映画監督のテオ・アンゲロプロスがギリシャで映画撮影中に交通事故で亡くなられたそうだ。
アメリカ映画を観て育った私はどうしてもテンポの早いシーンの連続に慣れてしまっていた。
その後ピーター・グリーナウェイにはまりフランス映画なども好んで観るようになってから初めてアンゲロプロスの「ユリシースの瞳」のビデオを借りた。
もう20年近く前の話。
うつらうつら眠りそうになりながら3日かけて観終えたが、えらく感動したものだ。
こう言っては怒られてしまうかもしれないけれど、だらだらだらだら時間をかけて観て初めて伝わる事もある。
今となってはストーリーもほとんど忘れてしまったけれど、ハーヴェイ・カイテルの独り語りの長回しの背景なんて、ほんと何処にでもあるような薄汚れた景色で「何でまた?」と思ったものだ。
だからこそあの巨大なレーニンの像が河を運ばれて行く強烈なシーンが今でも忘れずに目に浮かぶのか。
薄明かりを持った人々が川岸からそれを静かに眺めていたのだが、あの空気は何であったのだろうか。
過ぎ去った時間に対する鎮魂とでも言うべきか、映画というメディアの持つ力、奥の深さを教えてもらった監督でありました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
合掌
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