岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

トカゲやヘビの「半陰茎」

2013-11-07 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 オスの交尾器は、爬虫類になって大きな進化を遂げた。交尾器の形態に基づいて、現生の爬虫類は、3グループに分けられる。
(1)ムカシトカゲのグループ
 このグループは、交尾器を持っていない。交尾に際しては、オスとメスが総排出口を互いに接着して、精子の授受が行われる。この交尾様式は、多くの鳥類に引き継がれて、大きく発展した。
(2)カメとワニのグループ
 勃起性のある「海綿体」を中心にした陰茎である。交尾時には、海綿体に血液が充満して、陰茎は大きく勃起する。勃起した陰茎をメスの総排出腔に挿入して、精子の授受が行われる。このタイプの陰茎は、大部分の哺乳類に引き継がれた。
(3)トカゲとヘビのグループ
 半陰茎を持つグループである。半陰茎は、尾の付け根にある、袋状の構造をした特異な陰茎である。平時は、靴下を裏返しに脱ぐようにして、尾の付け根にある窪みに収納されている。交尾時には、外反して大きく突出し、これをメスの総排出腔に入れて、精子の授受が行われる。
 半陰茎の萌芽的なものと思われるものは、一部の両棲類に認められるが、トカゲやヘビになって発達した。しかし半陰茎は、他の動物に引き継がれることはなかった。
 構造が特異的であるほかに、半陰茎には、数にも特徴があり、左右1本ずつ、合計2本ある。交尾の際に、実際に使用されるのは、左右どちらか1本だけであるといわれる。
 陰茎は、精巣で産生された精子の外への出口である。精巣が左右1個ずつあり、精子の輸送管である精管も、左右1本ずつある。精管の終着点である陰茎が、左右別個にあってもおかしくはない。原始的な段階では、左右1本ずつ、あったのかもしれない。交尾の際に、実際に使用されるのは、どちらか1本だけであるので、進化の過程で次第に1本に融合していったのではないか、とも考えられる。私たち哺乳類の陰茎にも、2本の陰茎海綿体が含まれている。この事実は、原始的な段階では、2本あった陰茎が、1本に融合したことを示しているのかもしれない。2本ある半陰茎は、陰茎が元来2本あったことを現在に伝える、貴重な歴史の生き証人である可能性も秘めている。


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1 コメント

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鳥類の交尾器に関して (cymat)
2015-09-17 02:53:30
鳥類が竜盤類から進化したのであれば、”ムカシトカゲ型を引き継いだ”というよりもむしろ”陰茎の喪失が起こった”と考えるほうが妥当な気がするのですが、いかがでしょうか?

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