獣害を裏返せ!

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【071024】網入り集落/御杖村菅野東地区

2007年10月24日 | 獣害-対策:シカ・イノシシ
◆獣害対策ぐるり8キロ
 野生のイノシシや鹿などから農作物を守ろうと、囲った檻(おり)に田畑ごと立てこもってしまった“村”がある。御杖村菅野の「菅野東地区」。昨年11月に高さ2メートルの金網フェンスを長さ8キロにわたって張り、約20ヘクタールの集落全体を囲んだのだ。県によると、獣被害対策でこれほど大規模な「囲い」を設けるのは県内で初めてでは、という。それから1年近く。住民たちは「おかげで被害が減った」と効果に満足そうだ。

◎団結効果 被害1割に
 同地区は、三重県境に近い国道369号沿いの山中にあり、四つの集落、約80世帯からなる。

 国道から集落に入る村道を進むと、道の両側から左右に延びるフェンスが見えてくる。山の起伏に合わせてうねりながら延々と続くフェンス。家や畑だけでなく、郵便局や御杖村で唯一の中学校も、この内側にある。住民はもちろん、集落の外から通学する生徒らにとって常に利用できる出入り口は、村道が通る3カ所しかない。

 中には念を入れて、別に扉つきフェンスで囲んだ畑もあり、まるで砦(とりで)のようだ。村道を歩いていた女性(80)は「畑から畑へ行くのにフェンスの入り口までぐるっと回らなきゃならん。少し不便だけど、こうでもしないと畑は守れないから」と話した。女性の育てている小豆も、それまでは頻繁に葉っぱごと食い荒らされていたという。

 同村の獣被害の補償にあたる宇陀農業共済組合(宇陀市)によると、04年からの3年間に補償対象になっただけで田畑計約7・5ヘクタール、米やホウレンソウ、小豆など作物計約800キロの被害。集落全体の自活用菜園が全滅したこともあった。

 地区代表の木村忠雄さん(63)によると、この辺りでイノシシや鹿の被害が目立つようになったのは、20年ほど前から。周囲の山で杉の植林が進み、エサとなる木の実が豊富な雑木林が減ったため、里へ下りてくるようになったのではという。

 以前は、漁網や電気を流した「電気柵(さく)」で畑だけを囲んでいた。だが、漁網は弱く、すぐに破られてしまう。電気柵も、伸びた草と接触すると電流が地面へ逃げて役に立たない。さらに個々の農家が別々に取り組むため、効率も悪かった。

 そこで集落全体を丸ごと守ろうと、木村さんらが村役場に掛け合い、フェンス設置費の85%を国や県、村から補助してもらうことにした。工事は住民たちの手作業。半年間に延べ約1千人が参加して完成させた。総費用は4500万円。「これで被害が今までの10分の1ほどになり、集落の人もみんなよろこんでます」と木村さんは顔をほころばせた。

 被害がゼロになっていないのは、川に面してフェンスを立てていない場所や村道から侵入してくるのがいるためらしい。それでも木村さんは「集落を守るため、集落のみんなが団結できた収穫がありました」。

(奈良県)

朝日新聞
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000710240002

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