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受動喫煙の害を隠すプロジェクトについて

2006-06-10 11:24:00 | 概要
How a tobacco industry funded paper reached erroneous conclusions.

English Here


1981年 日本の平山雄博士が受動喫煙が肺癌の原因になることを発見。平山博士は「タバコを吸わない女性が喫煙者と結婚すると、非喫煙者と結婚した場合に比べて肺癌になリやすい」と結論。受動喫煙問題はタバコ産業にとって、厄介な問題となる。なぜなら、受動喫煙の害を認めることは分煙が促進され、喫煙する権利が否定されることになるからである。

1982年 東海大学教授だった春日斉氏は「夫がヘビースモーカーだと(非喫煙)妻は毎日10本、喫煙が野放しの職場で働く(非喫煙)OLの場合は毎日20本、それぞれいや応なしにタバコを吸わされていることになる」と平山研究を支持する発言を行っていた(1982年10月11日付『日本経済新聞』)。また「喫煙所以外は禁煙にするなど、職場の環境浄化が必要だ」とも警告していた(同日付『産経新聞』)。

1986年 米国の公衆衛生局長官Dr.Everett Koop は環境タバコ煙は非喫煙者の肺癌発生に寄与している」との報告書を提出。

1987年 IARCはタバコ煙を明白な発癌性物質【Group1】と認定。

1988年 英国の政府諮問委員会はETSが非喫煙者の肺癌を10~30%増加させると結論。

1988年 米国タバコ産業はThe Center for Indoor Air Research (CIAR)を設置。CIARは環境タバコ煙(受動喫煙)に関する研究を支援していた。

1991年 受動喫煙の害を隠すプロジェクトが発足。これは帝京大学の矢野栄二教授と東京女子医科大学の香川順教授がCIARに提案したことが契機となった。両教授はプロジェクトへの参加報酬見積額として米国のタバコ産業に243,000ドルを提示。両教授がこうした高額な報酬支払い要求を行ったことは、平山論文の正当性を強く意識していたものと考えられる。

この報酬見積額が提示されると、プロジェクトに対する米国側タバコ産業の意見統一が容易でなく、B&W(ブラウン・アンド・ウィリアムソン)社は協力を拒否。BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)社も費用分担をしぶった。

その後、交渉の末、矢野教授らの要求金額を下回る、約20万ドルを支払うことで契約が結ばれた。だが、一部は物納、一部は分割払いという形で支払われた。

プロジェクトの目的は、平山雄博士による受動喫煙の疫学研究と米国環境保護局による環境タバコ煙の健康評価の弱点を明らかにすることであった。

プロジェクトの監督としてBAT社の主任研究員Proctor氏が任命されていた。

1991年 御用学者 Lee氏もプロジェクトに参加し、米国のタバコ産業は日本たばこ産業に協力を依頼する。同年、日本たばこ産業は春日斉東海大学名誉教授を非常勤嘱託する。

1992年に発表された受動喫煙の害を否定する春日論文には、プロジェクトの監督であるProctor氏から私信があった(1991年)旨記されており、春日名誉教授もプロジェクトに関与していたことは明らかである。

・その後、受動喫煙の害を隠すプロジェクトを通じて、受動喫煙の害を否定する論文が複数作成され米国のタバコ産業に提出される。いずれの論文も、日本の受動喫煙研究の信用性を失墜させる内容であった。

・矢野栄二教授らによるプロジェクトは1991年に始まり、1995年に平山雄博士が病死するまで継続、その間平山論文を中傷し続けた。

・プロジェクトで作成され、タバコ産業に提出された論文には、矢野栄二教授らの名前で書かれた論文と、Lee氏の名前で書かれたもの(文末に矢野栄二教授らの協力が明記されていもの)の2種類がある。

・プロジェクトによって1992年から1995年までの間に作成された草稿は、いずれも春日斉名誉教授が同年発表した論文と内容面で相似性が非常に高い。

・春日斉名誉教授の論文は郵便局、自治体、JRなどを被告とする分煙請求訴訟における、受動喫煙の害を否定する根拠として利用されている。

1995年 Leeと矢野栄二教授らは「受動喫煙が肺癌の原因になるという証拠は無い」と結論付ける論文を発表。同年、平山雄博士は病死。

平山雄博士が病死した翌年の1996年、春日斉名誉教授は「平山研究論文は信用に値しない」との論文を発表する。

1998年 WHOは「受動喫煙は肺癌の原因である。彼らの嘘を許すな!」と発表。

2000年 権威ある医学誌The Lancet(8 April 2000)に「タバコ産業はIARCの受動喫煙研究を中傷している」という報告が掲載された。

2000年8月2日 、世界保健機関(WHO)の専門家委員会は「米国のフィリップ・モリスや日本たばこ産業(JT)など大手たばこ会社が豊富な資金力を利用し、WHOなどさまざまな国連機関の喫煙規制対策に対して組織的な妨害工作を行っている」とのコメントを発表。

2000年 WHOのBulletin誌に平山博士の研究論文を賞賛する記事-「約20年前に発表された平山博士のパイオニア的な受動喫煙と肺がんの関係に関する研究は時の試練に耐えて持ちこたえている」が掲載される。

2002年12月、タバコ産業による受動喫煙の害を隠すプロジェクトを非難する記事が、英国の医学誌BMJ誌(2002;325:1413-1416(14 December))、インディペンダント紙、反タバコ団体ASHや Tobacco Free KidsのHP等に掲載。このプロジェクトには2人の日本人(矢野栄二教授、香川順教授)が関与していたことが明らかにされた。

出典 渡辺文学 受動喫煙の害を隠すプロジェクト中止の申入れ 「別紙」《参考資料》
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