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第14回信州岩波講座が終わる

2012年09月20日 | 信州岩波講座
 第14回信州岩波講座2012 講座Ⅲ 浜矩子氏と中野剛志氏が持論を展開!

 本年最終となる講座Ⅲは9月8日、約400人の聴講者を迎えて行われました。聴講者数は3講座ともほぼ同じでしたが、聴講者の顔ぶれは講座によって微妙に異なり、講座Ⅲでは50代の男性の姿が多く見受けられました。


 最初に浜矩子さんによる講演。4つのキーワード―――「ファウスト病」「コリント人への手紙」「シェアからシェアへ」「均一性から多様性へ」について、それぞれ15分ずつ時間正確に語られました。表情、語調を少しも変えることなく話の途中に“知的ユーモア”をチラリと交える。これがまたいい。
 「テレビと同じ独特の顔、声、髪の毛。内容も専門的知識があり、聞く価値があった」(70代男性)。「<終わりは始まり>の意味が良く分かりました。包摂性、多様性ある理想郷の考え方、自分の尺度、軸として持ち続けたい」(50代男性)など、理路整然とした話の内容に満足の声が多数寄せられました。


 続いて中野剛志さん、現在の「経済情勢」について、数字やグラフを画像に示しながらわかり易く解説しました。「デフレは自殺者を増やすたいへん怖いもの。このデフレ状態を脱却するには需要を増やすしかなく、今こそ公共投資を積極的に行わなければならない。緊縮財政、消費増税、TPPへの参加―――政府のやろうとしていることはみなインフレ対策ばかり。これではますますデフレを加速させてしまう」と歯切れよい口調で力説。
 聴講者からは、「中野さんが特に良かった。経済対策を政治的主張にしている政治家たちや、自分たち国民の経済への不勉強さが大変問題なのだと感じた」(40代男性)。「中野さんの明快な説明で、現在の日本の置かれている立場もよく分かりました」(50代女性)。「中野さんのお話で失われた20年の原因がよくわかりました。何としても政治を変えることが大事だと思います」(70代男性)、などの声が寄せられました。

 講師二人に対する期待は、講演後の「質問票」の数にも表れ、1時間ではとても回答しきれないほど集まりました。「対談」では、それぞれの考えを述べることで「質問票」に答えるということにしましたが、期待が高かったせいか「対談の時間をもっと長くしてほしかった」との声も数人から聞かれました。

 最後は、信濃毎日新聞社主筆:中馬清福氏による、本講座全体を通しての総括と、節目となる次年度への期待を語っていただき、会場からも大きな拍手がわき起こりました。