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第15回記念信州岩波講座基本テーマ

2013年04月26日 | 信州岩波講座
第15回記念信州岩波講座基本テーマ:岐路に立つ日本――決めるのは私たちです
日本国内のみならず世界中に大きな衝撃を与えた東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から2年あまりが経過しました。「3.11」直後には、これを機に、戦後の(あるいは日本近代の)あり方を総点検し、新しいスタートにしなければ、という言説が多くみられました。価値観が変わった、暮らしのありようを見直したという人も少なくなかったはずです。果たして、「3.11」は新しいはじまりになったのでしょうか。
「3.11」後初の国政選挙となった昨年末の総選挙は、日本の進路にかかわる重要な選択の機会でした。しかし、原発、TPP、消費税、基地問題など、多くの重要課題について議論が深められることはなく、結果は「民意」が反映されたとはいいがたいものでした。そして今、改憲勢力は国会の多数を占める状況となり、東アジアの隣国との関係も深刻な事態に直面しています。私たち今、戦後最大の岐路に立たされていると言っても、あながち的外れとは言えないでしょう。
政治の不毛は、国民の声を受け止めきれていない政党や政治家の側にこそ大きな問題があるとはいえ、私たちの側にも、政治に不満があっても声に出さない、黙って受け入れてしまうというような傾向がありはしなかったでしょうか。背景には、言っても無駄、どうせ変わらない、面倒くさいといった気持ちがあるのかもしれません。しかし、私たちの未来は、主権者である私たち自身が決めるべきです。「このままではいけない」「何とかしなければ」という思いを抱く人は決して少数ではありません。「3.11」後各地で取り組まれるようになった反原発デモのように、新しい社会運動の形も芽生えています。
社会を覆っているさまざまな問題を「他人事」として見過ごすのではなく、自らに引き寄せて考え、自分にできるやり方で意思表示をしていく(なかなか勇気と根気のいることですが)――そうした努力を積み重ねるなかで政治が身近な存在に変わり、「民意が生きる政治」の実現に近づいていくことでしょう。信州岩波講座が、「行動する市民の力」になることを願います。