岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

口唇(クチビル)

2019-11-28 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 口唇(クチビル)は、歯列を外方から覆うように伸びているヒダであり、消化器系の入り口を形成している。魚類、両棲類、爬虫類の口唇は、歯列の外方を取り巻く小さい皮膚のヒダである。哺乳類では、口唇はよく発達している。哺乳類の口唇は、「口裂」を挟んで、「上唇」と「下唇」より成り、外方は「口角」になっている。口角の外後方は「頬」に続いている。
 口唇の外面は皮膚に覆われ、内面は粘膜が覆っている。皮膚が粘膜に移行するところは、色素が少なく角化の程度も弱いため、深部の血液の色を反映して赤色を帯びた「赤色唇縁(唇紅)」となっている。動脈血の酸素飽和度が低下し、デオキシヘモグロビンの量が増えると、赤色唇縁は青紫色を呈する。この現象が、「チアノーゼ(青色症)」である。
 口唇を覆っている皮膚の表皮に多くのケラチンが沈着すると、口唇は角化して「嘴」になる。多くの鳥類では、口唇が嘴になっている。
 口唇と歯列や歯槽部との間には、「口腔前庭」という腔所があって、両者は互いに離れている。このため、口唇は制約を受けることはなく、自由に動かすことができる。口唇には、多くの筋が含まれているので、口唇は微妙な運動をすることができ、多彩なはたらきをしている。
 ヒトの口唇についてみると、そのはたらきは年令とともに変わる。生後、最も早い時期に始まるはたらきは、母乳を吸う際に、母親の乳頭に吸いつくことである。乳頭に吸いつくという機能は、離乳後になっても、ストローでジュースを飲む、などのはたらきとして残る。
 離乳すると、摂食の際に補助的なはたらきをしたり、表情を変える一環として、口唇の形を変化させたりするはたらきが主流になる。
 さらに年齢が進んで、言葉を話すようになると、発音に際しての重要なはたらきが加わる。口唇で調音される音を「唇音」と総称する。唇音には、「両唇音」 p、b、m、wと、「唇歯音」 f、vがある。口唇が正常にはたらいて初めて、唇音の発音が可能になる。

本ブログの「鳥類の嘴(くちばし)」も参照してください。



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