3月17日
「本を読む」ことは「旅に出る」こと.
いつ, どんなタイミングで出会うか, それが案外ポイントだったりする.
図書館の新着図書コーナーに飾ってあった, 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』.
少しそわそわする, 透明な文章.
とても危ういバランス感覚, 違うグループへのフォビア, そしていつも何かにイライラしている感じ.
そこには「あの頃は…」と懐かしく振り返られるだけでは決してない, そのまま現在に通じている感覚が何かしら描かれていたと思う.
ところで, 同じ時間でもそれは当然, 誰の視線から語るかによって全然違うものとなる.
映画だったら同時進行させるところを, つまり横断的に表現するところを, それぞれの人物に対しての時間の流れを縦断的に表現できるんだから, 小説は面白い.
素直な描写がたくさん散りばめられている作品です(でも, 一人称による情景や人物の描写って難しいなぁ, と改めて思ったりもしました. 多すぎたらそれはそれでなんだかお腹いっぱい).
この間卒業式を終えたばかりで, そして今はもう新年度の準備をしているこの時期に, なんだかす~っと重なってしまったお話でした.
(ド)