岩堀修明ブログ

ドクター岩堀の
「私設動物資料室」

鳥類の口腔腺

2020-01-24 | ドクター岩堀の「私設動物資料室」
 口腔腺は、唾液を分泌する腺であり、口腔壁や一部は咽頭壁にも存在している。
 鳥類の唾液は、摂食の際のはたらきほかに、一部の動物では、越冬用の保存食を作ったり、繁殖期に巣を作ったりするはたらきもしている。
 鳥類の口腔腺は、食性により著しく異なっている。乾燥した穀類を常食としている鳥類では、よく発達しているが、水分の多い食餌を摂取している鳥類では、あまり発達していない。
 口腔腺は、存在部位により、次の3群に分けられる。動物によっては、これらの腺の一部が欠如していることがある。
①口蓋に存在する腺:上顎腺、口蓋腺、および蝶形翼状腺、
➁口角にある腺:口角腺
③口腔底に分布している腺:下顎腺、舌腺、および輪状披裂腺、
 鳥類では、爬虫類や哺乳類と同様に、粘液性唾液と漿液性唾液が分泌されている。粘液性唾液は、交感神経の制御により分泌され、食餌を嚥下する際に口腔壁との摩擦を少なくするはたらきをしている。漿液性唾液は、副交感神経の作用により分泌され、食餌に湿り気を与えるはたらきをしている。状況に応じて、この二種類の唾液を使い分けている。
 唾液は、捕食を助けるはたらきをすることがある。キツツキは、狭い隙間にいる昆虫などを、舌に接着して摂取する。食餌を接着するために、下顎腺を中心とした唾液腺から、粘着力の強い唾液が分泌される。粘着力の強い唾液の分泌は、両棲類から始まっており、爬虫類のカメレオンや、哺乳類のアリクイなどでも分泌されている。
 カケスの類は、食餌を粘液性の唾液で固めて“だんご”を作り、木の枝に刺して、越冬用の保存食にする。冬に地面が雪で覆われるときには、このだんごを食べて、生き延びる。
 鳥類は、繁殖期になると、それぞれの種に特有な巣を作る。巣作りに、唾液が使われることがある。身近な鳥では、ツバメは、土を主要な材料として、これを唾液で固めて小さなブロックを作る。このブロックを積み重ね、唾液で接着して巣を作る。東南アジアの洞窟内に棲息するアナツバメの巣は、大部分唾液により作られる。この巣は、食用にされ、中華料理の“燕窩”の食材として珍重されている。
 これら一連の営巣作業をするために、繁殖期になると、糖たんぱく質を主体とした接着力の強い唾液が分泌される。このはたらきは、下顎腺が主体となって行われる。これらの動物の下顎腺は、性ホルモンの支配を受けている。繁殖期になり、巣を作る時期になると、下顎腺は性ホルモンの作用を受けて大きく発育し、粘着力の強い唾液を大量に分泌する。繁殖期をすぎると、下顎腺は元の大きさに戻る。

本ブログの、“爬虫類の口腔腺”も参照して下さい。

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