(4cm長の針に串刺しされた糞、この状態で出てきた)
目を離した隙に針を飲み込んだワンちゃん。
飼い主さんからの電話で、急遽駆けつけると、興奮したA君はキャリーに逃げ込んで出てこない。
見ると口元にはキラリと光る縫い針がぶら下がり、糸は口の中。
針を掴みさえすれば外せるのだが、肝心のA君は飼い主さんをも噛むワガママパピヨン犬。
うかつに口元に手が伸ばせない。
ケージにおびき入れ暴れまわるのを取り押さえたが、時すでに遅し。
口の横にあったはずの針が見当たらなくなった。周囲を探すも針は落ちていない。
しまったー 暴れる最中に飲み込んだか!
病院に連れ帰りX線で見ると、案の定、胃の真ん中に針が鎮座していた。
即切開というところだが、A君は麻酔に弱く、X線検査の際にも心拍数20以下に落ち込んだ。
胃の切開は負担が大きいので、針が排出されるのを待つことにした。
2日目、針は胃の後方に移動し、心臓に刺さる心配はなさそうだ。
3日目 針の動きがない。食欲は旺盛で、元気も問題なく経過。
4日目には再び胃の中央に戻り、胃壁の穿孔はなかったが、腸への移動が難しい。
2日くらいで出るという事例もあるが、今回は思うようには動いてくれない。
入院のストレスが大きいため一旦家に帰って様子を見てもらう。
とは言え、飼い主さんは不安で連れ帰るのをためらわれたが、異変があれば緊急手術をするということで了解していただいた。
5日、6日と経過し、我慢の限界かと思われ、手術の覚悟を決めかけた7日目。
夕方、飼い主さんからの電話。
「今出ました!! 針が黒くなっていますが糞の両端から針のようなものが見えます」
待つのも疲れました。
A君は以前から色んなものを飲み込むクセがあり、1か月前も掃除機のゴミをあせって、糞に混じって綿埃が出てきたばかり。
針を飲むなど普通想像できないが、糸が付いていて、さらに今回のように慌てさせるとワンちゃんは針でも簡単に飲み込んでしまう。
今回は緊急手術には至らなかったが、針にはくれぐれもご注意ください。