岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

鯨尺

2017-09-20 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 我国では、何種類もの物差が使われてきた。その中で代表的な物差は、「鯨尺(くじらじゃく)」と「曲尺(かねじゃく)」である。鯨尺は「呉服尺」とも呼ばれ、主に衣類関係の世界で用いられてきた。これに対して、曲尺は「大工金」とも言われ、建築や家具製造に携わる人達に使われてきた物差である。
 クジラは、ヒゲクジラ類とハクジラ類に分けられる。ヒゲクジラ類は、歯肉が変化してできた「クジラヒゲ」を持っている。クジラヒゲは、クジラの発育に伴って成長する。四季の変化のある水域に棲息しているヒゲクジラ類のクジラヒゲでは、夏に成長した部分と、冬に成長したところとで色合に違いがある。この様なクジラヒゲには、色合の違いが交互に現れる横縞模様ができることになる。横縞模様のあるクジラヒゲを加工して、物差が作られた。これが鯨尺の始まりであると言はれる。
 クジラヒゲは、クジラの種類によって異なり、同じ種類でも年令や個体による違いがある。長さを統一するために、標準となる鯨尺が作成された。さらに、鯨尺と曲尺の間の対応も調整され、曲尺の一尺二寸五分を鯨尺の一尺とすることに決められた。
 ひと昔前までは、どこの家庭にも、竹製の鯨尺があった。家で作る浴衣などは、鯨尺を使って仕立てられていた。クジラヒゲは、物差としてだけでなく、からくり人形のバネや、釣り竿、扇子の骨など、いろいろなところに使われてきた。クジラは、日本人と密接な関わりを持っており、我々の生活の中に深く入り込んでいる。
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