河口慧海『チベット旅行記 抄』(中央公論新社)を読む。
明治時代にチベットへ旅をした僧侶の旅行記。
中公文庫版はダイジェストです。
日本に入ってきた仏典は漢訳のものであったため、
原書に近いチベット語訳の仏典を求めて、
日本から僧侶がチベットへと向かいました。
20世紀初めなので、チベットは清の支配下にありました。
慧海はインドからネパール経由でヒマラヤ山脈を越え、
チベットに入ることに成功します。
旅行記を読むと、チベットは「中国の一部」ではなく
インドの奥にある国、というイメージです。
『旅行記』は口述筆記のため、
わかりやすい文体になっています。
インドのダージリンという地名が出ますが、
紅茶で有名なダージリンです。
他にもチベットの風俗について
興味深い記述があります。
最後に、慧海が旅の途中で詠んだ和歌を一首紹介します。
ヒマラヤの雪の岩間に宿りては やまとに登る月をしぞ思ふ
お坊さんの一念というものは、すごいものです。
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