岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

ヤツメウナギの角膜

2019-10-16 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 ヤツメウナギの角膜は、表層の皮膚層と深層の強膜層より構成される。「皮膚層」は体表を覆う皮膚の続きである。皮膚はヒダを形成したり、裂隙をつくったりすることなく、そのまま眼球の表面を覆っている。眼球の表面を覆っている皮膚が角膜の皮膚層であり、ここでは色素、血管、腺などが欠如していて、透明になっている。角膜の「強膜層」は、強膜の続きであり、他の動物の角膜に相当する。強膜層は皮膚層のすぐ内方にあるが、両者の間は離れており、「角膜眼房」と云う狭い腔所になっている。角膜眼房は、透明な液体で満たされている。
 角膜の皮膚層は、原始的な形態を残している、と云う説がある。原始的な状態では、眼球は皮下に埋没しており、眼球の外方は、皮膚に覆われていたものと思われている。ただし、眼球の表面を覆う皮膚は、色素などを失って、透明になっていた。透明になった皮膚は、埋没した眼球の角膜のすぐ外方を覆っており、強膜の続きである狭義の角膜と一緒になって、広義の角膜を形成していた。ヤツメウナギは、進化のこの段階の、皮膚と眼球の関係を残しているのではないかと考えられている。
 最も原始的な眼球は、解像力が低く、明暗の識別や、大きな対象物だけを認識できるようなものであったと推測されている。このような眼球では、皮膚は透明になって眼球の表面を覆っていても、解像力にはあまり影響がなかったのであろう。
 眼球の解像力が大きくなり、より鮮明な像を得ることが必要になってくると、眼球の表面を覆う皮膚は、視覚の妨げにもならず、眼球保護の役割も果たせるような、開閉可能な眼瞼に進化して行った。


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