岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

サソリの呼吸器

2018-11-17 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 サソリ類は、鋏角動物の中では、原始的な部類に属する動物である。歴史的にみると、非常に早い時期に、水棲から陸棲に変わった動物である。
 サソリの体は、「前体」と「後体」より構成される。呼吸器は、後体の第3〜第6体節にそれぞれ1対ずつ分布している「書肺」である。書肺は、皮膚の一部が、連続して薄板状に陥凹できた、多数の肺葉より構成される。
 書肺がどの様な進化の過程を経て形成されたか分からないが、カブトガニなどに見られる「書鰓」が変化したものであろう、という説が有力である。書鰓と書肺は、非常によく似ており、どちらも皮膚の一部が、連続して薄板状に凹凸を繰り返した構造になっている。書鰓は、表皮の一部が連続して薄板状に突出したものである(本ブログ「カブトガニの呼吸器」参照)。これに対して書肺は、表皮の一部が連続して薄板状に陥凹したものである。空気呼吸の場合、肺葉の表面の湿潤性を保つとともに、呼吸に伴って体内の水分が失われることを防ぐために、薄板状に陥凹した構造になっている。しかしながら、呼吸器としての仕組みはどちらも同じであり、内方には血液があり、外方には、鰓の場合には水があり、肺の場合には空気がある。内方の血液と、外方の水または空気との間で、ガス交換が行われる。
 サソリ類の遠い祖先は、水の中で生活しており、書鰓で呼吸していたもの、と考えられている。陸に上がるに際し、水棲用の呼吸器である書鰓は、ほぼそのままの形で、陸棲用の呼吸器である書肺に変化した。
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