能勢謙三の鹿児島まち案内日記

2231 貴重な「現物史跡」

コロナ、コロナで、イヤな空気が世間を覆っています。で、話題をガラッと変えます。

鹿児島を象徴する代表格は「桜島」ですが、私は「石」も加えていいのではないかと思います。鶴丸城の石垣、仙巖園や玉里別邸や福昌寺の石塀、そして鹿児島本港の防波堤や付近の石造倉庫などを見ると、「石」の存在感を感じます。何度かの戦火や破壊で街に歴史を感じさせる建物が少ない中で、古色蒼然とした石は、鹿児島にとって貴重な遺産と言っていいのではないでしょうか。
本港新町

住吉町





永吉1丁目。旧鹿児島刑務所正門

ところが、その貴重な石が撤去されたり、新しい石に取り換えられたりするケースが目につくようになりました。
住吉町。店舗改築工事に伴い、歩道に沿った店舗部分の石積みだけが、従来と異なる石に変わった

店舗(左)横を奥へ延びる路地沿いにあった石積みの一部は撤去された

石は、できれば古いものを残し、取り換える際もできるだけ従来と同じ材質の石を使いたいものです。
春日町。県民教育文化研究所敷地の角の石塀も異なる石に取り換えられている

右側が従来の石塀。左側は新しい石積み

城山町。私学校跡の石塀。西南戦争の銃弾跡が残る石塀(右側)の左側には、異なる材質の新しい石積みが

銃弾跡が残る石塀。「〇〇跡」と書かれた記念碑だけが目立つ史跡の中でも、とても貴重な「現物史跡」だ

鹿児島の古い石をもっと大切にしたい、と思います。石橋記念公園なる公園に移設された甲突川の石橋群が、いま現地にあれば、と悔やまれます。

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