本の衝動買いはしないことに決めていたのだが、くまざわ書店で立ち読みして、この本だけはつい買ってしまった。
ANAのカリスマキャビンアテンダント大宅邦子(おおやくにこ)氏の、はじめての著書である(サンマーク出版)。
こんなCAのいる飛行機ならぜひ乗ってみたい、この本を読むとそんな気持ちになる。
CA特有の派手さを感じさせない、いい意味で嫌味のない「スチュワーデス」だったんだろうなぁと想像する。
後で知ったのだが、娘も何回か同乗して飛んだことがあるようだ。
ほんとうに頼れる大先輩だった、と。
この本のいたるところに、サービス業の本質が表されている。
他業種でも、いや、人としての生き方の手本であろう。
65歳定年まで45年間現役で飛び続けたANAのレジェンドは、最後にこう記している。
「あとに続く人に何を残し、何をゆずっていくのか。
経験を重ねたなら、誰かのことをさりげなく支えられる人でありたいものです。」
先斗町四条を少し上がった東側(鴨川側)に、開陽亭という洋食屋さんがある。
ここの洋食弁当が好きで、気分転換したい時など、たまに寄ることがある。
一階の調理室側の上壁に、有名人の色紙が並んで掛けてある。
大好きな俳優さんだった大滝秀治のもある。
もう駄目だ と 思ったり
まだやれる と 思ったり
平成23年 10月 1日
これを書いた8年前は、大滝秀治さん亡くなる前年で、自分より20歳年上だから、86歳に書かれた色紙だ。
まだひとまわり若いのだが、この色紙の気分がすごくわかる。
ここひと月かけて、小さな機械の設計を仕上げた。
出来栄えにはほぼ満足しているものの、かかった時間は最盛期の3倍かなぁ。
資料のあり場所を探すだけで、ぐったり疲れている。
でも、まだやれる、と、思いたい。
盆連休の最終日、娘夫婦が私たちを奈良へ連れて行ってくれた。
車の運転をやめた私たちの可動域を少しでも広げてやろうという、子心。
どこへ行く?と問われて、少し考えて思いついたのが、53年前に父と訪ねたことのある新薬師寺であった。
父と観光寺に行ったのは、後にも先にもあの時だけである。
新薬師寺には、私の好きな神将たちがいる。
東大寺戒壇院の四天王像と同じころの作の同じ塑像で、わが国最古の十二神将だ。
唐招提寺金堂に次いで好きな天平建築物である金堂、その高い化粧屋根裏の窓のない堂内は、薄暗さを土間と大きな鏡餅のような土壇が跳ね返す光線で、けっこう明るく感じる。
大きな瞳の薬師如来をとり囲む神将たちは、怒髪天をつく形相のなかにどこか愛嬌があり、娑婆人間の干支の守護神にふさわしい。
家内と私の干支神である「迷企羅大将」の6寸模造を、この日を忘れないために買って帰ることにした。






