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2017年4月7日(金)国連安全会議から、ボリビア代表サッチャ・ジョレンティ 「シリアのこと」 

2017年04月09日 14時51分31秒 | 中東問題
太陽のイビキ‏ 
@taiyonoibikiさんのツイート。

――メディアが報道しない本当のシリア・中東⑾
2017年4月7日(金)国連安全会議から、ボリビア代表サッチャ・ジョレンティさんの発言(全訳)〔13:49 - 2017年4月9日 〕—―

以下、転載です。

①ニッキー・ハレイ(4月度の安全保障会議議長、アメリカ合衆国):ではここで、安全会議メンバーの皆様の発言を受けたいと思います。まず、ボリビア代表の発言をどうぞ。

②サッチャ・ジョレンティ(ボリビア代表):議長、ここで私に発言の機会を与えてくださったことに感謝いたします。また、ここに公開で安保理会議を招集していただいたことに感謝いたします。

③サッチャ・ジョレンティ:ここ数日の間にシリアで起きたことに対して、安全会議のメンバーがいったいどういう態度をとるのか、ここに集った国連のメンバーだけでなく、それを完全に透明な情報開示の仕方で世界中が知らせることは、たいへん重要なことだと信じます。

④サッチャ・ジョレンティ:ボリビアはそれを願って、この会議の招集を呼びかけました。

⑤サッチャ・ジョレンティ:私たちは特にここ数時間の間に起きている事柄についてたいへん心配しています。

⑥サッチャ・ジョレンティ:人類全体が目撃したこの恐るべき<化学兵器の使用>に対処するためにいったいどのような調査メカニズムを構築するのが最も公正なのかについて、私たちがここで真剣に議論している時に、またもアメリカは、密かに一方的武力行使を準備し、そして再び実行したのです。

⑦サッチャ・ジョレンティ:いうまでもないことですが、ミサイル攻撃は一方的武力行使であり、世界の平和に深刻な打撃を与えるものです。なぜでしょうか。

⑧サッチャ・ジョレンティ:過去17年間にわたって人類は、物理的及び組織的及び法的に意味において、このような一方的攻撃、つまり強者が一方的な言い分で弱者を攻撃し、しかもそれが許されるような事態を回避する方法を構築する努力を続けてきました。

⑨サッチャ・ジョレンティ:私たちは、世界平和を脅かすそのような深刻な違法行為を抑止するために努力し続けてきました。

⑩サッチャ・ジョレンティ:私たちは信じます。単に安全会議のメンバーだけでなく全ての国連組織が、国際相互協力主義を遵守する義務を負っているものと信じます。私たちは国際相互協力主義を守るために、ここに集っているのです。

⑪サッチャ・ジョレンティ:ここに国連憲章があります(国連憲章を左手に掲げて)。国連憲章は尊重されなければならないのです。そして、この国連憲章では一方的武力行使を明確に禁止しているのです。

⑫サッチャ・ジョレンティ:「全ての(武力)行使は、唯一、国連安全保障理事会によってのみ権限を与えられるものでなければならない。」
ここで、私に国連憲章から条項を読み上げることを許してください。そうすれば、私たちはそれを思い出すことができるでしょう。

⑬サッチャ・ジョレンティ:まず、第24条:「国際平和と安全保障の保持するため国連の行動を促進し、その効果を担保するために、そのメンバーは責任の第一の所在が安全保障会議にあること認め、尊重しなければならない。」

⑭サッチャ・ジョレンティ:ここに座っている15カ国の代表は、ただ自国15カ国の代表なのではなく、ここに座っていない国連加盟193カ国の全ての代表なのだということを忘れてはいけません。そして、私たちは国連憲章の名において、一方的武力行使の禁止に全員が同意しているはずなのです。

⑮サッチャ・ジョレンティ:昨日、ここで私たちが議論しあったように、私たちは武力以外の解決法、同意に基づく解決法に至る道を目指して懸命の努力をしてきました。

⑯サッチャ・ジョレンティ:ここで私たちが、化学兵器使用について国際協力に基づく独立調査団を設置するよう求めていたのに、またもアメリカは勝手に一国で捜査官になり、検察官になり、裁判官になり、陪審員になり、さらに執行人になってしまいました。


⑰サッチャ・ジョレンティ:誰もが納得できる客観性を備えた調査の道はどこに行ってしまったのでしょうか?これは、明らかに深刻な国際法違反です。しかも、こういうことは今が初めてではありませんでした。過去にも同じようなことが起こりました。

⑱サッチャ・ジョレンティ:歴史を振り返ると、たくさんのエピソードが思い出されます。国連憲章に違反して、何度もなんども一方的武力行使を実行した多くの例がアメリカによるものでした。

⑲サッチャ・ジョレンティ:しかし、たとえ何度違法行為がくりかえされようと、国連がそれを認めたということでは全くないのです。違法はあくまでも違法です。


⑳サッチャ・ジョレンティ:2013年9月、あの時もアメリカはシリアに対して武力行使を実行しました。あの時、国連事務局長バン・キムーンが行ったことを私は思い出します。バン・キムーン事務局長があのとき英語で話したことを、ここで私にくりかえさせてください


㉑サッチャ・ジョレンティ:"The Security Council has the primary responsibility for international peace and security.

㉒サッチャ・ジョレンティ:That’s my appeal. Everything has to be handed within the framework of the United Nation’s Charter.

㉓サッチャ・ジョレンティ:The use of force is lawful only when it’s exercise of self-defense in accordance with article 51,

㉔サッチャ・ジョレンティ:and all, when the Security Council approves such an action.

㉕サッチャ・ジョレンティ:(国際平和と安全保障について最大の責任は唯一国連安全会議にのみ存します。これが私のアピールです。全ては国連憲章の定める枠組みの中で取り扱われなければなりません。

㉖サッチャ・ジョレンティ:武力行使が合法なのは、唯一、国連憲章51条に定めた自己防衛と認められた場合に限ります。さらに、安全会議がその行為を承認した場合に限ります。)」
以上です。これが、国際紛争を防止するために事務総長が示した道です。

㉗サッチャ・ジョレンティ:そして同じようなケースを私たちは今、経験しているのです。つまり、このミサイル攻撃が意味するものは、ただ国際平和の道をズタズタに引き裂いているだけだということです。ジュネーブ会議が目指した政治的解決をこのミサイル攻撃は真っ向から否定しているのです。

㉘サッチャ・ジョレンティ:私たちが懸命に積み上げてきたものを、いとも簡単に壊してしまおうとしているのです。これはたいへん悲しむべくことです。初めてのことではありません。そしてまた起こりました。

㉙サッチャ・ジョレンティ:ではわずか数年前にまさにこの安全会議の場で起きた一つの出来事を思い起こしてみましょう。忘れもしないそれは、2003年2月5日、水曜日のことでした。アメリカ合衆国国務長官がこの会場にやってきて、安全会議のメンバー全員にイラク戦争の支持を求めたのです。

㉚サッチャ・ジョレンティ:そして、彼の言葉で言うと、イラクが大量破壊兵器を持っているから、先制攻撃が絶対に必要だと言うものでした。(コリン・パウエルの写真を掲げて)

㉛サッチャ・ジョレンティ:みなさん、私たちはあの時のことをもう一度しっかり思い出さなければなりません。まさにこの会場で、この写真の人が私たちに、イラクが大量破壊兵器を持っていると語ったのです。大量破壊兵器こそがイラク戦争開戦の唯一の理由でした。

㉜サッチャ・ジョレンティ:そして、戦争が始められ、100万人が殺されたのです。そして、あれこそがこの地域における地獄の始まりでした。イラク戦争の前にイスラム国はあったでしょうか?ありませんでした。世界中で今起こっているような頻繁なテロ行為があったでしょうか?ありませんでした。

㉝サッチャ・ジョレンティ:私は、歴史が私たちに教えることの重要性を信じます。あの時アメリカは、イラクが大量破壊兵器を持っているという証拠を私たちに示すことなく、一国でどんどん勝手に突き進んでいきました。従わないものはテロリストとみなすとまで公言しました。

㉞サッチャ・ジョレンティ:では、肝心の大量破壊兵器はどうなったのでしょうか?どこにもありませんでした。まったくどこにも。初めからそんなものはどこにもなかったのです。

㉟サッチャ・ジョレンティ:ここで私に、エボ・モラレス大統領が語った言葉を繰り返させてください。

㊱サッチャ・ジョレンティ:「私は信じる。私は感じる。願わくば、私は自分が思い違いをしていると思いたい。シリア政府が化学兵器を使用したという情報は、アメリカが武力行使、一方的武力行使、帝国主義的行動を行使するためにでっち上げた口実なのではないかと。

㊲サッチャ・ジョレンティ:アメリカは国際法など屁とも思っていない。アメリカは自分らの利益のためには平気で国際法を無視するし、武力行使を回避するための会話を封じ込めてしまう。アメリカは世界平和と安全保障の脅威だ。」
(以上、エボ・モラレス)

㊳サッチャ・ジョレンティ:ここで、アメリカ代表がいるこの場所で、いわゆるダブルスタンダード(二枚舌)について論じることが重要だと、私は信じます。それは私たち自身、ボリビア国民及びラテンアメリカに住む人々が過去ずっと経験させられてきた現実だからです。

㊴サッチャ・ジョレンティ:私たちが心から尊重している「人権」は、彼らにとって単なる言葉にしか過ぎませんでした。人権が自分たちの利益に反すると見るやいなや、彼らは何の躊躇もなく、それを蹂躙し始める。

㊵サッチャ・ジョレンティ:ラテンアメリカの多くの国々、エルサルバドル、ベネズエラ、チリ、グアテマラ、…、でクーデターが画策されました。民主的な政府を倒して、その後釜に民衆を抑圧する傀儡政権を据える。クーデターを画策し、傀儡政権に金を渡したのはCIAでした。

㊶サッチャ・ジョレンティ:これは歴史の事実であり、スパイ小説ではありません、現実です。私たちが苦しめられてきた現実なのです。私は、1973年の、民主的に選出されたエルサルバドルの政府に対して実行されたクーデターを覚えています。このクーデターはCIAの資金提供で実行されたのです。

㊷サッチャ・ジョレンティ:CIAがラテンアメリカのテロリストたちを訓練し、その学校では民衆の拷問の仕方が教えられていました。国家の安全のためだと称しながら。

㊸サッチャ・ジョレンティ:彼らは人権について語るけれども実は人権になど関心はないのです。民主主義について語るけれども、民主主義などに関心はないのです。都合が悪いものはクーデターで倒せばいいという考えだからです。

㊹サッチャ・ジョレンティ:国際相互協力主義と言っても、利益に反すると見るやいなや、国際相互協力主義に関心などないのです。自分たちの貪欲な利益にかなっている時だけ、国際相互協力主義は歓迎されます、国連も歓迎されます。

㊺サッチャ・ジョレンティ:しかし、一旦自分たちの利益の反するとなると、国連も人権も国際相互協力主義も無視です。

㊻サッチャ・ジョレンティ:それと同じことが、今ここで、安全会議の席で起きています。今ここで再び、化学兵器の使用というものが武力行使の口実として使われています。この安全会議の場が、今再びプロパガンダの拡声装置として利用されようとしているのです。

㊼サッチャ・ジョレンティ:私たちは何としてもそれを阻止しなければなりません。安全会議は、絶対に戦争正当化のツールであってはならないのです。安全会議は、規範と国際法に基づき、世界平和と安全保障を担保するための機関でなければならないのです。

㊽サッチャ・ジョレンティ:議長、この会議の模様が一切の検閲を受けることなく、完全な透明性を持って、世界中に伝えられることが絶対に必要だと、私はまたここで重ねて指摘しておきたいと思います。

㊾サッチャ・ジョレンティ:実はこの安全会議には、ファーストクラスとセカンドクラスという二つの階級があるのです。常任理事国は拒否権を持ち、全体の過程と意思決定を支配しています。

㊿サッチャ・ジョレンティ:しかし、セカンドクラス、非常任理事国にはそれがありません。ごく稀に、今回のような会の開催を要請できる機会があるだけ、あとは拒否権もなければ過程にも意思決定にも関わることができません。これでは真の国際相互協力主義とは言えません。

51.サッチャ・ジョレンティ: ボリビアは、化学兵器を使用し恐るべき犯罪を犯した真犯人を突き止め、法に基づいてこれを罰することを強く求めます。そのために、しっかりとした独立調査組織の設立を強く求めます。

52. サッチャ・ジョレンティ:同時に、何人も国際法を犯し、世界平和を脅かしたものは、立件され、法に基づいて罰せられることを強く求めます。議長、どうもありがとうございました。

53.解説:

安全会議のメンバー15カ国のうち、アメリカのミサイル攻撃に賛成した国は次のとおりである。

1.イギリス
2.トルコ
3.サウジアラビア
4.イタリア
5.フランス、ドイツ
6.日本
7.ポーランド
8.EU
9.オーストラリア
10.イスラエル

54

「10 world leaders who supported U.S. missile strike on Syria 」

☆ 記事URL:http://www.sandiegouniontribune.com/opinion/the-conversation/sd-world-leaders-who-support-us-syria-airstrike-20170407-story.html

55. 賛成の理由はいずれも、シリア政府の化学兵器使用に対する懲罰であった。

56. すでに紹介しているように、2014年6月末をもって、シリア政府所有の化学兵器、サリン、マスタード、VXガス及び前駆物質全量が撤去・廃棄されたことが国連査察チームによって確認されている。また、その数字はアメリカの優秀な監視システムのデータとも一致している。

57. 今回もシリア政府が化学兵器を使用したと言う証拠はまったくない。そればかりが、調査さえされていない。

58. と言うことは、つまり、このミサイル攻撃はシリア政府が化学兵器を使用していないことを十分承知した上で実行され、安全会議のメンバーも十分それを承知した上で攻撃を支持していることになるのではないだろうか。

59. 何がこのような不条理を可能にしているのだろうか?少数の良心あるジャーナリストによって真実がリークされると、彼らはいったん計画を引っ込める。しかし、事実が民衆に周知されていないか、人々がそれを忘れたことがわかるや否や、彼らはまたそれを実行し始めるのだ。

60. 大手のメディアや有名な知識人が、真実を伝えているとは限らない。メディアやブログの体裁も関係がない。むしろ真実は無名の人々からやってきて、それが真実であるかどうか判断するのは、受け取る者の思考能力にかかっているのだ。

61. 決して豊かとは言えないボリビア、アメリカ帝国主義に蹂躙され続けてきたラテンアメリカのこの国の代表の勇気ある声が、「検閲のない、透明な形で」、多くの人々に届くことを祈って、この翻訳をアップしました。(了)

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