傍観者の独り言

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日経新聞社説:郵政改革の後退がもたらす損失に目を・・・凍結、見直しが先決

2009-08-29 04:53:40 | 郵政民営化

日経新聞の8月26日付け社説「郵政改革の後退がもたらす損失に目を」で、新政権で郵政改革の後退は、日本経済の体質強化を難しくすると論じています。
現行の郵政民営化を是認した論調ですが、果たして、現行路線で良いのか疑問ですね。
当方は、郵政改革には賛成であるが、現行の郵政民営化を、素直に是認できませんね。

日経新聞社説郵政改革の後退がもたらす損失に目を」を転載すると、

”「4年前の衆院選で国民の支持を得た郵政民営化が、今回の選挙後に大きく軌道修正される可能性が出ている。改革が後退し巨大な「官製金融」が温存されると、少子高齢化やグローバル競争の試練を抱える日本経済の体質を強くするのは一段と難しくなる。

小泉純一郎元首相は郵政民営化に争点を絞った前回の衆院選で大勝。それを受けて2007年10月に持ち株会社の日本郵政に郵便事業会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険がぶら下がる4分社体制で民営郵政が始動した。ところが今回の衆院選に向け与野党は程度の差こそあれ、ともに従来路線の修正をうたう。

 政権交代を狙う民主党はマニフェスト(政権公約)で「郵政事業の抜本的見直し」を掲げた。10年度にも始まるゆうちょ銀、かんぽ生命の株式上場や、両社と日本郵政の株式売却を凍結し、郵便局での「郵便、貯金、保険の一体的なサービスを保障する」という。

 郵便局の廃止や郵便配達のサービス低下に対する批判を受けた議論だが、反民営化を掲げる国民新党との選挙協力による郵政票の獲得や、社民党も加えた3党連立を優先したのは明らかだ。民主党内では郵政民営化に積極的な意見を持つ勢力もおり同党幹部は「国営や公社には戻さない」というが、見直し後の事業形態は明確にしていない。

 民主党中心の政権になり金融株の売却を凍結、17年9月末までに終える計画だった市中売却を遅らせれば政府の関与がそれだけ長く残る。「資金の流れを官から民へ変える」という郵政改革の根幹を揺るがす。

 自民党も4分社維持を明記しながら「郵便、貯金、保険の一体的なサービスを確保する」と路線の修正をにじませる。佐藤勉総務相が4分社化の見直しに触れるなど郵政票の離反を意識した動きもある。自民の民営化の筋書きも極めて不鮮明だ。

 着実な郵政の民営化は経済の持続的な成長に不可欠である。政府の信用を後ろ盾に巨額の資金を集め、非効率な事業や公共投資などにつぎ込んだ官製金融の限界は明らかだ。地方の利用者への目配りは必要だが、郵政事業を効率化しなければ国民全体が負担するコストは減らない。

 巨額の郵貯、簡保資金の大半が国債に回る現状も徐々に変えなければ日本経済の構造は改まらない。自民民主とも郵政改革の後退が将来の日本にとって大きな損失になるということを忘れないでほしい
。 」”

とあるが、日経新聞は、現行の郵政民営化(日本郵政)を促進せよと言う主張なのでしょうね。

現行の郵政改革は、「官から民へ」でなく、「官が民で」であり、官業を民間に移管できるのを、自ら、民業化し、特定グループによる金融ビジネスを現出されただけであり、なんら郵政事業の持っていた社会インフラを活用した高齢少子化社会における新たな社会サービスを創出していないことに、当方は反対の意見者です。

日経新聞の社説の「政府の信用を後ろ盾に巨額の資金を集め、非効率な事業や公共投資などにつぎ込んだ官製金融の限界は明らかだ。地方の利用者への目配りは必要だが、郵政事業を効率化しなければ国民全体が負担するコストは減らない。」と記述があるが、「巨額の資金を集め、非効率な事業や公共投資などにつぎ込んだ官製金融の限界は明らかだ」は、橋本財投改革で改善されており、それをより鋭意に民間活用すれば良いだけで、自ら金融会社で運営する必然性があるのかどうかですね。

地方の利用者への目配りは必要だが」は、地方の利用者の利便性よりは、金融分野を優先せよと聞こえてきますね。
金融至上主義で、金融・経済危機になり、世界が不安定化し、新たな世界観が求められているのに、日経新聞の社説は、小泉・竹中改革の賞賛の旧態・守旧ですね。

当方は、現行の郵政民営化で、問題視しているのは、本ブログ「郵政問題:日本郵政問題は「思考停止社会」そのもの(2)」で、

”「現行の郵政民営化は、経済学からの観点での郵政改革であり、経済・経営からの観点での4分社化であり、「人間の営みという社会」が考慮されていない郵政改革という事で批判者です。
「人間の営みという社会」を考慮した郵政改革を切望する当方が関心をもった評論に、葉上太郎氏(地方自治ジャーナリスト)が文藝春秋(2009.01)に寄稿した”「民営化1年 郵便局が崩壊する」”があります
。」”

と書き、葉上太郎氏

民営化とは、絆や人情といったウエットな部分を削ぎ落とし、 ドライな営業を優先させることに他ならない。 企業の行動論理は「営利」である。」
「私は、田舎と呼ばれる地域の郵政には、第四事業があったと 考えている。
 郵便・貯金・保険の三事業に加え、この三事業を手段にしたセーフティネットの構築だ。」


意見を紹介し、葉上太郎氏の提起した『私は、田舎と呼ばれる地域の郵政には、第四事業があったと考えている。 郵便・貯金・保険の三事業に加え、この三事業を手段にしたセーフティネットの構築だ』に同感の思いと書きました。

竹中平蔵氏グループによる郵政民営化論は、特定グループの金融至上主義の日本郵政を現出しただけで、社会という要素が欠落した郵政改革に過ぎないですね。

ブログ「ゲンダイ的考察日記」様が「日本郵政西川社長~選挙戦のスキにやりたい放題」で、西川社長の個人的な野望・野心を糾弾していますが、日本郵政は、事業計画を凍結、経営陣を刷新しなければ、国民の金融資産を弄ばれますね。
まずは、西川社長の退陣が先決です。



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