拠出します。IMF(国際通貨基金)の性格を知らず、先見性のない哀れな愚策でした。

わが国政府・日銀には、もう米国債を買う資金余裕がないため、財務省がもつ外貨準備(100兆円)のうち、10兆円分を貸すことにした。

日本政府は、2009年は大きくなる財政赤字と、ゼロ金利から離脱した国債金利、及び財源を国債に依存する経済対策のため、09年は40兆円~50兆円を超える国債を、発行しなければならない。これは、日本政府が使います。米国のために別の国債を発行し、その資金でドル債を買う余裕はもうない。

(注)特別会計の埋蔵金(剰余金)は、特別会計に含まれる年金基金(170兆円)、及び外貨準備(100兆円)がもつ米ドルの約20%下落と、内外の株価の40%下落でほとんど消えています。これらは、現金ではなく、相場で動く米国と日本の国債、円とドルの証券や株になっているからです。この埋蔵金も、株価下落と対円のドル下落でなくなってしまったのです。

米国の当局は、日本には、もう余裕がないことを知っています。この国のマクロ経済と資金循環を、少し分析すれば、2006年以後は、日本がドル債を買う最大手国ではないことは、誰の目にも明白です。そのため、今は、「中国マネーが世界を救う」とおだてる。

しかしもともと、新興国の金融危機、通貨危機がなぜ起こったかといえば、英米系ファンド投資銀行の、2007年末からの新興国の国債・債券・証券・株の売りからです。(注)後述するように米国は、対外債権(株、証券等)を1650兆円(07年末)持っています。

このため、新興国の通貨は30%~40%も対ドルで下落した。金融危機の米ドルが、ユーロと新興国通貨に対し上げたのは、この米国の、対外債権(1650兆円のうち100兆円か?)の売りのためです。この売りで新興国の株価は、50%~70%も暴落した。中国は70%以上下落です。日本の株も約40%下げています。

新興国の金融危機と通貨危機は、英米系ファンドと米系投資銀行の、巨額損での資金繰りの必要が、引き起こしたものです。

(注)日本の株価下落も、同じです。個人は、1兆円分余分に買った。英米系ファンドは、それ以上に売り越した。これが、日経平均が8000円付近に40%も下げ、日々激しく騰落している理由です。

IMFが、日本政府が供出した10兆円を新興国に貸しつければ、どうなるか? 

英米系ファンドと米系投資銀行は、これを幸いにあと10兆円分、安心して、新興国への投資を引き揚げます。つまり日本がIMFに貸し付ける10兆円は、英米系ファンドと米系投資銀行に、資金供与したのと同じことになる。哀れなのは、日本の国益です。この10兆円は、決して戻ってこない。

ドル債の買い手だった、日本の機関投資家(保険と年金)は、今、ドル債を買う余裕はない。個人の外債への投資信託(30%~50%損)も同じです。解約が多く、とても買う資金はない。むしろ、大挙し、ドル債の売りです。

【結論】以上から今も今後も、日本が過去のようにドル債を買える状況はない。2007年までは1年平均で40兆円も買ってきたのですが・・・

▼原油が50ドルに下落したアラブは、ドル債を増加買いする余力はない。

世界で300兆円を超えると持て囃(はや)されていたSWF(資源国と貿易黒字国の政府系ファンド)は、07年10月をピークとする世界の株価下落(40%~60%:総損害3000兆円)によって、顔色を失っています。アラブ諸国の、SWF100兆円も、同じです。巨額損失を蒙(こうむ)り、ドル債を増加買いするどころではない。

ドル債やCDSを5兆円買い、1.5兆円(30%)を超える含み損を出しているわが国の農林中金より、アラブ系ファンドの損はひどい。運用責任を問われています。

$200になると囃(はや)されていた原油は、$50に下落した。国営石油会社が原油高騰で、大番振る舞いした財政と公共投資のため、直近では、アラブは財政赤字に転落しています。アラブも、ロシアも、米国債を増加買いする余力を失っています。

【結論】日本とアラブには、ドル国債を増加買いする余力はない。日本を追い抜いた貿易黒字国中国でも、1年20兆円買いが天井です。

ドイツも国内の金融対策が米国と同様に忙しく、ドル買いどころではない。スイスの大手銀行は、金融破産に近い。そうなると、米国債は、今後、海外には売れない。逆に、ドル安の損を恐れる売りがあるでしょう。



匿名希望
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