石原延啓 ブログ

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島袋道浩展&平川典俊アーティストトーク

2009-03-16 13:02:05 | Weblog


3月14日はとても楽しい一日でした。
午後一でワタリウムの島袋道浩展を観に行く。島袋さんはちょっとした知り合いで、かつて一緒に花火観に行ったりボーリングしに行ったり、自分が所有していたカヌーを提供して作品を作ってもらったりしてもらったことがある。展覧会やっているのをうっかり失念していて最終日前に駆け込んだ次第。いきなりドイツ人の女の子が歌う「夜霧よ今夜もありがとう」にやられ、ゴルフ練習カーゴで昔一緒にパターゴルフをやったことを思い出しながら打ちっぱなしをして腰を痛め、大好きにな作品「箱に生まれて」で相変わらず苦笑させられた。続いてシマブク自身のフィギュアの凧上げの作品に脱力させられ、蛸ツボで蛸を捕る作品で、壺から蛸が出てきて狂喜する様子に大爆笑した。こん展覧会目玉のオリジナル作品、お茶を飲みながら屋上から象のお尻と青山の風景を観る作品は雨模様で肌寒いにもかかわらず気持ち良かった~。それと並んでFish-and-chipsという作品が自分の中ではベストだったかな。これはリバプールの川だか海だかの中で魚とポテトが出会う様子を描いたビデオ作品なのだが、とても叙情的でなんだか妙に感動してしまった。彼の作品は人を喰ったユーモアに溢れていて、いつもいつも妙な感覚を私の中に残していく。それは全く予期せぬところから世界を覗いている視点への新鮮な驚きであり、本質的な自由を探す旅を続けている彼に対する私の嫉妬心なのかもしれない。
その後、TWS青山に移動して平川典俊さんのレクチャーを聴く。これまた大変興味深いものだった。相変わらずだが飄々と世界の構造のからくりについて暴いていく。いつもながら「本当かよ?」と思うのだが、プレゼンテーションの見事さで話に引き込まれてしまう。人間が本来持っている自由意志を開示していこう、それを守ろうとするアーティストの立場は、拝金主義構造を作って人々を操作しようとする脈々と続いてきた流れに対して決して屈してはならない。平川さんが語る世界中で起った数々の紛争の原因となった陰謀の真偽はともかくとして、人間は何からも抑圧されるべきではなく真に自由であるという姿勢は平川さんのアートそのものであり、大いに感ずるところがある。しかしやっかいなのはお金や力によって全てを操作する権力側の立場に立ちたいというのもまた人間が本来持ち合わせている欲望だということなんだよね。長いものに巻かれるのはある意味楽だし、そこで妥協せずに戦い続けるアーティストの仕事ってのはかなりハードな訳です。いずれにせよrichがgoodでpoorがbadという風潮に乗りたくはないよなあと思う。
写真は島袋氏のFish-and-chipsの水中で泳ぐポテトと平川さんの作品で浜岡原発付近に住む夫婦のポートレイト。