~ 転載 ~
樹木や農作物を食い荒らす害獣として捕獲されたイノシシやシカの肉を使ったカレーを、熊本県山都町の矢部高の生徒が開発し人気を集めている。米栽培用に飼育されているアイガモの肉も活用し、その名は「猪鹿鳥(いのしかちょう)カレー」。イベントでの販売益を活用した植林活動も始まり、町は商品化に向けて食肉処理施設の設置について検討に乗り出した。
今月11日、矢部高の調理室。「肉がまだ硬いから、もっと煮込んだら」。生活・園芸部の生徒7人が21日の農産物販売イベントに向けカレーの試作に励んでいた。
猪鹿鳥カレーが生まれたのは3年前だ。山あいにあり、面積の約72%を森林が占める山都町は、害獣駆除で捕獲した動物の多くを埋却処分している。
そのことを授業で知った3年生が、「害獣被害の実態などを学ぶ機会に」と考えた米村祐輔教諭(43)(現・県教委高校教育課指導主事)の指導の下、有効活用の方法を研究。カレーの食材に使い、販売益で植林を進め里山を保全する仕組みを思い立った。アイガモも加え、花札の役を商品名に採り入れた。
だが開発は容易ではなかった。一番の課題は、肉の硬さと獣臭さ。専門家を招き、それぞれの肉の特徴に合わせた香辛料の配合方法を学んだ。肉の硬いアイガモはひき肉にし、香りの強い香辛料を混ぜるなど試行錯誤。十数種類を組み合わせ、イノシシ、シカ、アイガモの肉をそれぞれ使う3種類の独自レシピを完成させた。
米や野菜も地元産にこだわった。1皿300~400円。昨年秋から4回のイベントで販売するうちに評判は広がり、地元商店街の5飲食店もメニューに加えた。今年3月には、益金1万数千円で購入したドングリやクヌギの苗計約100本を植えた。
町は地域活性化に結びつけようと、廃校になった小学校を食肉処理場として利用することを検討中。早ければ2012年度から稼働したい考えで、町農林水産課の上野善宏課長は「捕獲頭数は年間1000頭を超えており、うまく活用して働く場の確保にもつなげたい」と期待を込める。
2年野口留花さん(16)は「カレーを作ることで、食べ物には命が宿っていることを深く考えるようになった」と話す。指導する高本文博教諭(38)は「熊本のおみやげとして定着し生徒の頑張りが実るよう県内外にPRしていきたい」と意気込んでいる。
◆害獣対策、ソーセージやラーメンも
農林水産省によると、全国での害獣による農作物被害は年間200億円前後。被害は拡大しており、捕獲した害獣の肉を有効活用する取り組みは各地で進んでいる。
熊本県五木村では、シカ肉をみそや酒かすにつけ込んだ商品を販売。静岡県浜松市でもイノシシ肉を使ったカレーやソーセージ、ハムを開発、高知県四万十市ではシカ肉でジャーキーを作り、道の駅などで販売している。山口県萩市の道の駅や大分県杵築市の温泉施設でも、イノシシの肉やチャーシューを使ったうどんやラーメンが好評という。
読売新聞
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