岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

カタツムリのツノ

2014-10-03 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 カタツムリは、ツノを出したり、引っ込めたりすることができる。ツノだけではなく、危険を感ずると、体そのものを貝殻の中に引っ込めてしまうこともできる。
 この様な変化は、血液の分布を変えることにより行われている。カタツムリの体には、体重の30%を占める程の大量の血液が含まれている。カタツムリは軟体動物の仲間であり、体が非常に柔らかい。このため、血液の分布を変えることにより、体の形を変えることができるのである。
 危険を感ずると、貝殻の内部にある体の部分に血液を集めるため、貝殻の外に出ている頭部や足は体積が小さくなり、貝殻の中に収まってしまう。危険が去ると、血液を頭部や足に移して、これらの部分を貝殻の外に出してくる。
 ツノは 、内部が腔所になった袋のような構造をしている。袋の壁には筋線維が含まれている。筋線維が収縮すると、ツノは引っ込んでしまう。筋線維は、収縮をするか、それとも収縮を止めて弛緩するか、このどちらかしかできない。長く伸びることはできないのである。従って、筋線維には、ツノを長く伸ばす能力はない。ツノを長くしているのは、血液なのである。ツノの内部の腔所に血液を充満させれば、ツノを長く伸ばすことができる。長く伸びたツノが折れ曲がらないで直立しているのも、内部に充満した血液のはたらきによるものである。ツノが伸びたり、直立したりするのは、内部に入っている血液が静水力学的骨格としてのはたらきをしているからである。ミミズでは、体腔液が骨格のはたらきをしていたが、カタツムリの静水力学的骨格は、血液が主役になっている。

参考文献
Morton, J. E.: Molluscs, Hutchinson & Co.

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