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つれづれ

思いつくままに

『生きとし生けるもの』

2024-05-12 17:05:19 | 

連休の最終日の夜、久々に 骨のあるテレビドラマを観た。
テレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル、『生きとし生けるもの』である。

「医者と患者 男二人のロードムービー」、北川悦吏子の脚本、妻夫木聡と渡辺謙の主演 となれば、見逃すわけにはいかない。
この思いに違わず ロードムービーとして見ごたえのあるドラマに仕上がっているばかりでなく、北川悦吏子の「死生観」に自分の老いを重ねて 様々な感情が触発された。

余命宣告を受けた「患者」の「おっさん」こと成瀬(渡辺謙)は、窓はあるが締め切った病室の白い天井ばかり見て 余命の日々を送っている。
彼は、「とっちゃん坊や先生」こと陸(妻夫木)から「死ぬまでにしたい10のこと」を書くように メモ用紙を渡されている、が 何も書けない。
「坊や先生」は たぐいまれな才能を持った外科医だったが、あることをきっかけにメスを握れなくなり 精神的に追い詰められ、外科を追われて内科医となっていた。
この白紙のメモを見て残念がる「坊や先生」に「おっさん」は、空気が淀んでいる病室に気づいて「風に吹かれたい」と言い出した。
ここから、バイクとキャンピングカーを乗り継いだ「医者と患者のロードムービー」が始まる。
二人とも、死ぬ覚悟の 旅が始まる。

どっぷり夜の闇に包まれた、バスのようなキャンプハウスの中の男、ふたり。
「坊や先生」が カバンから二本のアンプルを取り出して、「おっさん」の前のテーブルの上に置く。
一本は すぐに楽になる薬 つまり死に至る薬、もう一本は しばし楽になる薬 つまり強力な鎮痛剤、と「坊や先生」。
たぶんカモフラージュであろう「塩化カリウム」のラベルを貼った 安楽死へのアンプル注射液 これを「おっさん」は、「怖いような 憧れるような、生きるか死ぬかを選べる魔法薬」と呼んだ。

ドラマの中盤で明かされるが、このアンプルは 「坊や先生」と「おっさん」のお守りなのだ。

「生きる権利もあるなら 死ぬ権利もあるだろう。いや 生きるのは、義務か」と「おっさん」。
「おっさん」は 続ける。
「病棟の奥の部屋、自分で飯も食えず、全身 管だらけ、胃ろうで流し込んで起き上がることもできず、おしめ当てて、そこまでして 生きたいか、あれは 本人の意思なのか」
おもむろに 口を開く「坊や先生」。
「いえ そうとも・・・ 医者は 命を助けたい生き物です。でも 僕は虐待ですらと思ってます。・・・ 成瀬さんの生まれたころより 医学の進歩によって、格段に平均寿命は延びました。でも それってほんとに 人々を幸せにしたでしょうか。」 

このあと、このドラマ最大の感動シーン、山の向こうのかなたから 昇る朝日、それを眺める二人の男の 輝く顔と顔。

北川悦吏子のドラマには、どうしてこうも、松任谷由実の歌が流れるのだろう。
このドラマにも、『恋の一時間は孤独の千年』を「坊や先生」が 口ずさむシーンがあった。


この齢になると 自分も あんな「魔法の薬」をお守りとして欲しくなる、悪いことだろうか。
先端医療は 若い人には、間違いなく必要だろう。
だけど、緩和ケア医療も 年寄りには、絶対に必要なのだ。

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