臍曲がりの独り言

行動記録と私見

佐藤優・国家の罠

2005年08月17日 | 書籍紹介・評
7月12日の当ブログで取り上げました「原田武夫著・北朝鮮外交の真実」で記載しておきました掲題の本が一ヶ月近くかかって漸く先日図書館から入手しやっと読了しました。
この2冊の本は同じような論旨の本かと思っておりましたが全く違ってます。題名の「国家の罠」という意味が読み終わって判ります。
一言で言えば著者の一年半にわたる獄中記で、この著者が逮捕される起こりが「時代のけじめをつけるに必要な国策調査だ」と言うことで、3年前の有名な田中真紀子と鈴木宗男との争いに端を発した鈴木宗男の告発に必要な事実の発掘のための著者の逮捕と言うことがそもそもの始まりのようです。
今年の2月第一審判決(即日控訴)に至るまでの、検事と著者のやりとりの詳細が書かれてます。
一昔前なら所謂「お目こぼし」の範囲になるような賄賂も最近はハードルが下がってきて、特に政治家に対する国策調査の適用基準が変わってきて、辻本清美、中村喜四郎、山本譲司、村上正邦、中尾栄一等々がこれに該当するとか。
この本を読む限り佐藤優氏は鈴木宗男氏と一緒になって対ロシヤ政策に国益優先の姿勢で努力したのであって、マスコミに面白可笑しく報道されたような事実はなく、彼は真に宗男氏を今でも尊敬してると陳べてます。
著者は所謂ノンキャリアに属する専門官で、多方面にネットワークを作っていて非常に貴重な外交官のようであり、語学も文筆も達者で、同志社大学大学院神学研究科修了という変わった学歴の持ち主で、ロシヤの大学や東大教養学部の講師なども勤めているという人物です。
時代のけじめをつけるに必要な国策調査と言う発端が何処から生じるのかが、担当検事も判らないというのが私には不思議でならないし、拘置所内で行われてるやりとりは、一般社会の表側では知ることがありませんので興味深く読みました。
何年か後にこの控訴の結果が出たとき、この本に書かれた事柄の真否が明らかになるでしょう。