芦屋が受付に行って、1ヶ月。
もうそら職場環境がすっきりして、毎日心が晴れやか。
あの変な電話口調を聞かなくて済むし、
髪なでなでも見なくて済むし、
理不尽なヒスも見なくて済む。
やったー・・と思っていたら、
奴の仕事の面倒を見ることになった。
・・でも、これはわしの勝手な勘違いということが後にわかるのだが。
わしは小口現金をやっている。
まあ、歓送迎会の会費集めなんて、傍から見たら、
下っ端のやる仕事なんだそうだ。
だから忙しそうな13号さんではなく、
芦屋にやらせたのだ、と。
しかしだな、会費集めるのはいいとしても、
それを断りもなく勝手に金庫に入れ、
わざわざわしが「このお金は私のほうで預かるんですか?」と聞きにいく始末。
「うん!まだ集まってないからちょっと金庫に入れさせてもらったの!」
だってよ。
おい。
お前もう経理でもなんでもないんだから、
金庫に触るなよ。
と、やんわりと言う。
そういうことが何日か続いて、その翌日。
その芦屋の集めていたお金がなくなっている。
胃が縮まった。
まさか、新入社員が?・・いやいやありえない。
なんなん、誰なん?とパニック。
・・・何のことはない。
いつの間にか芦屋が金庫に近づき、立替払いしていたY次長に、
勝手に支払ってたってわけだ。
かっちーんときて、
Y次長の部屋に突入し、なぜ奴に集金させていたのかを聞く。
「だって、13号さん忙しいでしょ?だからあいつ暇やから、やらせてん・・」
という言葉をさえぎり、
「忙しくありませんから、私にやらせてください。失礼します。」
と立ち去った。
ガキ。
しかし、あの時はほんまに腹が立った。
受付に新しいパートさんと芦屋が座っている。
パートさんのほうが、もちろん忙しい。
その横で、ぼーっとしているだけの芦屋を見て腹が立って、
伝票コピーと、私宛の郵便物開封をやらせることにした。
月末月初に集中して500通ほど請求書がくるからだ。
それ開封するのに毎日40分くらいかかるから、
やらせた。
んで、得意先に請求する伝票を手元に置く為に、
コピーをとらせることにした。
これも月末。
月末を支払いサイトにしているメーカーが300あまり。
その振込み作業に追い込まれてバッタバタしている最中、
「13号さーん。メール便の料金を教えて欲しいんだけどー。
メール便って大きさで料金違うの?」
・・・おい。
この状況見てわからんか?
確かに5/31という日は、振込み手続きが2,3日前に終わってるから、
それから比べれば忙しさの度合いは、少しマシだが、
机の上はごっちゃごちゃ。
問合せの電話鳴りっぱなし。
銀行からは振込先の口座番号が違う、
取引先からは支払案内書がまだ送られてこない、
この相殺されている値引の内容は何なんだ、
営業所に問い合わせたり、なんだかんだ言ってこの日も忙しいのだ。
(結局口座番号の誤りは、取引先の記入ミスだったし。キー!!!)
それくらい経理やってたんだからわかるだろうと、
思ったわしが馬鹿。
メール便の料金を今お前に教える暇がいつあるのだ。
しかし、それ以上の会話を長引かせたくないから、
むっちゃイラついた口調で、
「300g160円、600g210円、1,000g310円ですわ」、
と吐き捨てた。
「うん、わかったー」と言い立ち去る。
そこで15時の休憩を知らせるチャイム。
15分の休憩後、休憩室から出てきたわしに、
つかつかつかっとつめより、
「13号さん、さっきの態度何なん?!
13号さんって、私に対する口調がすごくキツイんだけど!
そういう態度とられたら、私ものすごく辛いんだけど!」
・・なんなんだこいつ。
なんかもう、忙しいのとこんなアホ相手にしている馬鹿馬鹿しさと、
生理中の為の情緒不安定で泣きそうになる。
が、こんなことで時間食ってる場合ではないので、
「改めます」
と吐き捨てて、その場を去る。
もうハラワタ煮えくり返りそうになって、すぐに経理Pさんにペタ。
は~・・
簿記の学校終了後、めずらしく母が起きていたので、
今日の出来事、マザコン報告。
したら、ちょっと待て、と。
お前は芦屋の上司なん?芦屋の仕事の面倒を見る立場なのか?と。
・・・そうやん。わし、芦屋の上司でも何でもないやん。
ただ単に、てきぱきと仕事をしてくれるパートさんの横で、
ぼーっとしているのが許せなくて、
わしの独断で仕事与えてただけやん。
あいつが暇でどうしようもなくなろうがなんだろうが、
わしには関係ないやん。
と、初歩的なことに気がつき、
翌朝早速言った。
あいつと言い争う時間なんて作りたくないので、やんわりと。
朝礼終わってすぐ。
「芦屋さん、伝票コピーするのあと、どれくらいあります?」
と聞き、伝票すべて出させる。
そもそもわしがこの作業やったら2時間半で終わるところ、
言いつけた日には動かず、
翌日の午後からやっとコピーしだし、
んでもってその日も終わらずに、まだ大量に残っているのだった。
で、
「決算で忙しいと思って芦屋さんにお願いしていたんですけど、
大して忙しくなくって、私も余力が全然あるので、
今日からはしなくていいですわ。
あと、郵便物の開封も私が今まで通りやりますので、
机の上に置いといて下さい。」
と前の晩練習したセリフを早口で吐き捨てた。
「郵便物の開封・・」のくだりで、むちゃくちゃ顔ゆがめて、
「それくらいできる・・」
と嫌そうに言うのをさえぎり、
「いいえ。わたしがやりますから」
ときっぱり吐き捨てて、30秒くらいの会話で済んだ。
あーやれやれ。
結局自分のでしゃばりから勘違いして、
自分で自分を不愉快なストレスに縛っていたんじゃないか。
ふ~開放。
かーばかーば。