映画の話でコーヒーブレイク

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もうひとりのシェイクスピア

2013-01-07 | 映画 ま行
今年初の映画館鑑賞です。
土曜日の午前中桜木町で用事を済ませ、気になっていた本作を見に横浜ブルク13へ。
「もうひとりのシェイクスピア」というタイトルと、ヴァネッサ・レッドグレイブが出演している
事しか知らず鑑賞。

原題は「ANONYMOUS アノニマス」。
「アノ二マス」って仮面をつけて世間を騒がすサイバーテロ集団のことじゃありませんよ。
「もうひとりの」という意味深な感じではなく「作者不詳」という直球タイトルです。
お正月明け一作目に、こんな面白い歴史ミステリーに出会えて幸せ~です


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      も う ひ と り の シ ェ イ ク ス ピ ア
                   ANONYMOUS

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 < ストーリー >
16世紀チューダー王朝最後のエリザベス1世統治下のロンドン。女王の宰相ウィリアム・セシル卿は
女王亡き後スコットランド王ジェームスを担ごうと画策していた。
セシルの義理の息子にあたるオックスフォード伯エドワード・ド・ビアは文武両道。
剣の腕のみならず、語学・その他の教養を備え、幼い頃から戯曲・詩の才能も発揮していた。
ある日書き溜めた戯曲をベン・ジョンソンに託し名を伏せ、上演させる。
観客は拍手喝采し、作者は誰かと問う中、ある男が自分が作者だと名乗り出る。
オックスフォード伯は芝居によって民衆を扇動しセシル失脚を試みるが・・・。 


この映画を見るまで、シェイクスピア別人説があるということを全く知りませんでした。
以前「彼の作品はオリジナルじゃなくて各地方で伝承されているストーリーをただ纏めただけだ」と
言ったアメリカ人の英語の先生がいましたが、シェイクスピア別人説を唱える人たちを
「反ストラトフォード派」と言うようです。
    
      オックスフォード伯エドワード・ド・ビアとサウザンプトン伯ヘンリー 

本作はオックスフォード伯エドワード・ド・ビアだとする「オックスフォード派」の立場に立った
ストーリーですが、他にもフランシス・ベーコンを始め数人の名前が上がり、
熱い論争があることを知りました
シェイクスピアって…そんなミステリアスな方だったんですねぇ。

本作では「読み書きもできないのに…」と、シェイクスピアはバカにされていますが、
別人説が浮上したのは、彼自筆の手紙が存在しないとか、遺言に戯曲・詩についての言及がないとか、
署名の書体が毎回違うとか、活動期間に「空白期間」があるなど、様々な理由があげられています。
そして、まともな教育を受けていないし外国に行ったこともないのに、どうしてあのような
素晴らしい作品の数々を書くことができるだろうか?という疑問が大きいようです。
でも、かの天才レオナルド・ダ・ビンチだってちゃんとした教育を受けてはいなかったしねぇ。

まぁ、そのような論争は専門家にお任せするとして、本作は非常に面白い!です。
シェイクスピアに詳しい方々からは、作品の発行年の辻褄が合わないとか、
あれもこれもと突っ込みどころ満載だとして不満もあるようですが・・・
このストーリー、ひじょ~~うに面白いのですよ
歴史物ミステリーとして観客を惹きつけて最後の最後まで離しません。

実在の人物、歴史的な出来事などを絡め、そこにシェイクスピアの作品の数々がうまく取り込まれ、
芝居がどれほど当時の人たちを楽しませる娯楽であったか、
また当時の権力者を揶揄し、一般大衆の溜飲を下げたのかが伝わってきます。
大衆を煽動することもできる「ペンの力」を感じました。

そして、衣装に家具、館や庭園、パブに劇場、ロンドンの街並み、テムズ川にロンドン塔などなど
16世紀チューダー朝エリザベス1世の時代ってこんな感じだったんだろうな~と
思わせてくれる映像がとても素晴らしく、ストーリーに信憑性を添えてくれます。

そして一体どういう結末で終わりを告げるのか?っと身を乗り出したところで
「ギリシャ悲劇~~~」のような事実発覚!・・・
脚本が上手いわ~。脚本家はジョン・オーロフ。構想25年らしいです。

ただ、名前がね・・・。
実名だからしょうがないんだけれど、エドワードにロバート、ヘンリーにジェームズ。
ようある名前やなぁ。ローバートは2人いるし。リチャードはいませんでした。
英国王のみならず、西洋人にポピュラーな名前なので、ちょっとまごまご。
でも公には○○伯とか□□卿と言っているので大丈夫です。

 
   エリザベス女王             若かりし女王と若かりしオックスフォード伯

監督はローランド・エメリッヒでドイツ人ですが、出演者はすべて英国人。
現代から舞台へ、そして一気に16世紀英国へと誘うのは名優デレク・ジャコビ。
エリザベス女王にはヴァネッサ・レッドグレイブと実の娘ジョエリー・リチャードソン。
そしてオックスフォード伯を演じるのはリス・エヴァンス。(若い頃はジェイミー・キャンベル・バウワー)
「ノッティングヒルの恋人」でとぼけたヒュー・グラントの友人を演じていたあの人ですが、
本作では重厚な雰囲気で堂々と主役を演じてます。渋~い
「ノッティング…」のとぼけた彼を渋いとな。 役者よのぉ~。
  
 語りのデレク・ジャコビ     あのふざけたオッサン(リス・エヴァンス)が苦悩する伯爵を演じてます。
          
            女王の宰相ウイリアム・セシル演じるデヴィッド・シューリス
  
ただ、公開館が少ないです。全国でたった11館。
面白いんだから、もっと拡大公開してほしいもんです。



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 ***** 見た 映画 *****    

 1月 4日 「WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々」 DVD

 1月 5日 「もうひとりのシェイクスピア ANONYMOUS」 @横浜ブルク13                 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (オリーブリー)
2013-01-12 12:17:55
この映画でスタートできて、ラッキーでしたよね^^
役者さんもドンピシャだったし、オープニングもシャレてて良かったな。
男勝りな統治のイメージもあるエリザベス1世だけど、ケイトの映画からも、やっぱり女独特のイヤラシサと言うか、、、そんなものは感じますよね(苦笑)
まさかシェークスピアとエリザベスがねぇーーなんて(笑)
面白い映画でした!
Unknown (オリーブリーさんへ(ryoko))
2013-01-15 22:14:20
新年早々、面白い映画に出会えて本当にラッキーでした。
シェイクスピアにこんな仮説があるとは。
オックスフォード伯シェイクスピア説はなかなか説得力がありますよね。エリザベスとの関係には、えぇーーーでしたが、あの時代そんなこともあったのかもと、納得してしまいました。実に面白い映画でしたね。

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