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つれづれ

思いつくままに

下町ロケット、ばんざい

2015-10-29 18:15:40 | 
大企業の不祥事が相次いでいます。
東芝の不適切会計、東洋ゴム工業の免震ゴム性能偽装、そして今回、旭化成建材の杭データ改ざん。

東芝の件。
なぜ、こんな大問題になる前に まわりがどうして気づかなかったのだろう、と、素朴に疑問に思います。
監査法人がいたはずです。
それに、取引銀行が どうして見破れなかったのでしょう。
私には、問題が大きすぎて、奇怪すぎて、よくわかりません。
東芝を日本企業の代表選手、と応援してきたのに、残念でなりません。

東洋ゴム工業と旭化成建材の件については、大いに言わせていただきたい。
技術に関する、いや 技術者の魂に関する問題だからです。
町工場の技術者でも、こんな恥知らずな背信行為は、絶対にしませんよ。
いや、町工場の技術者だからこそ、こんな悪質な行為は絶対にしない。
技術者の魂が、そんな行為を許すわけがない。

この はらだたしい気持ちが、『下町ロケット』の佃航平(阿部寛)の言葉で、かなり癒されました。
いま放映されている、TBS系テレビドラマです。
フィクションですが、佃航平という人物が自分を代弁してくれているようで、うれしいのです。


次のセリフは、池井戸潤の原作にない シビれる場面なので、冗長になりますが、聞き取り記載いたします。

(佃航平が経営する佃製作所の特許「ステラエンジン」を巡って ナカシマ工業と争っている裁判法廷で、原告の佃航平が証人喚問を受ける場面)
[中川弁護士(ナカシマ工業の顧問弁護士)(池畑慎之介(ピーター))]
問題は、どっちが先に特許を取得したか、なんですよ。
あなた、経営者だったらそれくらいのこと…そうか、あなたは元々 技術者でしたね。
7年前、あなたが開発したエンジンのせいで、ロケットが墜落したとか…
ほんとですか。
[神谷弁護士(佃製作所の新任弁護士)(恵俊彰)]
意義あり。
ただいまの発言は、本件と一切関係なく、証人を侮辱する質問です。
[中川弁護士]
佃製作所の技術開発力を推しはかる上で、極めて重要な事実です。
はたして佃製作所に、それほど優れた特許を得る力があるのでしょうかぁ?
[裁判長(上杉祥三)]
異議を却下します。
[神谷弁護士]
しかし、裁判長…
[佃航平]
かまいませんよ 先生、ほんとのことですから。
中川弁護士、あなたが言うように、わたしは かって、ロケットエンジンの開発に携わり、失敗しました。
でもね、あの失敗があるから、今がある。
どんな素晴らしい発明でも、たった一つの成功の裏に、何百 何千という失敗がある。
その積み上げられた失敗を、技術者たちの報われなかった努力を、バカにすることは許さん。
[中川弁護士]
失敗は失敗でしょう。
それらしいことを言って、技術者としての能力の低さを正当化するのは やめていただきたい。
[佃航平]
誰が正当化した!
あんたみたいな偉そうな弁護士さんはどうか知らないが、技術者はみんな、自分の無力さを知ってるよ。
毎日、壁にぶつかってばかりだからな。
だからこそ、必死で腕を磨いて、徹夜で開発に没頭して、次こそは と信じて、ものを作り続けてんだ。
なんでだか、分かるか?
[中川弁護士]
…?
[佃航平]
おもしろいんだよ。
きのう できなかったことが、きょう できるようになる。
きのう わからなかったことが、きょう わかるようになる。
それを、自分の技術でやれたら、最高だ!
(勝手な発言は控えていただきたい、という中川弁護士の発言に対し、裁判長は、いや もう少し聴いてみたい、本特許侵害訴訟において 佃製作所の技術に対する考え方を知ることは 決して無駄だとは思いません、そう述べて、証人は続けてください、と佃航平を促す)
(神谷弁護士の方をみて、その頷きを確認してから、佃航平は どう続けようかと、一瞬 迷うが、娘の利菜(土屋太鳳)が今朝アイロンをかけてくれたカッターシャツの衿に触れながら、話し出す。アイロンの技術の進歩を 一通り述べたあと、彼は、アイロンという技術のおかげで、けさ娘の優しさに気づくことができた、これこそが 技術の力だと思う、と。技術は人を支える、人間社会を豊かにする、人を幸せにする。これこそが、技術のほんとうの力じゃないか、と)
(中川弁護士が 佃の発言をあざ笑うような言葉を浴びせたのに対し、裁判長は 中川弁護士の発言を逆に慎むよう注意する。佃航平が続ける)
[佃航平]
中川さん、あなた さっき言いましたよね、大事なのは どっちが最初に完璧な特許をとったか。
でもね、私が きょう、娘の優しさに喜びを感じたのは、特許のおかげなんかじゃない。
この服のシワを もっと綺麗に もっと簡単に、どうしたら伸ばせるか。
ただ それだけを思って、アイロンを作り上げた技術者の思いが、あったからだ。
そういう技術者を守るために、特許はあるべきなんだ。
それに振り回されて、金のことしか考えられなくなったら、そこに技術の進歩はありません。
そんな特許なんか、ない方がマシだ。
特許だの買収などのことしか頭にない あなたたちに、ウチより あの技術を先に完成させることなど、絶対に ゼッタイに出来るわけがない。
特許侵害をしたのは、ウチじゃない、ナカシマの方だ!
(熱くなりすぎた自分に気づいた佃は、少し間をおいて、裁判長の方に向き直り、こう断言する)
[佃航平]
裁判長、これだけは言っておきます。
たとえ この裁判に負けたとしても、ナカシマに特許を奪われたとしても、屁でもありません。
培ってきた技術力だけは、決して奪えない。
正義は 終わりにあり、だ!


下町ロケット、バンサイです。

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禁じられた遊び

2015-10-09 11:06:37 | 
小原孝さんのピアノで『禁じられた遊び』を聴いた。
ギターでの演奏より、もっと切なく もっと悲しい。
胸の奥の奥が ぎゅーっと締め付けられるように、底知れぬ寂しさが こみ上げてきた。

幼い日に見た映画『禁じられた遊び』のシーンが、断片的に浮かぶ。
少年が 怒りをぶちまけるように 、十字架を次つぎと川へ投げ込んでいる。
少年の名を叫びながら、修道女から逃げるように、人ごみの中へ消えてゆく少女の姿・・・

この底知れぬ寂しさは、いったい なにから来ているのだろうか。
それを確かめたくて、500円のDVDを買った。
映画『禁じられた遊び』を、60余年振りに観る。

戦争の最大の犠牲者、それは子どもたち。
これは、弱きものの叫び、反戦映画だ。
むごたらしいシーンは、ほとんどない。
幼い子どもたちの‘お墓ごっこ’を通して、大人たちの勝手な戦争の理不尽さを、思い知らされる。


京都での小原孝ピアノリサイタルは、毎年 いま時分に催される。
小原さんの父上は、ギターの先生だった。
ギターの音色で育った小原孝ならこその、ピアノでのギター曲演奏。

クラシック音楽が好きなのに、咳払いひとつするのも憚られるクラシックコンサートは、もう、わたしには耐えられない。
小原孝のピアノは、クラシックのエッセンスを 噛み砕いて、聴くものにやさしく届けてくれる。
クラシックにとどまらず、しっかりしたクラシック音楽の基礎の上に、ジャズ、ポップス、童謡、演歌など なんでも、届けてくれる。
ピアノひとつで、これほどまで 聴くものの心を揺さぶるアーティストを、他に知らない。

ふっと、教養部から学部へ上がるガイダンスで語ってくれた、K助教授の言葉が思い出される。
工学は、理学をしっかり学んで それを誰にでも判る言葉で伝えるスキルを学ぶこと、これが 君たち工学部学生のやるべきことだと 心得なさい、と。
小原さんは、音楽というジャンルで このことを実践されているのだなぁ、と。
  

このたびの安保関連法案の内容を、もっと詳しく学ばなければならないのかも知れない。
だが、学ぶ価値を みい出せない。
クラシックコンサートに耐えられないのと同様、その忍耐力がない。

ただ ひとつ、確信がある。
‘禁じられた遊び’の底知れない悲しみを、子どもたちに あたえてはならない。
これを犯す恐れのあるものは、断じて許せない。

安倍総理の百万陀羅の「絶対に…」発言。
この言葉より、街頭インタビューに答える 赤ちゃんを抱いた若いお母さんの感覚の方を、わたしは信じる。
「この子が将来 兵隊さんにとられるような国になって欲しくない」と。


リサイタル会場で買い求めた 小原孝のニューアルバム「アルハンブラの思い出」を、浅い眠りから覚めて 眠れぬままに聴いている。
『禁じられた遊び』を、なんどもなんども 聴いている。
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おもしろうて、やがてかなしき・・・

2015-10-06 10:43:48 | 
時事漫画家の山田紳さんが、マイナンバー制度を風刺して描いた漫画「鵜のごとき心地なり マイナンバー」(朝日新聞10月2日朝刊)は、拍手モンでした。
この漫画で「鵜のごとき心地(苦シイ)」なのは たくさんの手縄の先につながれた老若男女、と解したのですが、「鵜匠のごとき心地(エヘッヘッ)」なのは 手縄を束ね持って一億総縛りと嘯く安倍総理、との見方もできそうです。
でも 後者の解釈は、鵜匠の気持ちを冒涜しています。


先日、3年前にできた『長良川うかいミュージアム』に立ち寄りました。
おしゃれに展示されたパネルに、6人の鵜匠の代表、山下純司氏の一文が書かれていました。
   鵜のこころ 鵜匠のこころ
   今日語らい 明日又語らう
   このえにし 鵜と鵜匠の一生なり

鵜飼いの映像とともに聞こえる山下氏の肉声は、こう語りかけます。
   鵜と人は 言葉こそ通じないが、手縄(たなわ)を通じて 鵜の内臓と自分の内臓が触れ合う。
   それが 心と心のふれあいなんだ、と理解したんやわ・・・


長良川の川面がすっかり暗くなるころ、鵜飼いはクライマックスを迎えます。
「総がらみ」のはじまりです。
6艘の鵜舟が川幅いっぱいに広がり、同じ方向に下りながらの鵜飼い漁。
このときばかりは、川べりの宿の明かりは、いっせいに消されるのです。

「ほうぅほうぅ」と、鵜匠の声。
「ドンドンドン」と、船頭が棹や櫂で船べりを叩く音。
鵜と鵜匠が心をひとつにして、手縄で通わせる一所懸命さ。


今月15日で、ことしの長良川鵜飼いは終わります。
漆黒の川面に紅くゆれる篝火の影が、物悲しくよみがえってきます。

「ほうぅほうぅ」と「ドンドンドン」の掛け合いとともに、いつまでも心に留めおきたい情景です。
芭蕉の句が、ぴったりと染み入ります。

   おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな
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志津香の釜めし

2015-10-01 17:25:33 | 

『白鳳』展が、シルバー連休最終日9月23日まで 奈良国立博物館で開かれていた。
仏像は御堂で拝顔するもの と、少々かたくなにこだわっていたので、夏の暑さを言い訳に、見過ごしていた。
最終日のぎりぎりになって、やっぱりだいすきな白鳳仏なのだから それに深大寺の釈迦如来倚像も見られるし と、久々に奈良を訪ねた。


山田寺の仏頭に接して その凛々しさにときめいて以来、大の白鳳仏ファンとなった。
なかでも、薬師寺東院堂の本尊・聖観世音菩薩立像に、言葉は適切とは思われないが、恋い焦がれた。
薄暗い東院堂仏壇上の厨子のなかに 近世の補作の光背に包まれておわす 聖観音の前に、いくど立ち尽くしたことか。
横顔をみたい、後ろ姿もながめたい、そんな不信心な願望を抱いたものだ。

このたびの白鳳展で、それが叶った。
適切な明るさのもと、360度の方向から、至近距離で、かの聖観世音菩薩像に接することができたのである。
仏像は御堂で などというこだわりは、はっきりとこの目で捉えた この立像の美しさに、吹っ飛んだ。

賢そうな横顔、ことに右の横顔が素敵である。
仏像は本来ユニセックスなのであろうが、お顔は男性、体は女性、だと感じる。
以前から不思議だった 複雑な天衣(てんね)の動きに、像の後ろ姿をみて 納得できた。
天衣はうしろで、ショールのように すっぽり背中を包んでいたのだ。

山田寺の仏頭は見られなかったものの、薬師寺金堂本尊薬師三尊像の右脇侍・月光菩薩像をはじめ、法隆寺夢殿の夢違(ゆめたがえ)観音像、鶴林寺のアイタタ観音像、深大寺の釈迦如来倚像など、このたびの展は 白鳳仏ファンにとって垂涎の陳列であった。

時代を時代で喩えるなど ナンセンスではあるが、白鳳期という時代は、西洋文化の受容を短期間で成し遂げてゆく明治維新後の日本に、似ているように思えてならない。
朝鮮半島や中国の文化に圧倒された飛鳥期から ようやく先進国に追いつけそうな予感を感じさせるエネルギーを、白鳳期の仏像に感じるのだ。
キリリとした切れ長の目、眉から鼻に到る力強い筋、ひとことで表現するなら、白鳳仏に漂う気配は、‘希望’であろう。


大満足の奈良国立博物館を出て、空腹を覚えた。

二条大路を隔てて博物館前に、いつも長い列のできている店がある。
だいぶ前に一度だけ、早めの夕飯をここでとったことがある。
釜めしが売りの『志津香』。
奈良を訪ねるたびに ここで昼飯をと思うのだが、長い列をみて諦めてきた。

どんなに近場でも、旅の楽しみの半分は、食べ物や買い物である。
だが、その大事な昼食に、いつも悩む。
旨いところは混んでいるのが常だ。
今回は、意を決して長い列に並んだ。

夏の名残の強い日差しが、日陰のない列に容赦なく降り注ぐ。
待つこと 1時間と15分。
やっとありついた釜めしの味よりも、生ビールの旨さがしみた。
客の半数近くが、中国からきた観光客かナ・・・

志津香さんの名誉のために蛇足するが、暑い中をスミマセンと 並ぶ客にかける かわいい店員さんのあしらいも、店内の雰囲気も、いい。
肝心の釜めしの味は、言うまでもなく上品。
ひと釜ひと釜じっくり直火で炊きあげた、おこげが香ばしい!

聖観音像と釜めし。
ヘンな取り合わせだが、この日のわたしには、きわめてスンナリした調和であった。

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