秋の昼

秋の昼濡れた鉢を並べ置き
大空を背負いてコスモス赤立ちぬ
秋の夜ラジオの音の高くなり

霜降

霜降やしずかに雨の降りはじめ
長き夜に久方ぶりにトルストイ
長き夜に背筋を伸ばしトルストイ
歳時記のぱらぱらめくる長き夜

秋蝶

秋蝶の命輝く畑一反
畑一反秋蝶の数八・九頭
月隠す雲の無邪気に流れ行く
久方に君と肩組む運動会

月清し

昼の雨空洗われて月清し
名月を待つ間のラジオ中日戦
十七夜首をかしげて仰ぎ見ん

コカマキリ

一夜だけ我が家にとどまりコカマキリ
まな板に苦瓜の香ひろがりぬ
白抜きの新米の文字に足とまり

秋の雨

秋雨や吾子のまぶたの重くなり
秋の夜吾子暖かくひざの上
ベビィカー押す傍らに秋の草
名も知らぬ秋草路地を覆いけり
よちよちの影よく動き秋の夕

このごろ朝夕は涼しく小さな子のお散歩にはもってこいの季節となりました。秋が深まっていくのを日ごと感じます。