岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

ウミヘビの適応

2013-07-06 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 ウミヘビは、コブラの仲間に属するヘビの一部が、海に棲息するようになったものである。陸に棲息していたものが海に移ったのであるから、呼吸は肺による空気呼吸である。しかし、海で生活していくためには、餌を探したり、周囲の海中の状況を知ったりするために、水に潜らなければならない。そして、水に潜っている時間が長ければ長いほど、生活には有利である。水に潜るための適応として、肺と皮膚に変化が起きている。
 ヘビ類では、原始的なものでは、左右両側の肺を持っているものもいるが、進化したヘビでは、左肺は退化して、右肺のみになっている。ウミヘビの肺も、右肺のみである。肺は非常に長く、尾の付け根近くまで伸びている。ヘビの肺は、頭方から尾方に向かって、「気管肺」、「気管支肺」、および「嚢状肺」の3部に分けられる。気管肺は、私たちの気管に相当するものであり、気管の周囲が拡張し、ここに多くの血管が分布して、ガス交換ができるようになったものである。気管支肺は、私たちの肺に相当し、細かく枝分かれした気管支が分布していて、ガス交換の中心になっている。嚢状肺は、袋状になっているところであり、ガス交換は行われない。ウミヘビでは、嚢状肺が非常によく発達している。ウミヘビは、肺に空気を一杯吸い込んでから、潜水する。潜水している間に、気管肺や気管支肺の空気によりガス交換がおこなわれて、この空気に含まれる酸素が次第に消耗される。この様な状態になると、嚢状肺が収縮と拡張を繰り返して、気管肺や気管支肺の空気と嚢状肺の空気を混合する。酸素を含んだ嚢状肺の空気と混合した空気を用いて、引き続きガス交換が行われる。この様なことを何回か繰り返して、肺内の空気が換気に耐えられないほど汚れてしまった時には、海面に浮上して新しい空気と入れ替えるのである。
 陸で生活している動物では、皮膚から水分が失われるのを防ぐために、皮膚は水や空気を通さない様な構造になっている。ウミヘビでは、皮膚の構造が変化して、酸素、炭酸ガス、水、塩類などを通せるようになっている。この結果、皮膚を介してガス交換をすることができる。ウミヘビによっては、必要な酸素量の20%近くは、皮膚によっているといわれる。

参考文献 Heatwole,H.: Sea Snake.

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